行政書士試験対策
【民法】民法序論・行為能力と制限行為能力者制度・失踪宣告・法人・権利能力なき社団・権利の客体・法律行為
【民法】用益物権・担保物権(担保物件・抵当権・質権・留置権・先取特権)
【民法】債権の意義・債権の効力・責任財産の保全・債権の消滅・多数当事者間の債権債務関係・債権譲渡・債務引受
【行政手続法】行政手続法総説・処分・行政指導・届出・命令等制定手続・適用除外
【行政不服審査法】行政不服審査法総説・審査請求・再調査の請求・再審査請求・教示・適用除外
【行政事件訴訟法】行政事件訴訟法総説・取消訴訟・無効等確認訴訟・不作為の違法確認訴訟・義務付け訴訟・差止め訴訟・当事者訴訟・民衆訴訟・機関訴訟・教示
【地方自治法】地方自治法の意義・地方公共団体の種類・地方公共団体の事務・地方公共団体の組織・住民の権利・条例・規則・公の施設・国の関与
Laravelのmysqlがメモリ不足で起動しない状況
事象
$ dmesg | grep -i kill
で
[88645.129395] Out of memory: Killed process 42257 (mysqld) total-vm:1797932kB, anon-rss:359244kB, file-rss:0kB, shmem-rss:0kB, UID:27 pgtables:1160kB oom_score_adj:0
のように合った場合、メモリ不足で起動しないことが原因
対処
スワップ領域を作成する
1. 1GBのスワップファイルを作成
bash sudo fallocate -l 1G /swapfile
sudo chmod 600 /swapfile
sudo mkswap /swapfile
Setting up swapspace version 1, size = 1024 MiB (1073737728 bytes)
no label, UUID=6bcf317f-8719-4c20-b828-18680acbdff3
sudo swapon /swapfile
2. 永続化(再起動後も有効に)
echo '/swapfile none swap sw 0 0' | sudo tee -a /etc/fstab
/swapfile none swap sw 0 0
3. 確認
swapon --show
NAME TYPE SIZE USED PRIO
/swapfile file 1024M 256K -2
free -h
total used free shared buff/cache available
Mem: 962Mi 501Mi 83Mi 53Mi 377Mi 265Mi
Swap: 1.0Gi 0.0Ki 1.0Gi
[object] (ReflectionException(code: -1): Class \"AdminController\" does not exist at /src/vendor/laravel/framework/src/Illuminate/Container/Container.php:959)no
以下のエラー
[previous exception] [object] (ReflectionException(code: -1): Class \"AdminController\" does not exist at /src/vendor/laravel/framework/src/Illuminate/Container/Container.php:959)
対処方法
routes/web.php等ルーティングにControllerを読み込んでいないことが原因
以下を追記
その後
php artisan route:clear
を実行
require(/src/public/../vendor/autoload.php): Failed to open stream: No such file or directory in /src/public/index.php on line 13のエラー対処方法
以下のエラー
Warning: require(/src/public/../vendor/autoload.php): Failed to open stream: No such file or directory in /src/public/index.php on line 13 Fatal error: Uncaught Error: Failed opening required '/src/public/../vendor/autoload.php'
(include_path='.:/usr/local/lib/php') in /src/public/index.php:13 Stack trace: #0 {main} thrown in /src/public/index.php on line 13
対処方法
composer install
【民法】民法序論・行為能力と制限行為能力者制度・失踪宣告・法人・権利能力なき社団・権利の客体・法律行為
1.民法序論
1.1.民法とは
2.能力
2.1.能力とは
2.2.権利能力
2.3.意思能力
2.4.行為能力と制限行為能力者制度
2.5.未成年者
2.6.成年被後見人
2.7.被保佐人
2.8.被補助人
2.9.制限行為能力者の相手方の保護
3.失踪宣告
3.1.失踪宣告
4.法人・権利能力なき社団
5.権利の客体
6.法律行為
1.民法序論(私権の行使)
1.1.民法とは
「契約の趣旨を解釈するにもその基準となるべきものである」(最判昭32.7.5)
「妨害により所有権が侵害されても、生じた損失が軽微であり、妨害を除去することは著しく困難で、多大の費用を要する場合には、不当な利益を獲得する目的で妨害の除去を求めることは許されないとし、その理由として、社会観念上所有権の目的に違背し、その機能として許されるべき範囲を超脱するものであって、権利の濫用に外ならない。」(大判昭10.10.5)
2.能力
2.1.能力とは
権利能力
意思能力
行為能力
2.2.権利能力
権利能力は、人が生まれてきたときに取得できます。
胎児が生きて生まれてきた場合に限って、遡って権利能力を認める。
→ 「胎児の出生前には権利能力はなく」(大判昭7.10.6)
→ 胎児の出生前に退治を代理して損害賠償請求をすることはできない。
✗ 胎児は既に生まれたものとみなされるので
以下については、胎児が生まれてきた場合に限って、遡って権利能力を認める。
1.相続
2.不法行為に基づく損害賠償請求
2.3.意思能力
121条の2 第1項 無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。
例)意思能力のない状態で土地を売却した者がその行為に基づいて受け取った代金の一部を浪費してしまったときは、残っている代金だけを返還すればよい。
2.4.行為能力と制限行為能力者制度
1.未成年者
2.成年被後見人 → 判断能力を欠き、
3.被保佐人 → 判断能力を著しく不十分で、
4.被補助人 → 判断能力が不十分で、
2.5.未成年者
2.5.1.未成年者の法律行為
5条2項 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
〔原則〕未成年者単独で法律行為行うことができない。
→ 未成年者の法定代理人の同意がない場合 → 取り消すことができる。
〔例外〕未成年者が単独で行うことができる。
- 単に権利を得、または義務を免れる行為
例)時計をただでもらう
- 目的を定めて処分を許可した財産 → 自由に処分できる
例)学費のためにもらったお金を学費に充てる
- 目的を定めないで処分を許された財産 → 自由に処分できる → 取り消すことはできない。
一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
- 営業を許された未成年 → その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
→ 未成年後見人は法人であってもよい。
2.6.成年被後見人
2.6.1.後見・補佐・補助の制度
大人でも病気やケガにより判断能力が衰えることがあり、このような方々の財産を守るために、後見・補佐・補助の制度が設けられています。
2.6.2.成年被後見人の法律行為(契約)
8条3項 **後見開始の審判を受けた者**は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。
- 判断能力を欠く状態であり、家庭裁判所で後見開始の審判を受けた者は成年被後見人として保護される。
✗ 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状況にある場合、当然に成年後見人である。
✗ 弁識能力が著しく不十分である者。
✗ 後見監督人を選任しなければならない。
843条4項かっこ書き 成年後見人となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と成年被後見人との利害関係の有無
✗ 株式会社等の営利法人は、成年後見人になることができない。
比較 → 未成年後見人は法人であってもよい。
✗ 日用品の売却を取り消すことができる。
✗ 成年被後見人の許諾を得て。
「・・・成年後見人に対し事実行為として成年後見人の現実の介護を行うことや成年後見人の行動を監督することを求めるものと解することはできず、保護者や成年後見人であることだけでは直ちに法定監督義務者に該当するということはできない。」(最判平28.3.1)
✗ 成年被後見人が他人に損害を与えた場合において当然に法定の監督義務者として責任を負う。
後見人の配偶者、直系血族及び兄弟姉妹は、後見監督人となることができない。
しかし、
→ 成年被後見人は、制限行為能力者ある間もみずから法律行為を取り消すことができる。
〔原則〕成年後見人は単独で法律行為を行うことができない。
→ 成年後見人の同意があっても取り消すことができる。
〔例外〕日用品の購入など
→ 後で取り消すことができない。
取消権
追認をしなかった契約を取り消す。
本来、同意をした契約は取り消すことができなくなりますが、成年後見人の場合は同意をしても取り消すことができるので「同意権がない」。
2.7.被保佐人
- 保佐開始の審判
→ 本人が成年被後見人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る後見開始の審判を取り消さなければならない。
2.7.1.被保佐人の法律行為
〔原則〕被保佐人は法律行為を単独で行うことができる。
→ 同意がなくても取り消すことができない。。
- 被保佐人が負担のない贈与を「受ける」行為=保佐人の同意を要する法律行為ではない → 保佐人の同意を得ていないことを理由として取り消すことはできない。
〔例外〕
→ 同意がなければ取り消すことができる。
1.元本を領収
2.借財または保証をすること
3.不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること
→ その保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。
→ その動産が「重要な財産」に当たらないときは、保佐人の同意を得る必要はない
- 被保佐人が負担のない贈与を「受ける」行為
→ 保佐人の同意を得ていないことを理由として取り消すことはできない。
876条の4第2項 本人以外の者の請求によって前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。
→ 家庭裁判所は、保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができる → 本人以外の請求によってその審判をするには、本人の同意がなければならない。
✗ 家庭裁判所は、・・・、被保佐人が法に定められている行為以外の行為をする場合にその保佐人の同意を得なければならなない旨の審判をすることはできない。
- 家庭裁判所は被保佐人本人や保佐人等の請求によって、保佐人に代理権を付与する審判をすることができる。
→ 本人以外の者の請求によって審判をするには、本人の同意がなければならない。
2.8.被補助人
2.8.1.被補助人の法律行為
→ 後見人や保佐人も、補助開始の審判を請求することができる。
✗ 後見人や保佐人は補助開始の審判を請求することができない。
- 補助人が選任されている場合
→ さらに補助人を選任することができる
- 被補助人が補助人の同意を得てした行為
→ 完全に有効であって、取り消すことができない
→ 被補助人が補助人の同意を得てした行為は、完全に有効であって、取り消すことができない。
2.9.制限行為能力者の相手方の保護
2.9.1.相手方の催告権
制限行為能力者の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者(行為能力の制限を受けない者をいう。以下同じ。)となった後、その者に対し、**1カ月**以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、**その行為を追認したものとみなす。**
- 相手方には1ヵ月以上の期間を定めて「追認するかしないか」の返答を求める催告権が認められています。
→ 返事がなかった場合
判断能力のある者に催告 → 追認したものとみなす。
判断能力のない者に催告 → 取り消されたものとみなす。
✗ その行為は、取り消しうる。
判断能力のない者に対する催告
制限行為能力者の相手方は、被保佐人又は第17条第1項の審判を受けた被補助人に対しては、第1項の期間内にその保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができる。この場合において、その被保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。
✗ 追認されたものとみなされる
✗ 追認したものと擬制される
未成年者が成年者とならない間に、未成年者本人に対して催告 → 無意味である。
2.9.2.制限行為能力者の詐術
「制限行為能力者であること黙秘していた場合でも、それが、制限行為能力者の他の言動などと相まって、相手方を誤信させ、または誤信を強めたものと認められるときは、なお詐術にあたるというべきである」としている。(最判昭44.2.13)
- 「単に制限行為能力者であることを黙秘しただけでは「詐術」に当たらない。」としている。(最判昭44.2.13)
取消権
追認することができる時から5年間行使しないとき→ 時効によって消滅
→ 契約締結後も畏怖の状態が続いている
→ 取消権は時効によって消滅しない
3.失踪宣告
3.1.失踪宣告
3.2.普通失踪と特別失踪
普通失踪
特別失踪(戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中にあった者)
✗ 失踪の宣告を受けた時に死亡したものとみなされる。
→ 失踪の宣告を受けた者が生存しているときの権利能力自体は、これによって消滅するものではない。
3.3.失踪宣告の取消し
4.法人・権利能力なき社団
4.1.法人
34条(法人の能力)
法人は、法令の規定に従い、**定款その他の基本約款で定められた目的**の範囲内において、権利を有し、義務を負う。
4.2.権利能力のない社団の財産
「権利能力のない社団の財産は、実質的には社団を構成する総社員いわゆる総有に属し、構成員は持分権、分割請求権を有しない」としている。(最判昭32.11.14)
例)自然人Aが権利能力のない団体Bに所属
→ Bの財産 = Bを構成するAら総社員の総有
「権利能力のない社団の代表者が社団の名においてした取引上の債務は、その社団の構成員全員に、一個の義務として総有的に帰属するとともに、社団の総有財産だけがその責任財産となり、構成員各自は、取引の相手方に対し、直接には個人的債務ないし責任を負わない。」としている。(最判昭48.10.9)
✗ 構成員も各自が連帯して責任を負う。
「社団はその権利主体となり得るものではなく、したがつて、登記請求権を有するものではない。」としている。(最判昭47.6.2)
→ 権利能力なき社団名義の登記は認められない
「代表者は、右の趣旨における受託者たるの地位において右不動産につき自己の名義をもつて登記をすることができる。」としている。(最判昭47.6.2)
5.権利の客体
86条1項 土地及びその定着物は、不動産とする。
86条2項 不動産以外の物は、すべて動産とする。
87条1項 物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。
87条2項 従物は、主物の処分に従う。
「借地権のような従たる権利についても87条2項が類推適用」。(大判昭2.4.25)
例)建物が競売された場合には、借地権も建物の買受人に移転する。
88条2項 物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物を**法定果実**とする。
89条1項 天然果実は、その元物から分離する時に、これを収取する権利を有する者に帰属する。
89条2項 法定果実は、これを収取する権利の存続期間に応じて、日割計算によりこれを取得する。
6.法律行為
「不倫関係を維持する目的でなされたものであり、『公序良俗』に反して無効である」。
例)配偶者のいるAが、配偶者ではないBと不倫関係 → その関係を維持する目的でA所有の甲建物をBに贈与 → A・B間の贈与は「公序良俗」に反して無効。
法律行為が公序に反するものであるとして「無効になるかどうかは、法律行為がされた時点の公序に照らして判断すべきである」としている。(最判平15.4.8)
(最判昭39.1.23)
【憲法】憲法総論・人権
1.憲法の意味
1.1.憲法とは
1.2.憲法の最高法規性
1.3.憲法の基本原理
2.人権
2.1.人権の分類
2.1.1.人権の分類
2.2.人権の享有主体
2.2.1.外国人の人権
2.2.2.法人の人権
2.2.3.公務員の人権
2.2.4.在監者の人権
2.3.人権の限界
2.3.1.公共の福祉
2.3.2.私人間の効力
2.4.幸福追求権
2.4.1.幸福追求権
2.5.法の下の平等
2.5.1.法の下の平等
2.5.2.一票の格差
2.6.自由権
2.6.1.思想・良心の自由
2.6.2.信教の自由
2.6.3.表現の自由
2.6.4.学問の自由
2.6.5.居住・移転・職業選択の自由
2.6.6.財産権
2.6.7.人身の自由
2.7.受益権
2.7.1.受益権
2.8.参政権
2.8.1.選挙権
2.9.社会権
1.憲法の意味
実質的意味の憲法
→ 成文であると不文であるとを問わない。
硬性憲法と軟性憲法
法律と同等の手続で改正できる憲法
→ 頻繁に改正されていても、法律より改正が困難である憲法 = 硬性憲法
× 法律より改正が困難であっても軟性憲法に分類される。
前文
法的規範性を有する
2.人権
2.1.人権の分類
1.自由権
1.1.精神的自由(表現の自由・信教の自由)
1.2.経済的自由(職業選択の自由等)
1.3.人身の自由(奴隷的拘束および苦役からの自由等)
2.社会権(生存権、教育を受ける権利等)
3.参政権(公務員の選定・罷免権、被選挙権)
4.受益権(裁判を受ける権利等)
2.2.人権享有主体
2.2.1.外国人の人権
出入国の自由
基本的人権の保障は、「基本的人権の保障は、「権利の性質上日本国民のみを対象とするものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべきであり」(マクリーン事件/最大判昭53.10.4)
「憲法22条2項の『外国に移住する自由』には外国へ一時旅行する自由を含むものと解すべきであるが、・・・」(帆足計事件/最大判昭33.9.10)。
「我が国に在留する外国人は、憲法上、外国へ一時旅行する自由を保障されるものではない。」としている。(森川キャサリーン事件/最判平4.11.6)
政治活動の自由
「わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位に鑑みこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶ」(マクリーン事件/最大判昭53.10.4)
選挙権を付与する措置
「我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではない」として、「右のような措置を講ずるか否かは、専ら国の立法政策にかかわる事柄であって、このような措置を講じないからといって違憲の問題を生ずるものではない」(外国人の地方選挙権/最判平7.2.28)
憲法93条2項にいう「住民」
- 「憲法93条2項にいう『住民』とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味する。」としている。(外国人の地方選挙権/最判平7.2.28)
管理職就任権
「普通地方公共団体が、・・・条例、人事委員会規則等の定めるところにより職員に在留外国人を任命することを禁止するものではない」としたうえで、「普通地方公共団体が職員に採用した在留外国人につき合理的な理由に基づいて日本国民と異なる取扱いをすることは許される。」
「外国人が公権力行使等地方公務員に就任することは、本来我が国の法体系を想定するところではない。」としている。(東京都保健師管理職選考受験資格確認等請求事件/最大判平17.1.26)
→ 日本国民である職員に限って管理職に昇任できるとういう措置をとることは憲法14条1項に違反しない。
社会権
「社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかについては、国は、特別の条約存しない限り、当該外国人の属する国との外交関係、変動する国際情勢、国内の政治・経済。社会的諸事情等に照らしながら、その政治的判断によりこれを決定することができるのであり、・・・、自国民を在留外国人よりも優先的に扱うことも、許される。」としている。(塩見訴訟/最判平元.3.2)
「憲法13条は、・・・、みだりに指紋の押なつを強制されない自由を有するものというべきであり、国家機関が正当な理由もなく指紋の押なつを強制することは、同条の趣旨に反して許されず、また、右の自由の保障は我が国に在留する外国人にも等しく及ぶ。」としている。(指紋押なつ拒否事件/最判平7.12.15)
→ 指紋押なつを強制されない自由は、憲法13条で保障される。
2.2.2.法人の人権
「憲法3条に定める国民の権利及び義務の各条項は、性質上可能なかぎり、内国の法人にも適用されるものと解すべきであるから、会社は、自然人たる国民と同様、国や政党の特定の政策を支持、推進しまたは反対するなどの政治的行為をなす自由を有する。」としている。(八幡製鉄事件/最大判昭45.6.24)
→ 法人の人権は性質上可能な限り保障され、正規献金の自由も保障される。
2.2.3.公務員の人権
裁判官への政治運動禁止の要請
裁判官に対する政治運動禁止の要請 > 一般職の国家公務員に対する政治的行為禁止の要請(寺西裁判官事件/最大決平10.12.1)
「裁判官に対し『積極的に政治運動をすること』を禁止することは、必然的に裁判官の表現の自由を一定範囲で制約することにはなるが、右制約が合理的で必要やむを得ない限度にとどまるものである限り、憲法の許容するところであるといわなければならず、右の禁止の目的が正当、その目的と禁止との間に合理的関連性があり、禁止により得られる利益と失われる利益との均衡を失するものでないなら、憲法21条1項に違反しないというべきである。」としている。(寺西裁判官事件/最大決平10.12.1)
公務員の「政治的行為」
国家公務員法102条1項にいう「政治的行為」
「公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが、観念的なものにとどまらず、現実に起こり得るものとして実質的に認められるものを指す」(堀越事件/最判平24.12.7)
公務員の争議行為
「公務員は、もともと合憲である法律によつて争議行為をすること自体が禁止されているものであるから、勤労者たる公務員は、かかる政治的目的のために争議行為をすることは、二重の意味で許されない。」としている。(全農林警職法事件/最大判昭48.4.25)
→ 公務員の労働基本権を制限することは憲法28条に違反しない。
× 争議行為は表現の自由としての側面も有するので、これを規制することは許されない。
- あおり行為等の罪として刑事制裁を科される
→ 違法性の強い争議行為に対するものに限る
→ あおり等の行為自体の違法性の強弱または社会的許容性の有無を論ずることは、いずれも、とうてい是認することができない
→ 「このように不明確な限定解釈は、かえつて犯罪構成要件の保障的機能を失わせることとなり、その明確性を要請する憲法31条に違反する疑いすら存在するものといわなければならない」(全農林警職法事件/最大判昭48.4.25)
「国家公務員の労働基本権に対する代償措置がその本来の機能を果たしていなかったということができない」として、人事院勧告の完全凍結に抗議して争議行為を行った公務員に対する懲戒処分を合憲としている。(最判平12.3.17)
2.2.4.在監者(刑事施設被収容者)の人権
在檻者にも原則として、「新聞紙、図書等の閲覧の自由」が保障されることを前提としている。(よど号ハイジャック新聞記事抹消事件/最大判昭58.6.22)
× 閲覧する自由は、憲法上保障されるべきではないとするのが判例である。
2.2.5.私人間の人権保障
21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
23条 学問の自由は、これを保障する。
憲法19条、21条、23条等のいわゆる自由権的基本権の保障規定
→ 「・・・、専ら国又は公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人相互間の関係について当然に適用ないし類推適用されるものではない。」(最大判昭49.7.19)
→ 「私人相互の関係を直接規律することを予定するものではない」として、また、私人間の対立の調整は、「原則として私的自治に委ねられ」、「一定の限界を超える場合にのみ、法がこれに介入しその間の調整をはかる」(三菱樹脂事件/最大判昭48.12.12)
「私人間の関係においても、相互の社会的関係の相違から、一方が他方に優越し、事実上後者が前者の意思に服従せざるをえない場合があり、・・・このような場合に限り憲法の基本権保障規定の適用ないしは類推適用を認めるべきであるとする見解もまた、採用することはできない」として、憲法の効力を直接及ぼすことを否定、「場合によつては、私的自治に対する一般的制限規定である民法1条、90条や不法行為に関する諸規定等の適切な運用によって、一面で私的自治の原則を尊重しながら、他面で社会的許容性の限度を超える侵害に対し基本的な自由や平等の利益を保護し、その間の適切な調整を図る方途も存する。」(三菱樹脂事件/最大判昭48.12.12)
→ 私人間に人権規定は直接には適用されない(間接適用説)。
× 基本的人権のうち重要なものは、・・、一定の範囲において、国民相互の法律関係に直接の意味を有する。
× 私法の一般規定を通じ憲法の効力を直接及ぼすことができるが
雇入れ
「特定の思想、信条を有する者をそのゆえをもつて雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできない」
→ 企業は「いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件でこれを雇うかについて・・・原則として自由に決定することができるのであって、企業者が特定の思想、信条を有する者をそのゆえをもつて雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできない」としたうえで 「労働基準法3条は労働者の信条によつて賃金その他の労働条件につき差別することを禁じているが、これは、雇入れ後における労働条件についての制限であつて、雇入れそのものを制約する規定ではない。」としている。(三菱樹脂事件/最大判昭48.12.12)
→ 思想・信条を理由として企業が雇用を拒否することは許される。
× いったん雇い入れた後は、思想信条を理由に不利益な取り扱いがなされてもこれを当然に違法とすることができない。
「会社の企業経営上の観点から定年年齢において女子を差別しなければならない合理的理由」が認められない場合において、「会社の就業規則中女子の定年年齢を男子より低く定めた部分は、専ら女子であることのみを理由として差別したことに帰着するものであり、性別のみによる不合理な差別を定めたものとして民法90条の規定により無効である。」としている。(日産自動車事件/最大判昭56.3.24)
→ 憲法14条1項の効力が労働関係に「直接」及ぶとはしていない。
私立学校の学生の政治活動を理由に退学
「憲法19条、21条、23条等のいわゆる自由権的基本権の保障規定は、・・・私人相互間の関係について当然に適用ないし類推適用されるものではない」としたうえで、私立学校が学生の政治活動を理由に退学処分を行ったことは、「社会通念上合理性を欠くものであるとはいいがたく、・・・、本件退学処分は、懲戒権者に認められた裁量権の範囲内にあるものとして、その効力を是認すべきである。」としている。(昭和女子大事件/最大判昭49.7.19)
自衛隊基地建設
「国が行政の主体としてでなく私人と対等の立場に立つて、私人との間で個々に締結する私法上の契約は、当該契約がその成立の経緯及び内容において実質的にみて公権力の発動たる行為となんら変わりがないといえるような特段の事情のない限り、憲法9条の直接適用を受けず、私人間の利害関係の公平な調整を目的とする私法の適用を受けるにすぎない。」としている。(百里基地訴訟/最判平元.6.20)
→ 国が行う私法上の行為は憲法98条1項の「国務に関するその他の行為」に該当しない。
→ 私法上の行為に憲法9条は直接適用されない。
2.4.幸福追求権
- 個人の尊重原理に基づく幸福追求権は、憲法に列挙されていない新しい人権の根拠となる一般的かつ包括的な権利
→ 判例も、幸福追求権の具体的権利性を肯定している(最大判昭44.12.24)
× 判例は立法による具体化を必要とするプログラム規定だという立場をとる。
プログラム規定:国の努力すべき政策・施策の基本的な目 標を指示しながら、その具体的な内容については立法権・行政権 の裁量に委ねるという性質を持つ規定。
- 個人の人格的生存に必要不可欠な行為を行う自由を一般的に保障するものと解する見解
= 人格的利益説
みだりに容ぼう等を撮影されない自由
- 幸福追求権の保障と人権規定の私人間効力は直接に関連しないし、私人間効力と私法上の人格権も直接には関連しない。
「憲法はもっぱら国または公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人同士の関係を直接規律することを予定するものではない。」(三菱樹脂事件/最大判昭48.12.12)
「個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、その承諾なしに、みだりのその容ぼう等を撮影されない自由を有するものというべきである。」「しかし、『現に犯罪が行われもしくは行われたのち、間がないと認められる場合』であって、『しかも証拠保全の必要性および緊急性』があり、かつ『その撮影が一般的に許容される限度をこえない相当な方法をもって行われる場合』には、警察官の写真撮影は許容される。」「警察官が犯罪捜査の必要上写真を撮影する際、その対象の中に犯人のみならず第三者である個人の容ぼう等が含まれていても、これを許容される場合がありうる」(京都府学連事件/最大判昭44.12.24)
「憲法13条は、国民の私生活上の自由が公権力の行使に対しても保護されるべきことを規定しているものであり、個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を有するものと解される」(住基ネット訴訟/最判平20.3.6)
「速度違反車両の自動撮影を行う本件自動速度監視装置による運転者の容ぼうの写真撮影は、現に犯行が行われている場合になされ、犯罪の性質、態様からいつて緊急に証拠保全をする必要性があり、その方法も一般的に許容される限度を超えない相当なものであるから、憲法13条に違反せず、また、右写真撮影の際、運転者の近くにいるため除外できない状況にある同乗者の容ぼうを撮影することになつても、憲法13条、21条に違反せず、」としている。(自動速度監視装置事件/最判昭61.2.14)
指紋
「指紋は、・・・、性質上万人不同性、終生不変性をもつものであり、採取された指紋の利用方法次第では個人の私生活あるいはプライバシーが侵害される危険がある」(指紋押なつ拒否事件/最判平7.12.15)
→ 指紋押なつを強制されない自由は保障される。
× 指紋は、・・それ自体では個人の私生活や人格、思想等個人の内心に関する情報ではないから、プライバシーとして保護されるものではない。
前科等に関わる事実を公表されない利益
- 過去に有罪判決を受けた者は、みだりに右の前科等に関わる事実を公表されないことにつき、法的保護に値する利益を有する。
「市区町村長が漫然と弁護士会の紹介に応じ、犯罪の種類、軽重を問わず、前科等のすべてを報告することは、公権力の違法な行使にあたる。」(前科照会事件/最判昭56.4.14)
→ みだりに前科等を公開されないという利益は法律上の保護に値する。
喫煙の自由
「喫煙の自由は、・・・、あらゆる時、所において保障されなければならないものではない。」(禁煙処分事件/最大判昭45.9.16)
→ 在監者に対する喫煙禁止という程度の自由の制限は、必要かつ合理的なものであり、許される。
× 喫煙の自由は、あらゆる場所において保障されなければならない。
プライバシー権の性質
プライバシー侵害に対し法的な救済が与えられる条件
1.私生活上の事実または私生活上の事実らしく受け取られるおそれのある事柄であること。
2.一般人の感受性を基準として当該私人の立場に立った場合公開を欲しないであろうと認められる事柄であること。
3.一般の人々にいまだ知られていない事柄であること。(東京地判昭39.9.28)
- 「消極的側面」と「積極的側面」
消極的側面
「個人の私的領域に他者を無断で立ち入らせない」
積極的側面
「自己に関する情報をコントロールする権利」
自己決定権
個人の人格的生存にかかわる重要な私的事項を公権力の介入・干渉なしに各自が自律的に決定できる自由。
前科
前科は「事件それ自体を公表することに歴史的又は社会的意義が認められるような場合」には、事件当事者の実名を明らかにすることが許されないとはいえない。」(ノンフィクション「逆転」事件/最判平6.2.8)
→ 前科等にかかわる事実を公表されないことは法的保護に値する利益といえる。
犯人情報
「プライバシーの侵害については、その事実が公表されない法的利益とこれを公表する理由とを比較衡量し、前者が後者に優越する場合に不法行為が成立するのであるから、・・・、その事実を公表されない法的利益とこれを公表する理由に関する諸事情を個別具体的に審理し、これらを比較衡量して判断することが必要である。」(長良川事件報道訴訟/最判平15.3.14)
→ この場合に「特段の事情がない限り」不法行為が成立するとはいえない。
→ 本件記事の掲載は、不法行為となるか否かは、被侵害利益ごとに個別具体的に判断すべき。
× 掲載した場合は、特段の事情がない限り、不法行為が成立する。
住基ネット
住基ネットによる本人確認情報のうち、「氏名、生年月日、性別及び住所から成る4情報・・・は、・・・個人の内面に関わるような秘匿性の高い情報とはいえない。」(住基ネット訴訟/最判平20.3.6)
→ 住基ネットにより管理、利用等される本人確認情報は、プライバシー情報にあたらない。
→ 行政機関が住基ネットにより住民の個人情報を管理、利用等することは、憲法13条に違反しない。
GPS端末を車両に装着する捜査手法
GPS端末を秘かに車両に装着する捜査手法は、「・・・公道上の所在を肉眼で把握したりカメラで撮影したりするような手法とは異なり、公権力による私的領域への侵入を伴うものというべきである。」(GPS捜査と憲法35条/最大判平29.3.15)
2.5.法の下の平等
1項 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2項 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3項 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
2.5.1.法の下の平等
尊属の殺害
「尊属の殺害は通常の殺人に比して一般に高度の社会的道義的避難を受けて然るべきであるとして、このことをその処罰に反映させても、あながち不合理であるとはいえない」としつつも、「刑法200条は、尊属殺の法定刑を死刑または無期懲役のみに限つている点において、・・・憲法14条1項に違反して無効である。」(尊属殺重罰規定違憲判決/最大判昭48.4.4)
→ 刑法200条は憲法14条1項に違反する(違憲)。
刑を加重すること自体は合憲
死刑か無期懲役み限る → 加重の程度が極端すぎるので違憲
一票の格差
- 形式的に1人1票の原則が貫かれていても、投票価値が平等であるとはいえない。
→ 選挙権の平等の観念:「1人1票の原則」+「投票価値の平等」
「投票価値の平等も憲法上の要請である。」
投票価値の平等は、「原則として、国会が正当に考慮することのできる他の政策目的との関連で調和的に実現されるべきもの」(衆議院議員定数不均衡訴訟/最大判昭51.4.14)
比例代表選挙と小選挙区選挙とに重複して立候補
「候補者届出政党の要件と衆議院名簿届出政党等の要件の両方を充足する政党等に所属する者に限定されていることには、相応の合理性が認められる。」(小選挙区制の合憲性/最大判平11.11.10)
= 小選挙区と比例代表に重複立候補できるのは、一定の要件を満たした政党等に所属する者に限定しても憲法違反ではない。
「その差異が一般的に合理性を有するとは到底考えられない程度に達している場合に、初めてそのような差異を設けることが国会の裁量の範囲を逸脱するというべきである」。
- 人口数と定数との比率の平等を「最も重要かつ基本的な基準」+人口比以外の要素の役割を大きく認め、立法府の裁量を広く認めている。
✗ 議員1人当たりの人口が平等に保たれることが重視されるべきであり、国会がそれ以外の要素を考慮することは許されない
投票価値の不平等 → 合理的是正期間を経過していなければ定数配分規定は合憲であるから、定数配分規定が違憲。違法の際に問題となる事情判決の法理(衆議院議員定数不均衡訴訟/最大判昭51.4.14)を持ち出すまでもなく、選挙は有効である。
「選挙区割及び議員定数の配分は、・・・、一旦このようにして決定されたものは、一定の議員総数の各選挙区への配分として、相互に有機的に関連し、一の部分における変動は他の部分にも波動的に影響を及ぼすべき性質を有するものと認められ、その意味において不可分の一体をなすと考えられるから、右配分規定は、単に憲法に違反する不平等を招来している部分のみでなく、全体として違憲の瑕疵を帯びるものと解すべきである。」としている。(衆議院議員定数不均衡訴訟/最大判昭51.4.14)
憲法違反の状態にあると判断した投票価値の不均衡を是正しないまま衆議院が解散された例がある。
✗ 不均衡を是正しないまま衆議院が解散された例はない。
参議院議員
参議院議員に都道府県代表としての地位を付与したとまでは述べられていない。(最大判昭58.4.27)
✗ 参議院議員に都道府県代表をしての地位を付与したものであるから
地方公共団体の議員の定数配分
「都道府県議会の議院の定数配分につき、人口比例を最も重要かつ基本的な要素とし、各選挙人の投票価値が平等であることを強く要求しているものと解される。」(最判平元12.18)
→ 地方公共団体の議会の議員の定数配分につき、人口比例を最も重要かつ基本的な基準としている。
嫡出でない子の法定相続分を嫡出子の2分の1にする民法の規定
「法律婚という制度自体は我が国に定着しているとしても、・・・子にとって自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されず、子を個人として尊重し、その権利を保障すべきであるという考えが確立されているものということができる。
遅くとも・・・平成13年7月当時においては立法府の裁量権を考慮しても、嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的な根拠は失われていたというべきである。
したがって、本件規定は遅くとも平成13年7月当時において、憲法14条1項に違反していたというべきである。」(非嫡出子相続分規定違憲事件/最大決平25.9.4)
→ 法律婚の保護という立法目的に照らして、著しく不合理であるとしているわけではない。
✗ 嫡出ではない子の法定相続分を嫡出子の2分の1とする民法の規定は、・・・、法律婚の保護という立法目的に照らすと著しく不合理であり、憲法に違反する。
出生後の国籍取得要件
「国籍法3条1項は、同法の基本的な原則である血統主義を基調としつつ、日本国民との法律上の親子関係の存在に加え我が国との密接な結び付きの指標となる一定の要件を設けて、これらを満たす場合に限り出生後における日本国籍の取得を認めることとしたものと解される。・・・上記の立法目的自体には、合理的な根拠があるというべきである。」としている。(生後認知児童国籍確認事件/最大判平20.6.4)
→ 国籍法3条1項(当時)の規定は、合理性を欠いた過剰な要件を課すものとなっており、憲法14条に反する。
✗ 日本との密接な結びつきの指標として一定の要件を設け、これを満たす場合に限り出生後の国籍取得を認めるとする立法目的には、合理的な根拠がないため不合理な差別に当たる
出生届に嫡出子または嫡出でない子の別を記載すべきものとする戸籍法の規定
→ 「嫡出でない子について嫡出子との間で子又はその父母の法的地位の差異がもたらされるとはいえない」
→ 「本件規定は、嫡出でない子について嫡出子との関係で不合理な差別的取扱いを定めたものとはいえず、憲法14条1項に違反するものではない。」(最判平25.9.26)
自由権
思想・良心の自由
- 憲法19条の「思想・良心」の意味を明示した判例はない。
✗ 憲法19条の「思想及び良心の自由」は、・・・、固有の組織と教義体系を持つ思想・世界観のみが保護される。
「裁判所が謝罪広告の掲載を命ずることは、単に事態の真相を告白し、陳謝の意を表明するにとどまる程度のものであれば、思想・良心の自由を侵害することにはならない」
「単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明するに止まる程度のものにあつては、これが強制執行も代替作為として民訴733条の手続によることを得るものといわなければならない。」(謝罪広告事件/最大判昭31.7.4)
→ 謝罪広告の掲載を命ずる判決は、良心の自由の侵害とならない。
信教の自由
20条2項 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
「信仰上の真しな理由から剣道実技に参加することができない学生に対し、代替措置として、・・・、他の宗教者又は無宗教者に圧迫、干渉を加える効果があるともいえないのであって、およそ代替措置を採ることが、その方法、態様のいかんを問わず、憲法20条3項に違反するということができない。」としている。(エホバの証人信徒原級留置事件/最判平8.3.8)
信教の自由を不当に侵害するようなものは、憲法20条1項前段および20条2項に反することがある。
✗ すべての宗教に平等に適用される法律は違憲となることはない。
「宗教法人に関する法的規制が、信者の宗教上の行為を法的に制約する効果を伴わないとしても、これに何らかの支障を生じさせることがあるとするならば、憲法の保障する精神的自由の一つとしての信教の自由の重要性に思いを致し、憲法がそのような規制を許容するものであるかどうかを慎重に吟味しなければならない。」としている。(宗教法人解散命令事件/最決平8.1.30)
→ 宗教法人法に基づく解散命令は、信教の自由を侵害し、憲法20条1項に違反しない。
「人が自己の信仰生活の静謐を他者の宗教上の行為によつて害されたとし、そのことに不快の感情を持ち、そのようなことがないよう望むことのあるのは、その心情として当然であるとしても、かかる宗教上の感情を非侵害利益として直ちに損害賠償を請求し、又は差止めを請求するなどの法的救済を求めることができるとするならば、かえつて相手方の信教の自由を妨げる結果となるに至ることは、見易いところである」として、損害賠償や差止めなどの法的救済を否定している。(自衛官合祀拒否訴訟/最大判昭63.6.1)
✗ かかる宗教上の感情を被侵害利益として損害賠償や差止めを請求するなど、法的救済を求めることができる。
神社の玉串料の奉納
「神社が・・・玉串料を奉納することは、・・・、慣習化した社会的儀礼にすぎないものになっているとまでは到底いうことができず、一般人が本件の玉串料等の奉納を社会的儀礼の一つにすぎないと評価しているとは考え難いところである。」としている。(愛媛玉串料訴訟/最大判平9.4.2)
「・・・その目的が宗教的異意義を持つことを免れず、その効果が特定の宗教に対する援助、助長、促進になると認めるべきであり、・・・、憲法20条3項の宗教的活動に当たると解するのが相当である。」としている。
→ 県が玉串料等を公金から支出したことは憲法89条に違反する。
✗ 慣習化した社会的儀礼であると見ることができるので、当然に憲法に違反するとはいえない。
宗教的活動とは
「宗教的活動とは、・・・、そのかかわり合いが・・・相当とされる限度を超えるものに限られるというべきであつて、当該行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉になるような行為をいうものと解すべきである。」としている。(最大判昭52.7.13)
✗ 憲法が国およびその機関に対し禁ずる宗教的活動とは、・・・、あるいは宗教と過度のかかわり合いをもつ行為のいずれかをいう。
- 「憲法89条にいう「宗教上の組織若しくは団体」とは、宗教と何らかのかかわり合いのある行為を行っている組織ないし団体のすべてを意味するものではなく、・・・換言すると、特定の宗教の信仰、礼拝又は普及等の宗教的活動を行うことを本来の目的とする組織ないし団体を指すものと解するのが相当である。」としている。(最判平5.2.16)
✗ 宗教活動を本来の目的としない組織はこれに該当しない。
表現の自由
報道の自由
事実の「報道の自由は、表現の自由を規定した憲法21条の保障のもとにある」としたうえで、「このような報道機関の報道が正しい内容をもつためには、報道の自由とともに、報道のための取材の自由も、憲法21条の精神に照らし、十分尊重に値いするものといわなければならない。」としている。(最大決昭44.11.26)
取材の自由
「報道のための取材の自由も、憲法21条の精神に照らし、十分尊重に値するものといわなければならない」(最大決昭44.11.26)
✗ 取材の自由については、憲法21条の保護のもとにある。
「新聞記者に取材源につき証言拒絶権を認めるか否かは立法政策上考慮の余地のある問題であり・・・・わが現行刑訴法は新聞記者を証言拒絶権あるものとして列挙していないのであるから、刑訴法149条に列挙する医師等と比較して新聞記者に右規定を類推適用することのできないことはいうまでもない」(最大判昭27.8.6)
= 新聞記者が証言を拒絶することも認めるかどうかは要検討 → 刑法では証言拒絶権があるとしていない → 列挙している医師と比較して新聞記者に適用することはできない。
✗ 証言拒絶の権利は、新聞記者に対しても認められる。
「報道機関といえども、・・・、取材の手段、・方法が賄賂、脅迫、強要等の一般の刑罰法令に触れる行為を伴う場合は勿論、・・・違法性を帯びるものといわなければならない。」としている。(最決昭53.5.31)
✗ 取材の自由の重要性に鑑み、・・・報道機関が取材目的で公務員に秘密漏示をそそのかしても違法とはいえず、賄賂等の手段を用いても違法性が阻却される。
「しかし、筆記行為の自由は21条1項の規定によって直接保障されている表現の自由そのものとは異なる制約であるから、その制限または禁止には、表現の自由に制約を加える場合に一般に必要とされる厳格な基準が要求されるものではない」
「筆記行為は、一般的には人の生活活動の一つであり、生活のさまざまな場面において行われ、極めて広い範囲に及んでいるから、その全てが憲法の保障する自由に関係するものということはできないが、・・・、筆記行為の自由は、憲法21条1項の規定の精神に照らして尊重されるべきであるといわなければならない。」としている。(レペタ訴訟/最大判平元.3.8)
× 筆記行為の自由について、・・・、これを摂取することを補助するものとしてなされる限り、十分尊重に値するが、
筆記行為の自由は、「21条1項で直接保障される表現の自由そのものとは異なるため、厳格な審査基準は要求されていない」としている(最大判平元.3.8)
司法記者クラブ所属の報道機関の記者が法廷でメモをとること
「憲法14条1項の規定は、各人に対して絶対的な平等を保障したものではなく、合理的理由なくして差別することを禁止する趣旨であつて、それぞれの事実上の差異に相応して法的取扱いを区別することは、その区別が合理性を有する限り」14条1項に違反するものではないとしたうえで、「司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ法廷においてメモを取ることを許可することも、合理性を欠く措置ということはできない。」としている。(最大判平元.3.8)
情報を摂取する自由
情報を摂取する自由は、「21条1項の趣旨等(表現の自由を保障)から、その派生原理として当然導かれるとしている。」(最大判平元.3.8)
傍聴人のメモ行為
メモ行為については、「傍聴人の自由に任せることが21条1項の精神に合致する。」としている。(最大判平元.3.8)
表現の内容を理由とした規制であっても高い価値の表現でないことを理由に通常の内容規制よりも緩やかに審査され、規制が許されるべきだとする場合がある。
例)営利を目的とした表現や、人種的憎悪をあおる表現など
公共の福祉
「憲法21条1項にいう表現の自由といえども無制限に保障されるものではなく、公共の福祉による合理的で必要やむを得ない限度の制限を受けることがある。」としている。(最判平5.3.16)
デモ行為禁止の条例を定めること
「一般的な許可制を定めて公衆の集団示威行為を事前に抑制することは、憲法21条の趣旨に反して許されない。しかし、これらの行動といえども、公共の秩序を保持し、または公共の福祉が著しく侵されることを防止するため、特定の場所または方法につき、合理的かつ明確な基準のもとに、あらかじめ許可を受けしめ、または届出をなさしめて、このような場合にはこれを禁止することができる旨の規定を条例に設けても違憲ではない。」としている。(最大判昭29.11.24)
検閲
「憲法が、表現の自由につき、広くこれを保障する旨の一般的です規定を同条1項に置きながら、別に検閲の禁止についてかような」特別の規定を設けたのは、公共の福祉を理由とする例外の許容をも認めない趣旨を明らかにしたもの。」としている。(最大判昭59.12.12)
最高裁判所はこれを一切の例外を許さない絶対的禁止とする立場を明らかにしている。
「『検閲』とは、行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、・・・、発表前にその内容を審査した上、不適当と認められる者の発表を禁止することを、その特質として備えるものを指す。」(最大判昭59.12.12)
→ 「裁判所が表現物の事前差止めの仮処分を行うことは『検閲』には当たらない。」としている。(最大判昭61.6.11)
出版物の頒布等の事前差止めの対象が「公務員又は公職選挙の候補者に対する評価、批判等の表現行為」に関するものであっても、「その表現の内容が真実でなく、又それが専ら公益を図る目的のものでないことが明白であつて、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被る」おそれがあるときは、例外的に事前差止めが許される。(最大判昭61.6.11)
外国から輸入しようとした出版物にわいせつな表現が含まれている場合
税関検査につき、表現の事前規制たる側面を有することを否定することはできないとしつつも、事前規制そのものではないとして、合憲としている。
税関が輸入禁制品として没収するのは合憲、事前規制そのものではない。(最大判昭59.12.12)
教科書検定
教科書検定は事前抑制そのものではないとした上で、検定による表現の自由の制限は、合理的で必要やむを得ない限度のものであるとして、合憲としている。(最判平5.3.16)
教科書検定は、「一般図書としての発行を何ら妨げるものではなく、発表禁止目的や発表前の審査などの特質がないから、検閲に当たらず、憲法21条2項前段の規定に違反するものではない。」としている。(最判平5.3.16)
「(二)その制限も、右の観点からして不適切と認められる内容を含む図書のみを、教科書という特殊な形態において発行を禁ずるものにすぎないことなどを考慮すると、本件検定による表現の自由の制限は、合理的でやむを得ない限度のものというべきであって、憲法21条1項の規定に違反するものではない。」としている。(最判平5.3.16)
表現の自由 = 表現の内容規制 → ある表現が伝達しようとするメッセージを理由とした規制。
表現内容中立規制 = 表現が伝達しようとするメッセージの内容には直接関係なく行われる規制である。
例)学校近くでの騒音の制限、一定の選挙運動の制限
「表現行為を規制する刑罰法規の法文が漠然不明確であったり、過度に広汎であったりするときに、そうした文言の射程を限定的に解釈し合憲とすることが許される場合がある」(最大判昭50.9.10、最大判平19.9.18)
表現行為というのは、私たちが自分の考えや気持ちを言葉や行動で表すことです。例えば、意見を言ったり、本を書いたり、デモ行進をしたりすることが含まれます。 憲法では、この表現の自由がとても大切な権利として守られています。でも同時に、他人を傷つけたり社会の秩序を乱したりするような表現は制限されることがあります。 ここで問題になるのは、その制限を定めた法律の文章が、時々曖昧だったり、範囲が広すぎたりすることです。例えば、「公共の利益を害する表現をしてはいけない」という法律があったとします。これだと、何が「公共の利益を害する」のか、はっきりしませんよね。 そういう時、裁判所が出てきて、その法律の意味を限定的に解釈します。つまり、「この法律が禁止しているのは、具体的にこういう場合だけです」と、範囲を狭めて説明するんです。例えば、「他人の名誉を傷つける嘘の情報を広めること」というように、具体的に示します。 このように解釈することで、表現の自由を必要以上に制限することなく、同時に法律の目的も達成できるようにします。そして、このような解釈をすれば、その法律は憲法に反していないと判断できるんです。 つまり、表現の自由を制限する法律であっても、その適用範囲を明確に限定して解釈すれば、憲法に適合すると判断できる場合がある、ということです。
学問の自由
制度的保障
23条の「学問の自由」の保障には、大学の自治が含まれると解されている。大学の自治とは、大学の固有の権利として「自治権」という権利を保障しているわけではなく、学問の自由を制度的に強化する「制度的保障」であるとする見解が有力である。
✗ 大学に対して、固有権としての自治権を保障したものであるとする。
学問研究を使命とする人や施設による研究は、真理探求のためのものであるとの推定が働くと、学説上考えられてきた。
罰則によって特定の種類の研究活動を規制
「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」 → クローン人間等の産生を罰則によって禁止している。
✗ 特定の種類の研究活動を規制することまではしていない。
大学
「憲法23条の学問の自由は、学生も一般国民と同じように共有する。しかし、大学の学生としてそれ以上に学問の自由を享有し、また大学当局の自治的管理による施設を利用できるのは、大学の本質に基づき、大学の教授その他の研究者の有する特別な学問の自由と自治の効果としてである。」としている。(最大判昭38.5.22)
享有・・・権利・能力など無形のものを)生まれながらに身につけ持っていること。
学生の集会
「学生の集会が真に学問的な研究またはその結果の発表のためのものでなく、実社会の政治的社会的活動に当たる行為をする場合には、大学の有する特別の学問の自由と自治は享有しないといわなければならない。」としている。(最大判昭38.5.22)
教科書の検定制度
「教科書は、・・・、学術研究の結果の発表を目的とするものではなく、本件検定は、申請図書に記述された研究結果が、たとい執筆者が正当と信ずるものであったとしても、いまだ学界において支持を得ていなかったり、あるいは当該学校、当該教科、当該科目、当該学年の児童、生徒の教育として取り上げるにふさわしい内容と認められないときなど旧検定基準の各条件に違反する場合に、教科書の形態における研究結果の発表を制限するにすぎない。このような検定が学問の自由を保障した憲法23条の規定に違反しないことは・・・明らかである。」としている。(最判平5.3.16)
居住・移転(経済的自由)
職業選択の自由
営業の自由
- 大規模店舗の都道府県の勧告 → 大規模店舗を出店しようとする者は、当該店舗の所在地の都道府県に届け出なければならない。
→ 事実上、「営業の自由」が制限される。
✗ 「営業の自由」を制限しているとはいえない。
- 行政書士試験等による資格制
→ それを受けて合格していなければ、行政書士として適法に営業できないという法的効果を伴う = 国民の「営業の自由」を制限しているといえる。
✗ 営業の自由を制限しているとはいえない。
- 酒類の販売の免許制
→ 「営業の自由」を制限しているといえる。
種類販売の免許制を定める酒税法の規制について、・・・「租税の適正かつ確実な賦課徴収を図るという国家財政目的のために職業の許可制による規制については、その必要性と合理性についての立法府の判断が、右の政策的、技術的な裁量の範囲を逸脱するもので、著しく不合理なものでない限り、これを憲法22条1項の規定に違反するものということはできない。」としている。(最判平4.12.15)
- 公衆浴場に許可制における距離制限がとられること
→ 許可を受けなければ、業者は適法の浴場経営をできなくなる。→ 法的拘束力をもつものとして、業者の「営業の自由」を制限しているといえる。
「公衆浴場業者が経営の困難から廃業や転業をすることを防止し、健全で安定した経営を行えるように種々の立法上の手段をとり、国民の保健福祉を維持することは、まさに公共の福祉に適合する。」。(最判平元.1.20)
- 医薬品の供給の資格制
→ 違憲とした判例はない(最大判昭50.4.30)
✗ 医薬品の供給を資格制にすることについては、必要かつ合理的な措置ではないとして、違憲判決がでている。
- 司法書士の独占業務
→ 「登記制度が社会生活上の利益に重大な影響を及ぼすものであることなどを指摘したうえで、公共の福祉に合致した合理的な者である」として、合憲としている。(最判平12.2.8)
- 小売市場の開設の都道府県知事の許可
→ 「国が経済社会の調和的発展を企図するという観点から中小企業保護政策の一方策としてとった措置ということができ、その目的において、一応の合理性を認めることができないわけではない。」として、合憲としている。(最大判昭47.12.22)
財産権
1項 財産権は、これを侵してはならない。
3項 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
・「災害を未然に防止するという社会生活上の已むを得ない必要からくることであつて、ため池の堤とうを使用する財産権上の権利を有する者は何人も、公共の福祉のため、当然これを受忍しなければならない責任を負う。」(奈良県ため池条例事件/最大判昭38.6.26)
「ため池の破損、決かいの原因となるため池の堤とうの使用行為は、憲法でも、民法でも適法な財産権の行使として保障されていない。」(奈良県ため池条例事件/最大判昭38.6.26)
「憲法、民法を保障する財産権の行使の埒外(らちがい)にあるものというべく、従つて、これらの行為を条例をもつて禁止、処罰しても憲法および法律に抵触またはこれを逸脱するものとはいえない。」(奈良県ため池条例事件/最大判昭38.6.26)
私有財産
人身の自由
何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。
適正手続の保障
- 「地方自治法14条5項のように限定された刑罰の範囲内で条例に罰則の定めを授権しても憲法31条に違反しない。」としている。(最大判昭37.5.30)
× 条例によって罰則を定めることは許されていない。
罪刑法定主義
刑罰を科すまでの手続だけでなく、実体も法律できめておかなければならない。
- 日本国憲法は、31条とは別に「罪刑法定主義」を規定した条文は存在しない。
× 日本国憲法は別に罪刑法定主義の条文をもっているので、
- 31条において刑事手続の適正が保障されていると解している。(最大判昭37.11.28)
第三者の所有物の没収
「第三者の所有物の没収は、被告人に対する附加刑として言い渡され、その刑事処分の効果が第三者に及ぶものであるから、所有物を没収せられる第三者についても、告知、弁解、防禦の機会を与えることが必要であって、これなくして第三者の所有物を没収することは、適正な法律手続によらないで、財産権を侵害する制裁を科するに外ならない。」としている。(最大判昭37.11.28)
「かかる没収の言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であつても、被告人に対する附加刑である以上、没収の裁判の違憲を理由として上告をなしうることは当然である。」。(最大判昭37.11.28)
× 没収されたことを理由に、手続の違法性を主張することはできない。
行政手続
「憲法31条の定める法定手続の保障は、直接には刑事手続に関するものであるが、行政手続については、それが刑事手続ではないとの理由のみで、そのすべてが当然に同条による保障の枠外にあると判断することは相当ではない。」。(最大判平4.7.1)
教科書検定
「行政処分については、憲法31条による法定手続の保障が及ぶと解すべき場合があるにしても、それぞれの行政目的に応じて多種多様であるから、常に必ず行政処分の相手方に告知、弁解、防御の機会を与えるなどの一定の手続を必要とするものではない。」。
→ 「本件検定による制約は、思想の自由市場への登場という表現の自由の本質的な部分に及ぶものではなく、また、教育の中立・公正、一定水準の確保等の高度の公益目的のために行われるものである。」。
→ 教科書検定が「憲法31条の法意に反するということはできない。」。(最判平5.3.16)
逮捕
✗ いかなる場合においても、正当な理由に基づいて発せられ、かつ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。
「憲法35条は、『住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利』を規定しているところ、この規定の保障対象には、『住居、書類及び所持品』に限らずこれらに準ずる私的領域に『侵入』されることのない権利が含まれる」(最大判平29.3.15)
抑留または拘禁
「単に被疑者が弁護人を選任することを官憲が妨害してはならないというにとどまるものではなく、被疑者に対し、弁護人を選任した上で、弁護人に相談し、その助言を受けるなど弁護人から援助を受ける機会を持つことを実質的に保障しているものと解すべきである。」としている。(最大判平11.3.24)
公務員による拷問
公務員による拷問および残虐な刑罰の禁止は、「公共の福祉」を理由とする例外を許容しない。
刑事事件
「憲法37条1項の保障する迅速な裁判をうける権利は、憲法の保障する基本的な人権の一つであり、・・・、単に迅速な裁判を一般的に保障するために必要な立法上および司法行政上の措置をとるべきことを要請するにとどまらず、さらに個々の刑事事件について、現実に右の保障が明らかに反し、審理の著しい遅延の結果、迅速な裁判をうける被告人の権利が害せられたと認められる異常な事態が生じた場合には、これに対処すべき具体的規定がなくても、もはや当該被告人に対する手続の続行を許されず、その審理を打ち切るという非常救済手段がとられるべきことをも認めている趣旨の規定である。」。(最大判昭47.12.20)
✖︎ 法令上具体的規定が存在しなければ、迅速な裁判を受ける権利を根拠に救済手段を取ることはできない。
不利益供述の禁止
「憲法38条1項の法意が、何人も自己の刑事上の責任を問われるおそれのある事項について供述を強要されないことを保障したものであると解すべきことは、当裁判所大法廷の判例・・・とするところであるが、右規定による保障は、純然たる刑事手続においてばかりではなく、それ以外の手続においても、実質上、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有する手続には、ひとしく及ぶものと解するのを相当とする。」としている。(最大判昭47.11.22)
追徴税の併科
「法が追徴税を行政機関の行政手続により租税の形式により課すべきものとしたことは追徴税を課せられるべき納税義務違反者の行為を犯罪とし、これに対する刑罰として、これを課する趣旨でないこと(は)明らかである。」としてうえで、「追徴税のかような性質にかんがみれば、憲法39条の規定は刑罰たる罰金と追徴税とを併科することを禁止する趣旨を含むものでないと解するのが相当である。」としている。(最判昭33.4.30)
強制、拷問もしくは脅迫による自白または不当に長く抑留もしくは拘禁された後の自白
→ これを証拠とすることができない
奴隷拘束からの自由
→ 「公共の福祉」を理由とする例外は許容されていない
✖︎ 「公共の福祉」を理由とした例外を許容する立場を明らかにしている。
- 「貨物の密輸出で有罪になった被告人」
→ 「被告人に対する附加刑である以上、没収の裁判の違憲を理由として上告をなしうることは当然である」
× 被告人が、手続的保障がないまま、手続の違憲性を主張することはできない
受益権
請願権
「請願権」は、憲法上、明文で認められている権利である。
公務員の不法行為
✗ 「補償」を求めることができる
無罪の裁判
公務員の不法行為 → 賠償
無罪の裁判 → 補償
参政権
比例代表選挙
「比例代表選挙が直接選挙に当たらないということはできず、憲法43条1項、15条1項、3項に違反するとはいえない。」としている。(最大判平11.11.10)
「国民の選挙権又はその行使を制限することは原則として許されず、国民の選挙権又はその行使を制限するためには、そのような制限をすることがやむを得ないと認められる事由がなければならないというべきである」。(最大判平17.9.14)
「国民の選挙権の制限又はその行使を制限することは原則として許されず、国民の選挙権又はその行使を制限するためには、そのような制限をすることがやむを得ないと認められる事由がなければならないというべきである。
→ 「そのような制限をすることなしには選挙の公正を確保しつつ選挙権の行使を認めることが事実上不能ないし著しく困難であると認められる場合でない限り、・・・やむを得ない事由があるとはいえず、このような事由なしに国民の選挙権の行使を制限することは、憲法15条1項及び3項、43条1項並びに44条ただし書きに違反するといわざるを得ない」。
→ 「立法の不作為によって国民が選挙権を行使することができない場合についても同様である」。(最大判平17.9.14)
立候補の自由
「立候補の自由は、選挙権の自由な行使と表裏の関係にあり、自由かつ公正な選挙を維持するうえで、きわめて重要である」。
→ 「殊に、公職選挙における立候補の自由は、憲法15条1項の趣旨に照らし、基本的人権の一つとして、憲法の保障する重要な権利であるから、これに対する制約は、特に慎重でなければならない」。(最大判昭43.12.4)
社会権
生存権
「憲法25条1項・・・国政を運営すべきことを国の責務として宣言したにとどまり、直接個々の国民に対して具体的権利を賦与したものではない。」としている。(最大判昭42.5.24)
25条「により直接に個々の国民は、国家に対して具体的、現実的な権利を有するものではない。社会的立法及び社会的施設の創造拡充に従って、初めて個々の国民の具体的、現実的な生活権は設定充実せられてゆくのである。」としている。(最大判昭23.9.29)
「現実の生活条件を無視して著しく低い基準を設定する等憲法および生活保護法に趣旨・目的に判旨、法律によつて与えられた裁量権の限界をこえた場合または裁量権を濫用した場合には、違法な行為として司法審査の対象となることをまぬかれない。」としている。(最大判昭42.5.24)
憲法25条1項「にいう『健康で文化的な最低限度の生活』なるものは、きわめて抽象的・相対的な概念であつて、・・・、その具体的内容は、その時々における文化の発達の程度、経済的・社会的条件、一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであるとともに、右規定を現実の立法として具体化するにあたつては、国の財政事情を無視することができず、また多方面にわたる複雑多様な、しかも高度の専門的考察とそれに基づく政策的判断を必要とする」として、「憲法25条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は、立法府の広い裁量にゆだねられている。」としている。(最大判昭57.7.7)
憲法25条「1項は、国が個々の国民に対して具体的・現実的に右のような義務を有することを規定したものではなく、同条2項によつて国の責務であるとされている社会的立法及び社会的施設の創造拡充により個々の国民の具体的・現実的な生活権が設定充実されてゆくものであると解すべき。」としている。(最大判昭57.7.7)
教育を受ける権利
「普通教育においては、子どもの側に学校や教師を選択する余地が乏しく、教育の機会均等をはかる上からも全国的に一定の水準を確保すべき強い要請があること等に思いをいたすときは、普通教育における教師に完全な教授の自由を認めることは、とうてい許されない」としている。(旭川学テ事件/最大判昭51.5.21)
✗ 大学における教授の自由と同じように、完全な教授の自由が認められる。
「・・・みずから学習することのできない子どもは、その学習要求を充足するための教育を自己に施すことを大人一般に対して要求する権利を有するとの観念が存在していると考えられる。」としている。(最大判昭51.5.21)
「一般に社会公共的な問題について国民全体の意思を組織的に決定、実現すべき立場にある国は、国政の一部として広く適切な教育政策を樹立、実施すべく、また、しうる者として、憲法上は、あるいは子ども自身の利益の擁護のため、必要かつ相当と認められる範囲において、教育内容についてこれを決定する権能を有するものと解さざるをえない。」としている。(最大判昭51.5.21)
義務教育の無償
「義務教育は、これを無償とする。」とあり、これは授業料不徴収という意味であって、仮に教科書代金を徴収しても、憲法に違反しない。(最大判昭39.2.26)
少年院に送致した国民
「少年を、少年院に送致した結果、高等学校教育を受ける機会を失わせたとしても、差別的待遇を禁止した教育基本法3条1項に違反せず、したがって、憲法26条1項にも違反しない。」としている。(最大判昭32.4.5)
教科書検定
教科書検定は「教育内容の正確、中立、公正で全国的一定水準を確保するために行われるものであり、憲法26条に違反しない。」としている。(最判平5.3.16)
労働基本権
労働基本権と公務員
「労働基本権は、・・・勤労者の経済的地位の向上のための手段として認められたものであつて、・・・おのずから勤労者を含めた国民全体の共同利益の見地からする制約を免れないものであり、・・・勤労者たる地位にあるすべての者を包摂した国民全体の共同の利益を指すものということができよう。」としている。(最大判昭48.4.25)
- 正当な争議行為には刑罰が科せられない
刑事免責(労働基本権の自由権的側面)は具体的権利であり、国の措置によってはじめて具体的権利が生じるわけではない。
- 統一候補以外の組合員で立候補しようとする者に対し、「勧告または説得の域を超え、立候補を取りやめることを要求し、これに従わないことを理由に当該組合を統制違反者として処分するがごときは、組合の統制権の限界を超えるものとして、違法といわなければならない。」としている。(最大判昭43.12.4)
臨時組合費の納入について
1.「労働者の権利利益に直接関係する立法や行政措置を促進するための活動のごときは、政治活動としての一面をもち、そのかぎりにおいて組合員の政治的思想、見解、判断等としての一関係ではありえないけれども、それとの関連性は稀薄であり、むしろ組合員個人の政治的立場の相違を超えて労働組合本来の目的を達成するための広い意味における経済的活動ないしはこれに付随する活動であるとみられるものであつて、このような活動について組合員の協力を要求しても、その政治的自由に対する制約の程度は極めて軽微なものということができる。それゆえ、このような活動については、労働組合の自主的な政策決定を優先させ、組合員の費用負担を含む協力義務を肯定すべきである。」としている。(最判昭50.11.28)
→ 組合員に納入義務あり
2.いわゆる安保反対闘争実施の活動費用
→ 組合員に納入義務なし
3.いわゆる安保反対闘争により不利益処分を受けた組合員を救援する費用
→ 組合員に納入義務あり
(国労広島地本事件/最判昭50.11.28)
【法学】基礎法学
1.法学
1.1.法の分類・効力
1.2.法令用語
2.紛争解決の方法
2.1.紛争解決
1.1.法の分類・効力
1.1.1.法の分類
成分法
明文をもって定められた法。
慣習法
社会の法的確信を伴うに至った慣習であって、法的効力が認められているもの。
罪刑法定主義
犯罪と刑罰の内容はあらかじめ法律によって規定されたものでなければならない
→ 罪刑法定主義には「慣習刑法の否定」が派生原理として含まれるので、慣習法は、刑法の直接の法源とはなりえない。
慣習
1.1.2.法の優劣
特別法優先の原則
2項 商事に関し、この法律に定めがない事項については**商慣習**に従い、商慣習がないときは、**民法**の定めるところによる。
商事に関して
商法 > 商習慣 > 民法
国際法
準拠法
渉外的な法律関係に適用される法として、国際私法上のルールによって指定される法。
- 渉外事件に適用される準拠法は、国際私法に基づいて決定されるが、各国は、各々独特の国際私法を制定している。わが国は、「法の適用に関する通則法」を制定しており、「当事者の国法によるべき場合において、その国の法に従えば日本法によるべきときは、日本法による」としている。
手続法と実体法
- 手続法
例)戸籍法、不動産登記法
- 実体法
権利の発生、変更および消滅の要件など法律関係について規律する法
例)刑法、民法
自然法と実定法
- 実定法
国際機関による制定行為や、慣習などの経験的事実といった人為に基づいて成立した法。
法秩序の構成
- 法律の所管事項
法律の所管事項は、憲法が直接規定している事項を除き、法令の形式によって規律すべき事項のあらゆる分野にわたり得る。
- 国法
地域の特性にかんがみ特別の地域に限って規制を行ったり、規制の特例措置をとったりする特別法も存在する。
普通地方公共団体の長は、法令に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規定を制定することができる。
- 条例・規則
条例:地方議会が制定する法規
規則:地方公共団体の長や行政委員会が定める法規
→ 「条例」と「規則」を総称して、広義の「条例」または「例規」という。
× 内閣の制定する政令や地方議会の制定する条例は違憲審査の対象にならない。
一般法と特別法
一般法
ある特別法との関係において、当該特別法よりも適用領域が広い法。
特別法
一般法に優先して適用されるのが原則。
例)商法 > 民法
新法と旧法
新法 > 旧法
- 旧法が新法の特別法の場合
旧法 > 新法
新法>旧法よりも特別法優先の原則
法令の効力
公布
- 公布は、慣行として官報によることとされている。
施行
施行とは、法令の規定の効力を現実に一般的に発動させること。
法令は、公布され、かつ施行される日から国民に対する効力を生じる。
その法律で施行期日を定めないとき → 公布の日から起算して20日を経過した日から施行される。
× 必ず施行期日を定めなければならない
- 法律は、公布日から直ちに施行することもできる。
× 法律の公布から施行まで一定の期間を置くことが必要であるため、公布日から直ちに法律を施行することはできない。
法律不遡及の原則
何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。
法はその施行後の事項についてのみ適用され、施行前の事項にまでさかのぼって適用されないのが原則である。
- 法律の廃止 → 廃止前の違法行為に対し罰則の適用を継続する旨の規定を置くことは許される。なお、この場合の「罰則の適用については、なお従前の例による」または「罰則の適用については、旧法は、この法律施行後も、なおその効力を有する」といった明文の規定が置かれる。
× 罰則の適用を継続する旨の規定をおくことは許されない
場所に対する効力
- 刑法
→ 日本国外にある日本船舶または日本航空機内において罪を犯した者についても適用される
- 外国人が日本国外において一定の犯罪
→ 刑法を適用する旨の規定がある
人に対する効力
法は施行地域内のすべての人に適用されるとする原則
× わが国の法律は属人主義
限時法
法律の有効期間を当該法律の中で明確に定めている場合
委任
住民の権利を制限し、義務を課する規定を設けるには
→ 政令では法律による委任を必要とする
→ 条例では法律等による委任を要しない
1.1.3.法の解釈
拡張解釈
法令の規定の文字を、それが普通意味するところよりも若干広げて解釈すること
類推解釈
似かよった事例のうち、一方についてだけ規定があって、他方については、明文の規定がない場合に、その規定と同じ趣旨の規定が他方にあるものと考えて解釈すること
反対解釈
ある事項につき規定があり、他の事項につき規定がない場合、規定がない事項については、規定がある事項と反対の結果を引き出す解釈
紛争解決と司法制度
裁判上の紛争処理
- 法令適用の前提となる事実の存否が確定できない場合でも
→ 裁判を拒否することができない
最高裁判所
「憲法その他の法令の解釈適用について、意見が前に最高裁判所のした裁判に反するとき」
→ 大法廷で裁判しなければならない
× 大審院のした裁判と異なるとき
- 法律審 → もっぱら法令に違背するか否かの観点から審査するのみ
× 事実認定につき必ず判断
- 刑事訴訟において、判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認があった場合
→ 原判決を破棄することができる
刑事裁判と民事裁判
「刑事判決において本件6000円の債権が存在する者と、認められたからといつて民事判決においてそれと反対の事実を認定することは固より妨げない」
刑事訴訟
控訴審:第1審の裁判の記録に基づいて、その判断の当否を事後的に審理するもの(事後審)
上告審:「法律審」→職権により事実誤認の有無についても判断することができ、原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認める場合には破棄することになるが、この場合には、例外的に「事実審」として機能しているといえる
✗ 再審の制度は認められていない
裁判官が合議制により裁判を行う場合
→ 裁判官の意見が一致しないときであっても、少数意見を付すことはできない
1.訴訟の目的の価額が140万円を超えない請求に関する民事事件
2.軽微な犯罪についての刑事事件の第一審
管轄する事件について、罰金以下の刑または一定の場合における3年以下の懲役刑しか科することができない
民事事件の訴訟代理
✗ 行政書士
口頭で訴えを提起することができる
→ 同一簡易裁判所において同一の年に最高裁判所規則で定める回数の超えてこれを求めることができない
→ 債権者の申立てにより、支払督促をすることができる
訴訟事件を取り扱うことができる
原則として裁判官の合議制によって行われる
最高裁判所:70歳
簡易裁判所:年齢70年に達した時
に退官
- 判決
訴訟事件の終局的判断その他の重要な事項について、裁判所がする裁判
→ 原則として口頭弁論に基づいて行われる
家事事件および少年事件について、家庭裁判所がする審判は含まれない
✗ 「判決」には家事事件および少年事件について、家庭裁判所がする審判も含まれ、審判は原則として口頭弁論に基づいて行われる
- 決定
訴訟指揮、迅速を要する事項および付随的事項について、判決よりも簡易な方式で行われる裁判所がする裁判
→ 口頭弁論を経ることを要しない
- 命令
決定と同じく、判決よりも簡易な方式で行われる裁判
1.1.4.法の効力
【会社法】会社の種類と株主の責任・株式会社の設立・株式・機関
1.会社の種類と株主の責任
2.株式会社の設立
3.株式
3.1.株式総説
3.2.株式の譲渡
3.3.自己株式
3.4.株式併合・分割・無償割当
3.5.単元株制度
3.6.募集株式の発行
4.機関
4.1.機関設計
4.2.株主総会
4.3.取締役・取締役会
4.4.取締役と会社の関係
4.5.取締役の第三者に対する責任
4.6.その他の機関
4.7.特殊な会社形態
4.8.株主総会
5.資本金・剰余金
6.組織再編
2.株式会社の設立
発起設立
25条
株式会社は、次に掲げるいずれかの方法により設立することができる。
2項 各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない。
→ 発起設立、募集設立の場合もあてはまる。
27条(定款の記載又は記録事項)
株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店の所在地
四 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
五 発起人の氏名又は名称及び住所
✖︎ 資本金の額
✖︎ 設立時発行株式の数
28条(現物出資)
株式会社を設立する場合には、次に掲げる事項は、定款に記載し、又は記録しなければ、その効力を生じない。
1項 金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数
2項 株式会社の成立後に譲り受けることを約した財産及びその価額並びにその譲渡人の氏名又は名称(財産引受)
3号 株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益及びその発起人の氏名又は名称
4号 株式会社の負担する設立に関する費用
34条(出資の履行)
1項 発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。
ただし、発起人全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、株式会社の成立後にすることを妨げない。
36条(設立時発行株式の株主となる権利の喪失)
1項 発起人のうち出資の履行をしていないものがある場合には、発起人は、当該出資の履行をしていない発起人に対して、期日を定め、その期日までに当該出資の履行をしなければならない旨を通知しなければならない。
3項 第1項の規定による通知を受けた発起人は、その期日までに出資の履行をしないときは、当該出資の履行をすることにより設立時発行株式の株主となる権利を失う。
37条(発行可能株式総数の定め等)
1項 発起人は、株式会社が発行することができる株式の総数(「発行可能株式総数」)を定款で定めていない場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。
2項 発起人は、発行可能株式総数を定款で定めている場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、発行可能株式総数についての定款の変更をすることができる。
3項 設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の4分の1を下ることができない。ただし、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。
38条(設立時役員等の選任)
1項 発起人は、出資の履行が完了した後、遅滞なく、設立時取締役(株式会社の設立に際して取締役となる者をいう。以下同じ。)を選任しなければならない。→発起設立
40条(設立時役員等の選任の方法)
1項 設立時役員等の選任は、発起人の議決権の過半数をもって決定する。→募集設立
50条(株式の引受人の権利)
発起人は、株式会社の成立の時に、出資の履行をした設立時発行株式の株主となる。
52条の2(出資の履行を仮装した場合の責任等)
2項 前項各号に掲げる場合には、発起人がその出資の履行を仮装することに関与した発起人又は設立時取締役として法務省令で定める者は、株式会社に対し、当該各号に規定する支払をする義務を負う。
53条(発起人等の損害賠償責任)
1項 発起人、設立時取締役又は設立時監査役は、株式会社の設立についてその任務を怠ったときは、当該株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
2項 発起人、設立時取締役又は設立時監査役がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該発起人、設立時取締役又は設立時監査役は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
54条(発起人等の連帯責任)
発起人、設立時取締役又は設立時監査役が株式会社又は第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において、他の発起人、設立時取締役又は設立時監査役も当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。
55条(責任の免除)
第52条第1項の規定により発起人又は設立時取締役の負う義務及び第53条第1項の規定により発起人、設立時取締役又は設立時監査役の負う責任は、総株主の同意がなければ、免除することができない。
56条(株式会社不成立の場合の責任)
株式会社が成立しなかったときは、発起人は、連帯して、株式会社の設立に関してした行為についてその責任を負い、株式会社の設立に関して支出した費用を負担する。
募集設立
63条(設立時募集株式の払込金額の払込み)
1項 設立時募集株式の引受人は、第58条第1項第3号の期日又は同号の期間内に、発起人が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、それぞれの設立時募集株式の払込金額の全額の払込みを行わなければならない。
→ 財産引受については、発起人以外の者もその相手方となることができる。
64条(払込金の保管証明)
1.発起設立 → 払込みの取り扱いをした銀行は、金銭の保管に関する証明義務を負わない。
2.募集設立 → 発起人は、払込みの取り扱いをした銀行に対し、払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求することができる。
73条(創立総会の決議)
創立総会の決議は、当該創立総会において議決権を行使することができる設立時株主の議決権の過半数であって、出席した当該設立時株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う。
75条(書面による議決権の行使)
1項 書面による議決権の行使は、議決権行使書面に必要な事項を記載し、法務省令で定める時までに当該議決権行使書面を発起人に提出して行う。
76条(電磁的方法による議決権の行使)
1項 電磁的方法による議決権の行使は、政令で定めるところにより、発起人の承諾を得て、法務省令で定める時までに議決権行使書面に記載すべき事項を、電磁的方法により当該発起人に提供して行う。
→ 書面による議決権行使や電磁的方法によりる議決権行使が認められている。
96条(創立総会における定款の変更)
第30条第2項の規定にかかわらず、創立総会においては、その決議によって、定款の変更をすることができる。
98条(創立総会の決議による発行可能株式総数の定め)
募集設立において、発行可能株式総数を定款で定めていないときは、株式会社の成立の時までに、創立総会の決議によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。
✖︎ その全員の同意
57条(設立時発行株式を引き受ける者の募集)
発起人は、この款の定めるところにより、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする旨を定めることができる。
2項 発起人は、前項の募集をする旨を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。
103条(発起人の責任等)
4項 第57条第1項の募集をした場合において、当該募集の広告その他当該募集に関する書面又は電磁的記録に自己の氏名又は名称及び株式会社の設立を賛助する旨を記載し、又は記録することを承諾した者(発起人を除く。)は、発起人とみなして、前節及び前三項の規定を適用する。
→ 募集設立の場合において、発起人でない者が、設立時株式の引受の募集の広告等において、自己の名または名称および会社設立を賛助する旨の記載等をしたときには、当該発起人でない者は発起人とみなされ、発起人と同一の責任を負う。
3.株式
3.1.株式総説
104条
株主の責任は、その有する株式の引受価額を限度とする。
107条(株式の内容についての特別の定め)
1項 株式会社は、その発行する全部の株式の内容として次に掲げる事項を定めることができる。
1号 譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。
108条(異なる種類の株式)
1項 株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる。
4号 譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。
3.2.株式の譲渡
3.2.2.譲渡制限株式の譲渡
136条(株主からの承認の請求)
譲渡制限株式の株主は、その有する譲渡制限株式を他人(当該譲渡制限株式を発行した株式会社を除く。)に譲り渡そうとするときは、当該株式会社に対し、当該他人が当該譲渡制限株式を取得することについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。
137条(株式取得者からの承認の請求)
1項 譲渡制限株式を取得した株式取得者は、株式会社に対し、当該譲渡制限株式を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。
2項 前項の規定による請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した株式の株主として株主名簿に記載され、若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人と共同してしなければならない。
139条(譲渡等の承認の決定等)
株式会社が第136条又は第137条第1項の承認をするか否かの決定をするには、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
→ 株主総会の普通決議
174条(相続人等に対する売渡しの請求に関する定款の定め)
株式会社は、相続その他の一般承継により当該株式会社の株式(譲渡制限株式に限る。)を取得した者に対し、当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる旨を定款で定めることができる。
467条(事業譲渡等の承認等)
1項 株式会社は、次に掲げる行為をする場合には、当該行為がその効力を生ずる日(「効力発生日」)の前日までに、株主総会の決議によって、当該行為に係る契約の承認を受けなければならない。
1号 事業の全部の譲渡
165条
2項 取締役会設置会社は、市場取引等により当該株式会社の株式を取得することを取締役会の決議によって定めることができる旨を定款で定めることができる。
156条(株式の取得に関する事項の決定)
1項 株式会社が株主との合意により当該株式会社の株式を有償で取得するには、あらかじめ、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
461条(市場価格のある株式の取得の特則)
取得する株式が市場価格のある株式である場合において、当該株式1株を取得するのと引換えに交付する金銭等の額が当該株式1株の市場価格として法務省令で定める方法により算定されるものを超えないときは、適用しない。
→ 有償で取得する場合、株主に対して金銭等の帳簿価額の総額は、当該行為がその効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならない。
179条(株式等売渡請求)
株式会社の特別支配株主は、当該株式会社の株主(当該株式会社及び当該特別支配株主を除く。)の全員に対し、その有する当該株式会社の株式の全部を当該特別支配株主に売り渡すことを請求することができる。
3.3.自己株式
3.4.株式併合・分割・無償割当
3.5.単元株制度
3.6.募集株式の発行
4.機関
4.1.機関設計
4.2.株主総会
295条(株主総会の権限)
2項 取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。
309条(株主総会の決議)
5項 取締役会設置会社以外の会社においては、株主総会は、招集権者が株主総会の目的である事項として株主に通知した事項以外についても、決議をすることができる。
124条(基準日)
1項 株式会社は、一定の日(以下この章において「基準日」という。)を定めて、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(「基準日株主」)をその権利を行使することができる者と定めることができる。
4項 基準日株主が行使することができる権利が株主総会又は種類株主総会における議決権である場合には、株式会社は、当該基準日後に株式を取得した者の全部又は一部を当該権利を行使することができる者と定めることができる。ただし、当該株式の基準日株主の権利を害することができない。
297条(株主による招集の請求)
1項 総株主の議決権100分の3(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。)及び招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができる。
310条(議決権の代理行使)
1項 株主は、代理人によってその議決権を行使することができる。
2項 代理権の授与は、株主総会ごとにしなければならない。
311条(書面による議決権の行使)
1項 書面による議決権の行使は、議決権行使書面に必要な事項を記載し、法務省令で定める時までに当該記載をした議決権行使書面を株式会社に提出して行う。
→ もっとも、当該株主が株主総会に出席して議決権を行使したときには、書面による議決権行使の効力は失われる。
303条(株主提案権)
2項 取締役会設置会社においては、総株主の議決権の100分の1(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権又は300個(これを下回る数を定款で定めた場合にあっては、その個数)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主に限り、取締役に対し、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができる。この場合において、その請求は、株主総会の日の8週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までにしなければならない。
→ 公開会社において、総株主の議決権の100分の1以上の議決権または300個以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の日の8週間前までに、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができる。
304条
株主は、株主総会において、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。次条第一項において同じ。)につき議案を提出することができる。
ただし、当該議案が法令若しくは定款に違反する場合又は実質的に同一の議案につき株主総会において総株主(当該議案について議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の10分の1(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の賛成を得られなかった日から3年を経過していない場合は、この限りでない。
→ 株主総会で3年以内に10分の1以上の賛成が無かった議案を提出してはダメ。
319条(株主総会の決議の省略)
1項 取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主(当該事項について議決権を行使することができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。
306条(株主総会の招集手続等に関する検査役の選任)
株式会社又は総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の100分の1(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主は、株主総会に係る招集の手続及び決議の方法を調査させるため、当該株主総会に先立ち、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができる。
314条(取締役等の説明義務)
取締役、会計参与、監査役及び執行役は、株主総会において、株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない。ただし、当該事項が株主総会の目的である事項に関しないものである場合、その説明をすることにより株主の共同の利益を著しく害する場合その他正当な理由がある場合として法務省令で定める場合は、この限りでない。
4.3.取締役・取締役会
327条(取締役会等の設置義務等)
1項 次に掲げる株式会社は、取締役会を置かなければならない。
2号 監査役会設置会社
327条の2(社外取締役の設置義務)
監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって金融商品取引法第二十四条第一項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものは、社外取締役を置かなければならない。
→ この社外取締役は、1人以上であれば足りる。
331条(取締役の資格等)
5号 取締役会設置会社においては、取締役は、3人以上でなければならない。
363条(取締役会設置会社の取締役の権限)
1項 次に掲げる取締役は、取締役会設置会社の業務を執行する。
1号 代表取締役
2号 代表取締役以外の取締役であって、取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定されたもの
2項 前項各号に掲げる取締役は、1箇月に1回以上、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならない。
366条(招集権者)
1項 取締役会は、各取締役が招集する。ただし、取締役会を招集する取締役を定款又は取締役会で定めたときは、その取締役が招集する。
→ 取締役会の招集権者を代表取締役とすることができる。
✖︎ 取締役会の目的である事項および議案を示すことを要する。
369条(取締役会の決議)
1項 取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。
2項 前項の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない。
5項 取締役会の決議に参加した取締役であって第三項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する。
330条(株式会社と役員等との関係)
株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。
→ 株式会社に分配可能額がない場合であっても、取締役の報酬等を支給することができる。
361条(取締役の報酬等)
取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(「報酬等」)についての次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。
3項 報酬等のうち当該株式会社の募集株式については、当該募集株式の数の上限その他法務省令で定める事項
4項 報酬等のうち当該株式会社の募集新株予約権については、当該募集新株予約権の数の上限その他法務省令で定める事項
373条(特別取締役による取締役会の決議)
1項 取締役会設置会社が次に掲げる要件のいずれにも該当する場合には、取締役会は、取締役会の決議については、あらかじめ選定した三人以上の取締役(「特別取締役」)のうち、議決に加わることができるものの過半数が出席し、その過半数をもって行うことができる旨を定めることができる。
1号 取締役の数が6人以上であること。
2号 取締役のうち1人以上が社外取締役であること。
335条(監査役の資格等)
3項 監査役会設置会社においては、監査役は、3人以上で、そのうち半数以上は、社外監査役でなければならない。
389条(定款の定めによる監査範囲の限定)
公開会社でない株式会社(監査役会設置会社及び会計監査人設置会社を除く。)は、その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる。
341条(役員の選任及び解任の株主総会の決議)
役員を選任し、又は解任する株主総会の決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行わなければならない。
1項 取締役は、監査役がある場合において、監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役(監査役が2人以上ある場合にあっては、その過半数)の同意を得なければならない。
2項 監査役は、取締役に対し、監査役の選任を株主総会の目的とすること又は監査役の選任に関する議案を株主総会に提出することを請求することができる。
339条(解任)
1項 役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。
309条(株主総会の決議)
次に掲げる株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行わなければならない。この場合においては、当該決議の要件に加えて、一定の数以上の株主の賛成を要する旨その他の要件を定款で定めることを妨げない。
345条(会計参与等の選任等についての意見の陳述)
1項 会計参与は、株主総会において、会計参与の選任若しくは解任又は辞任について意見を述べることができる。
4項 第1項の規定は監査役について、前二項の規定は監査役を辞任した者について、それぞれ準用する。
会計参与
326条(株主総会以外の機関の設置)
1項 株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない。
2項 株式会社は、定款の定めによって、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、監査等委員会又は指名委員会等を置くことができる。
328条(大会社における監査役会等の設置義務)
1項 大会社(公開会社でないもの、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は、監査役会及び会計監査人を置かなければならない。
2項 公開会社でない大会社は、会計監査人を置かなければならない。
329条(選任)
1項 役員(取締役、会計参与及び監査役をいう。)及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任する。
333条(会計参与の資格等)
1項 会計参与は、公認会計士若しくは監査法人又は税理士若しくは税理士法人でなければならない。
376条(取締役会への出席)
1項 取締役会設置会社の会計参与は、計算書類等・連結計算書類等の承認をする取締役会に出席しなければならない。
監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社
327条(取締役会等の設置義務等)
1項 次に掲げる株式会社は、取締役会を置かなければならない。
1号 公開会社
2号 監査役会設置会社
3号 監査等委員会設置会社
4号 指名委員会等設置会社
4項 監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社は、監査役を置いてはならない。
5項 監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社は、会計監査人を置かなければならない。
331条(取締役の資格等)
6項 監査等委員会設置会社においては、監査等委員である取締役は、3人以上で、その過半数は、社外取締役でなければならない。
349条(株式会社の代表)
1項 取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
4項 代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
361条(取締役の報酬等)
5項 監査等委員である取締役は、株主総会において、監査等委員である取締役の報酬等について意見を述べることができる。
6項 監査等委員会が選定する監査等委員は、株主総会において、監査等委員である取締役以外の取締役の報酬等について監査等委員会の意見を述べることができる。
400条(委員の選定等)
1項 指名委員会、監査委員会又は報酬委員会の各委員会は、委員3人以上で組織する。
2項 各委員会の委員は、取締役の中から、取締役会の決議によって選定する。
3項 各委員会の委員の過半数は、社外取締役でなければならない。
420条(代表執行役)
3項 指名委員会等設置会社では、代表執行役が会社の業務に関する包括的な代表権限を有する。
報酬委員会
報酬委員会は、執行役等の個人別の報酬等の内容に係る決定に関する方針を定めなければならない。
報酬委員会は、当該方針に従って、執行役等の個人別の報酬等の内容を決定する。
4.4.取締役と会社の関係
4.5.取締役の第三者に対する責任
4.6.その他の機関
4.7.特殊な会社形態
4.8.株主総会
資本金と資本準備金
445条(資本金の額及び準備金の額)
1項 株式会社の資本金の額は、この法律に別段の定めがある場合を除き、設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする。
2項 前項の払込み又は給付に係る額の2分の1を超えない額は、資本金として計上しないことができる。
3項 前項の規定により資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない。
剰余金の配当
453条(株主に対する剰余金の配当)
株式会社は、その株主(当該株式会社を除く。)に対し、剰余金の配当をすることができる。
✖︎ 当該株式会社に対し
454条(剰余金の配当に関する事項の決定)
1項 株式会社は、前条の規定による剰余金の配当をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
→「株式等」とは、株式、社債および新株予約権をいう。よって、株式会社は、配当財産として、金銭以外に当該株式会社の株式、社債または新株予約権を株主に交付することはできない。
458条(適用除外)
株式会社は、純資産額が300万円を下回る場合には、株主に対し、剰余金の配当をすることができない。
461条(配当等の制限)
1項 次に掲げる行為により株主に対して交付する金銭等(当該株式会社の株式を除く。以下この節において同じ。)の帳簿価額の総額は、当該行為がその効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならない。
8号 剰余金の配当
持分会社
576条(定款の記載又は記録事項)
1項 持分会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
→ 資本金の額は、合名会社、合資会社の登記事項ではない。
580条(社員の責任)
1項 社員は、次に掲げる場合には、連帯して、持分会社の債務を弁済する責任を負う。
1号 当該持分会社の財産をもってその債務を完済することができない場合
- 持分会社における持分は、1人の社員につき1個であり、各社員の有する持分の大きさは必ずしも均等ではない。
590条(業務の執行)
1項 社員は、定款に別段の定めがある場合を除き、持分会社の業務を執行する。
593条(業務を執行する社員と持分会社との関係)
1項 業務を執行する社員は、善良な管理者の注意をもって、その職務を行う義務を負う。
611条(退社に伴う持分の払戻し)
1項 退社した社員は、その出資の種類を問わず、その持分の払戻しを受けることができる。
- 取締役会設置会社以外の会社
→ 株主に通知した事項以外についても、決議をすることができる
基準日
基準日において株主名簿に記載され、または記録されている株主をその権利を行使することができる者と定めることができる
基準日株主が行使することができる権利が株主総会または種類株主総会における議決権である場合
→ 株式会社は、当該基準日後に株式を取得した者の全部または一部を当該権利を行使することができる者と定めることができる
株主総会の招集
総株主の議決権の100分の3以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主
→ 請求することができる
総株主の議決権の100分の1以上の議決権または300個以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主
→ 一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができる
→ 株主は、代理人によってその議決権を行使することができる
議決権の行使
- 書面に必要事項を記載し、提出 → 株主総会に出席して議決権を行使したとき
→ 書面による議決権行使の効力は失われる
- 当該提案につき議決権を行使できる株主の全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示
→ 当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったとみなされる
- 検査役の選任
→ 当該株主総会に先立ち、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができる
× 取締役に対し
- 株主総会において、株主から特定の事項について説明を求められた場合
→ 取締役、会計参与、監査役および執行役は、当該事項について必要な説明をしなければならない
取締役・取締役会
→ 有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないもの → 社外取締役を1人以上置かなければならない
→ 3か月に1回以上招集しなければならない → 招集権者を代表取締役とすることができる
→ 各取締役が招集する
× 代表取締役がこれを招集しなければならない
→ 1週間前までに、各取締役に対してその通知を発しなければならない
「取締役会の目的である事項および議案を示すことを要する」とする規定はない
✗取締役会の目的である事項および議案を示して、招集の通知をしなければならない
→ 特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない
議事録に意義をとどめない者 → その議決に賛同したものと推定される
- 報酬
株式会社との委任契約の対価として支払われる(分配可能額がない場合でも、取締役の報酬を支給することができる)
✗ 剰余金の処分として支払われる
当該会社の募集株式や募集新株予約権を取締役に付与する場合
→ 取締役の報酬等に関する定款の定めまたは株主総会の決議が必要とされている
- 特別取締役
取締役が6名以上で、1名以上の社外取締役がいる会社
→ 特別取締役を選定することができる
監査役・監査役会
✗ 会計監査に限定することができる
- 監査役の選任
議決権行使できる株主の過半数が出席 → その議決権の過半数の決議
監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するには → 監査役(監査役が2人以上ある場合には、その過半数)の同意を得なければならない
監査役は、監査役の選任を株主総会の目的としてすること、監査役の選任に関する議案を株主総会に提出することを請求することができる
- 監査役の解任
株主の議決権の過半数を有する株主が株主総会に出席し → 出席した株主の議決権の3分の2以上にあたる多数の議決
監査役は、当該解任について意見を述べることができる
会計参与・会計監査人
- 設置
大会社にも、会計参与を置くことができる
✗ 公開会社である大会社は、会計参与を置いてはならない
公開会社ではない大会社は、会計監査人を置かなければならない
✗ 会計監査人に代えて、会計参与を置くことができる
株主総会の決議により選任する
公認会計士もしくは監査法人または税理士もしくは税理士法人でなければならない
- 出席
計算書類等・連結会計書類の承認をする取締役会に出席しなければならない
✗ すべての取締役会に出席し
監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社
- 設置要件
取締役会設置会社 = 監査等委員会設置会社または指名委員会等設置会社
→ 監査役を置いてはならない
→ 会計監査人を置かなければならない
- 代表する機関
指名委員会等設置会社 → 代表執行役
- 監査等委員会設置会社
監査等委員である取締役は3人以上で、その過半数は社外取締役でなければならない
監査等委員
→ 株主総会において、監査等委員である取締役以外の取締役の報酬等について監査等委員会の意見を述べることができる
→ 株主総会において、監査等委員である取締役の報酬等について意見を述べることができる
- 指名委員会等設置会社
指名委員会、監査委員会または報酬委員会の各委員会は、委員3人以上で組織する
報酬委員会
→ 執行役等の個人別の報酬等の内容を決定する
計算
資本金と資本準備金
資本金の額は、設立または株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込みまたは給付をした財産の額
→ 2分の1を超えない額は、資本金として計上しないことができる → 資本準備金として計上しなければならない
剰余金の配当
純資産額が300万円を下回る → 剰余金の配当をすることができない
その効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならない
株主および当該株式会社に対し、剰余金の配当をすることができる
✗ 当該株式会社に対し
持分会社
- 資本金の額
→ 持分会社の定款の絶対的記載事項ではない
- 持分会社の財産をもってその債務を完済することができない場合
→ 連帯して会社の債務を弁済する責任を負う
- 持分
出資者が会社に対して有する地位
1人の社員につき1個であり、各社員の有する持分の大きさは必ずしも均等ではない
- 退職した社員
→ 出資の種類を問わず、その持分の払戻しを受けることができる
取締役と会社の関係
取締役の第三者に対する責任
その他の機関
特殊な会社形態
【民法】家族法
親族法
親族の範囲
婚姻
成年被後見人が婚姻
→ 成年後見人の同意を要しない
実親子
嫡出子
嫡出推定
妻が婚姻中に懐胎した子は、当該婚姻における夫の子と推定する。女が婚姻前に懐胎した子であって、婚姻が成立した後に生まれたものも、同様とする
女が子を懐胎した時から子の出生の時までの間に二以上の婚姻をしていたときは、その子は、その出生の直近の婚姻における夫の子と推定する
重婚の禁止
- 重婚の禁止に違反して婚姻をした女が出産した場合
→ 嫡出推定の規定によりその子の父を定めることができない
→ 裁判所がこれを定める
養親子(ようしんし)
当事者の合意に基づく届出によって成立
普通養子と特別養子
相続法
【民法】契約各論
8.契約各論
8.1.贈与契約
8.2.売買契約
8.3.賃貸借
8.4.使用貸借・消費貸借
8.5.請負契約
8.6.委任契約
8.7.寄託契約
8.8.組合契約
8.9.和解
8.契約各論
8.1.贈与契約
8.1.1.贈与契約とは
(書面によらない贈与の解除)
550条 書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。
「贈与の意思表示自体が書面によつていることを必要としないことはもちろん、書面が贈与の当事者間でさくせいされたこと、又は書面に無償の趣旨の文言が記載されていることも必要とせず、書面に贈与がされてことを確実に看取しうる程度の記載があれば足りるものと解すべきである。」としている。
551条(贈与者の引渡義務等)
1項 贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する。
2項 負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。
「負担付贈与において、受贈者が、その負担である義務の履行を怠るときは、・・・贈与者は贈与契約の解除をなしうる。」としている。
552条(定期贈与)
定期の給付を目的とする贈与は、贈与者又は受贈者の死亡によって、その効力を失う。
554条(死因贈与)
贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与(死因贈与)については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。
8.1.2.書面によらない贈与の解除
8.2.売買契約
8.2.1.売買契約とは
558条(売買契約に関する費用)
売買契約に関する費用は、当事者双方が等しい割合で負担する。
8.2.2.手付
「売買の当事者間に手附が授受された場合において、特別の意思表示がない限り、民法557条の定めている効力、すなわちいわゆる解約手附としての効力を有するものと認むべきである。」としている。
557条(手付)
1項 買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。
1項ただし書 ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
→ 履行に既に着手したか否かにかかわらず、その相手方が契約の履行に着手していなければ、契約の解除をすることができる。
2項 手付金のほかに損害賠償を請求することはできない。
560条(権利移転の対抗要件に係る売主の義務)
売主は、買主に対し、登記、登録その他の売買の目的である権利の移転についての対抗要件を備えさせる義務を負う。
561条(他人の権利の売買における売主の義務)
他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含む。)を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。
562条(買主の追完請求権)
1項 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
2項 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、履行の追完の請求をすることができない。
563条(買主の代金減額請求権)
1項 前条第1項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。
→ この場合、目的物の種類または品質に関する担保責任の期間制限の規定(566条)は適用されず、債権の消滅時効に関する一般原則(166条)が適用される
→ 権利を行使することを知った日から5年間、または権利を行使することができる時から10年間は代金減額請求をすることができる。
2項 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。
→ 履行の追完が合理的に期待できるときは、履行の追完の催告をすることなく代金の減額を請求することはできない。
3項 第1項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、代金の減額の請求をすることができない。
564条(買主の損害賠償請求及び解除権の行使)
引き渡された目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないものである場合においても、売主の債務不履行に基づく買主の損害賠償請求は妨げられない。
566条(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
✗ 不適合を知った時から1年以内に、Aに対して請求権を行使しなければならない。
567条(目的物の滅失等についての危険の移転)
1項 売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限る。以下この条において同じ。)を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、買主は、その滅失又は損傷を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
2項 売主が契約の内容に適合する目的物をもって、その引渡しの債務の履行を提供したにもかかわらず、買主がその履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、その履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその目的物が滅失し、又は損傷したときも、前項と同様とする。
573条(代金の支払期限)
売買の目的物の引渡しについて期限があるときは、代金の支払についても同一の期限を付したものと推定する。
575条(果実の帰属及び代金の利息の支払)
1項 まだ引き渡されていない売買の目的物が果実を生じたときは、その果実は、売主に帰属する。
2項 買主は、引渡しの日から、代金の利息を支払う義務を負う。
576条(権利を取得することができない等のおそれがある場合の買主による代金の支払の拒絶)
売買の目的について権利を主張する者があることその他の事由により、買主がその買い受けた権利の全部若しくは一部を取得することができず、又は失うおそれがあるときは、買主は、その危険の程度に応じて、代金の全部又は一部の支払を拒むことができる。ただし、売主が相当の担保を供したときは、この限りでない。
「他人物売買において、本人が目的物を譲渡する意思がなく、売主が当該目的物を買主に移転できない場合でも、売買契約自体は有効である。」
「他人物売買であっても、本人が追認すれば、相手方は116条(無権代理行為の追認)の類推適用により、契約時にさかのぼって権利を取得することができる。」
「他人の権利の売買契約において、売主が目的物の所有権を取得して買主に移転することができず、・・・契約が解除された場合」についても、「目的物の引渡を受けていた買主は、原状回復義務の内容として、解除までの間目的物を使用したことによる利益を売主に返還すべき義務を負う。」としている。
579条(買戻しの特約)
不動産の売主は、売買契約と同時にした買戻しの特約により、買主が支払った代金及び契約の費用を返還して、売買の解除をすることができる。
580条(買戻しの期間)
買戻しの期間は、10年を超えることができない。特約でこれより長い期間を定めたときは、その期間は、10年とする。
3項 買戻しについて期間を定めなかったときは、5年以内に買戻しをしなければならない。
8.2.3.契約不適合責任(担保責任)
8.2.4.契約不適合責任が追及できる場合
8.2.5.買主の権利の期間制限(566条)
8.3.賃貸借
8.3.1.賃貸借とは
604条(賃貸借の存続期間)
賃貸借の存続期間は、50年を超えることができない。
8.3.2.賃貸人・賃借人の義務
賃貸人の義務
2.修繕義務
605条(不動産賃貸借の対抗力)
不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。
✗ 登記しても、その後その不動産について物権を取得した者には対抗することができない。
605条の2(不動産の賃貸人たる地位の移転)
不動産について賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。
605条の3(合意による不動産の賃貸人たる地位の移転)
不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる。
3項 賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない。
4項 賃貸人たる地位が譲受人又はその承継人に移転したときは、費用の償還に係る債務及び敷金の返還に係る債務は、譲受人又はその承継人が承継する。
✗ 不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる。
605条の4(不動産の賃借人による妨害の停止の請求等) 不動産の賃借人は、不動産賃貸借の対抗要件を備えた場合において、次の各号に掲げるときは、それぞれ当該各号に定める請求をすることができる。
606条(賃貸人による修繕等) 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。
607条(賃借人による修繕)
賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。
1号 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。
608条(賃借人による費用の償還請求)
1項 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
2項 賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。
事例1)賃借人は、有益費については直ちにAに対して償還請求することができない。
事例2)賃借人が有益費を支出して増築部分を付加して同建物と一体とし、増築部分が火災
→ 増築部分が失われたことから、その増築部分につき有益費の償還請求をすることはできない。
612条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
1項 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
「賃貸人は、いったん与えた承諾を一方的に撤回することはできない。」としている。
事例)「賃貸人に対する背信行為と認めるに足らない特段の事情があるといえるため、賃貸人は賃貸借契約の解除をすることはできない。」としている。
事例)賃借地上にある建物の売買契約が締結された場合置いては、特別の事情のない限り、その売主は買主に対し建物の所有権とともにその敷地の賃借権をも譲渡したものと解すべきであり、・・・特約または慣行がなくても、特別の事情のない限り、建物の売主は買主に対し敷地の賃借権譲渡につき賃貸人の承諾を得る義務を負う。 としている。
2項 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。
→ 賃貸人が解除しなければ、賃貸借契約は終了しない。
「賃借人が賃貸人の承諾なく第三者をして賃借物の使用収益を為さしめた場合においても、賃借人の当該行為が賃貸人に対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情がある場合においては、612条の解除権は発生しないものと解するを相当とする。」としている。
613条(転貸の効果)
1項 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。
→ 賃貸人は、転借人に直接に賃料の支払を請求することができる。
3項 賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない。
3項ただし書 ただし、その解除の当時、賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは、この限りでない。
614条(賃料の支払時期)
賃料は、動産、建物及び宅地については毎月末に、その他の土地については毎年末に、支払わなければならない。ただし、収穫の季節があるものについては、その季節の後に遅滞なく支払わなければならない。
→ 「翌月分」の賃料を支払うわけではない。
「土地または建物の賃借人は、賃借物に対する権利に基づき事故に対して明渡しを請求することができる第三者からその明渡しを求められた場合には、それ以後、賃料の支払を拒絶することができる。」としている。
「土地賃貸人と賃借人との間において土地賃貸借契約を合意解除しても、特別の事情のないかぎり、土地賃貸人は解除をもって賃借人の所有する地上建物の賃借人に対抗することができない。」としている。
「賃貸借契約が転貸人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合、賃貸人の承諾のある転貸借は、原則として、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に、転貸人の転借人に対する債務の不履行により終了する。」としている。
賃貸人が賃借人の賃料延滞を理由として賃貸借契約を解除するには、「賃貸人は賃借人に対して催告するをもつて足り、さらに転借人に対してその支払いの機会を与えなければならないというものではない。」としている。
「転貸を承諾しない賃貸人は、賃貸借契約を解除しなくても、転借人に対して賃借物の明渡を求めることができる。」としている。
617条(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)
当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
1号 土地の賃貸借 1年
2号 建物の賃貸借 3箇月
3号 動産及び貸席の賃貸借 1日
「建物買取請求権を行使した後は、買取代金の支払のあるまで右建物の引渡を拒むことができるけれども、右建物の占有によりその敷地をを専有する。」としている。
賃借人の義務
3.目的物返還義務と原状回復義務
※賃借物を受け取った後に生じた損傷があれば、それを元に戻す義務を負う
- 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨通知したにもかかわわず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしない
→ 賃借人は、その修繕をすることができる
- 賃借人が賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合
→ 賃貸借が終了 → その損傷を現状に復する義務を負う
→ 通常の使用および収益によって生じた賃借物の損耗ならびに賃借物の経年劣化を除く
621条(賃借人の原状回復義務)
賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。
✗ 通常の使用および収益によって生じた賃借物の損耗についても、それを原状に復する義務を負う。
622条の2
1項 賃貸人は、敷金を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。
1号 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
2号 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。
「賃貸借存続中に目的不動産の所有権が移転し、新所有者が賃貸人の地位を承継した場合には、旧賃貸人に差し入れられていた敷金は、未払賃料があればこれに当然充当され、残額があればそれについての権利義務が新賃貸人に承継される。」としている。
賃貸人の敷金返還債務と賃借人の家屋明渡債務は、同時履行の間家にはない。
賃借人の建物返還債務は、特別の約定のない限り、敷金返還債務に対して先履行の関係にある。
→ 賃借人は、賃貸人からの建物明渡請求に対して、敷金返還請求権を保全するために同時履行の抗弁権を主張することはできず、留置権を行使することもできない。
2項 賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない。
不動産賃借の物件化
賃貸目的物の新所有者と賃借人との関係
敷金関係
賃借権の譲渡・転貸
- 賃借人が転貸
→ 賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う
※賃貸人は、転借人に直接に賃料の支払を請求することができる
- 当事者が賃貸借の期間を定めなかった
→ いつでも解約の申入れをすることができる
1.土地 → 解約の申入れの日から1年
2.建物 → 解約の申入れの日から3ヵ月
3.動産及び貸席の賃貸借 → 解約の申入れの日から1日を経過
することによって終了する
8.4.使用貸借・消費貸借
587条の2(書面でする消費貸借等)
1項 要物契約としての消費賃借は、当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。
2項 書面でする消費貸借の借主は、貸主から金銭その他の物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。この場合において、貸主は、その契約の解除によって損害を受けたときは、借主に対し、その賠償を請求することができる。
590条(貸主の引渡義務等)
2項 利息の有無にかかわらず、貸主から引き渡された物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないものであるときは、借主は、その物の価額を返還することができる。
→ 利息の特約があったとしても、金銭以外の物を消費してしまったときは価額(金銭)を返還すればよい。
591条(返還の時期)
1項 当事者が返還の時期を定めなかったときは、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができる。
2項 借主は、返還の時期の定めの有無にかかわらず、いつでも返還をすることができる。
593条(使用貸借)
使用貸借は、当事者の一方《貸主》がある物を引き渡すことを約し、相手方《借主》がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。
593条の2 (借用物受取り前の貸主による使用貸借の解除)
貸主は、借主が借用物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による使用貸借については、この限りでない。
594条(借主による使用及び収益)
借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない。
595条(借用物の費用の負担)
借主は、借用物の通常の必要費を負担する。
→ 通常の必要費については貸主に対して召喚を請求することはできない。
2項 特別の必要費は、196条の規定に従い、使用借主は、使用貸主に対してその召喚を請求できる。
→ 賃貸借の場合には、賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
583条(買戻しの実行)
2項ただし書 ただし、有益費については、裁判所は、売主の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。
✗ 使用貸借においては、・・・、有益費については貸主の負担となり、その償還の時期は使用貸借の終了時であり、貸主の請求により裁判所は相当の期限を許与することはできない。
596条(貸主の引渡義務等)
551条の規定は、使用貸借について準用する。
= 使用貸借において、貸主は、使用貸借の目的である物を、使用貸借の目的として特定した時の状態で引き渡すことを約したものと推定される。
597条(期間満了等による使用貸借の終了)
2項 当事者が使用貸借の期間を定めなかった場合において、使用及び収益の目的を定めたときは、使用貸借は、借主がその目的に従い使用及び収益を終えることによって終了する。
3項 使用貸借は、借主の死亡によって終了する。
→ 貸主の死亡によっては、その効力を失わない。
622条(使用貸借の規定の準用)
賃貸借の場合には、賃貸借契約は、賃借人の死亡によって終了しない。
599条(借主による収去等)
2項 借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物を収去することができる。
8.5.請負契約
8.5.1.請負契約とは
請負人は、原則として、下請負人に仕事を委託することができる。
「注文者が材料の主要な部分を提供した場合には、完成した物の所有権は、特約のない限り、原始的に注文者に帰属する。」としている。
「建物の材料の主要部分を請負人が提供した場合であっても、注文者が仕事完成前に代金の支払を完了しているときは、建物は工事完成と同時に注文者の所有となる合意があったと推認するのが相当である。」としている。
633条(報酬の支払時期)
報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。
→ 請負人の目的物引渡債務と注文者の報酬支払債務が同時履行の関係にある。
634条(注文者が受ける利益の割合に応じた報酬)
次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。
1号 注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき。
2号 請負が仕事の完成前に解除されたとき。
636条(請負人の担保責任の制限)
請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したときは、注文者は、注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。
※「数量」の不適合については規定されていない。
637条(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
636条本文に規定する場合において、注文者がその不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
8.5.2.請負人の担保責任(契約不適合責任)
8.5.3.請負契約の終了
641条(注文者による契約の解除)
請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。
642条(注文者についての破産手続の開始による解除)
注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができる。ただし、請負人による契約の解除については、仕事を完成した後は、この限りでない。
→ 請負人は、仕事を完成した後は、仕事を継続する義務を負っていないことから、その請負人による契約の解除を認める必要がない。
8.6.委任契約
8.6.1.委任契約とは
643条(委任)
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
644条(受任者の注意義務)
受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
→ 無償委任の場合も有償委任の場合も異ならない。
✗ 自己の事務に対するのと同一の注意をもって処理
644条の2(復受任者の選任等)
受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。
645条(受任者による報告)
受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。
646条(受任者による受取物の引渡し等)
受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない。
648条(受任者の報酬)
受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。
2項 受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。
2項ただし書 ただし、期間によって報酬を定めたときは、その期間を経過した後に、請求することができる。
3項 受任者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
1号 委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき。
2号 委任が履行の中途で終了したとき。
→ 既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
648条の2(成果等に対する報酬)
委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合において、その成果が引渡しを要するときは、報酬は、その成果の引渡しと同時に、支払わなければならない。
649条(受任者による費用の前払請求)
委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない。
650条(受任者による費用等の償還請求等)
2項 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。
3項 受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。
→ 準委任契約においても、受任者は、委託事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。
656条(準委任)
この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。
→ 受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。
8.6.2.委任契約の終了
651条(委任の解除)
1項 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2項 委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
1号 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
2号 委任者が受任者の利益をも目的とする委任を解除したとき。
(委任の解除の効力)
652条 委任の解除をした場合は、その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。
653条(委任の終了事由)
委任は、次に掲げる事由によって終了する。
1号 委任者又は受任者の死亡
2号 委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
3号 受任者が後見開始の審判を受けたこと。
8.7.寄託契約
寄託とは、当事者の一方が相手方のために者の保管をすることを約束して、相手方がこれを承諾することによって効力を生ずる契約。
寄託者(きたくしゃ)・・・物の保管を依頼する者
受寄者(じゅきしゃ)・・・保管する者
657条の2
1項 寄託者は、受寄者が寄託物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。この場合において、受寄者は、その契約の解除によって損害を受けたときは、寄託者に対し、その賠償を請求することができる。
2項 無報酬の受寄者は、寄託物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による寄託については、この限りでない。
3項 受寄者(無報酬で寄託を受けた場合にあっては、書面による寄託の受寄者に限る。)は、寄託物を受け取るべき時期を経過したにもかかわらず、寄託者が寄託物を引き渡さない場合において、相当の期間を定めてその引渡しの催告をし、その期間内に引渡しがないときは、契約の解除をすることができる。
658条(寄託物の使用及び第三者による保管)
2項 受寄者は、寄託者の承諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、寄託物を第三者《再寄託者》に保管させることができない。
659条(無報酬の受寄者の注意義務)
無報酬の受寄者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管する義務を負う。
660条(受寄者の通知義務等)
寄託物について権利を主張する第三者が受寄者に対して訴えを提起し、又は差押え、仮差押え若しくは仮処分をしたときは、受寄者は、遅滞なくその事実を寄託者に通知しなければならない。ただし、寄託者が既にこれを知っているときは、この限りでない。
661条(寄託者による損害賠償)
寄託者は、寄託物の性質又は瑕疵によって生じた損害を受寄者に賠償しなければならない。
ただし、
寄託者が過失なくその性質若しくは瑕疵を知らなかったとき、
又は受寄者がこれを知っていたときは、
この限りでない。
662条(寄託者による返還請求等)
当事者が寄託物の返還の時期を定めたときであっても、寄託者は、いつでもその返還を請求することができる。
663条(寄託物の返還の時期)
1項 当事者が寄託物の返還の時期を定めなかったときは、受寄者は、いつでもその返還をすることができる。
2項 返還の時期の定めがあるときは、受寄者は、やむを得ない事由がなければ、その期限前に返還をすることができない。
665条(委任の規定の準用)
受寄者は、保管事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、寄託者に対し、その費用および支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。
8.8.組合契約
668条(組合財産の共有)
各組合員の出資その他の組合財産は、総組合員の共有に属する。
670条(業務の決定及び執行の方法)
1項 組合の業務は、組合員の過半数をもって決定し、各組合員がこれを執行する。
→ 組合の常務は、各組合員が単独で行うことができる。
2項 組合の業務の決定及び執行は、組合契約の定めるところにより、一人又は数人の組合員又は第三者に委任することができる。
「組合規約等で業務執行者の代理権限を制限しても、その制限は前以下つ無過失の第三者に対抗することができない。」としている。
670条の2(組合の代理)
2項 業務執行者があるときは、業務執行者のみが組合員を代理することができる。
671条(委任の規定の準用)
組合の業務を執行する組合員は、特約がなければ、組合に対して報酬を請求することができない。
676条(組合員の持分の処分及び組合財産の分割)
1項 組合員は、組合財産についてその持分を処分したときは、その処分をもって組合及び組合と取引をした第三者に対抗することができない。
2項 組合員は、組合財産である債権について、その持分についての権利を単独で行使することができない。
✗ その持分についての権利を単独で行使することができる。
3項 組合員は、清算前に組合財産の分割を求めることができない。
組合の債務は、組合員全員に含有的に帰属する。
677条の2(組合員の加入)
1項 組合員は、その全員の同意によって、又は組合契約の定めるところにより、新たに組合員を加入させることができる。
2項 前項の規定により組合の成立後に加入した組合員は、その加入前に生じた組合の債務については、これを弁済する責任を負わない。
678条(組合員の脱退)
組合契約で組合の存続期間を定めなかったとき、又はある組合員の終身の間組合が存続すべきことを定めたときは、各組合員は、いつでも脱退することができる。
ただし、やむを得ない事由がある場合を除き、組合に不利な時期に脱退することができない。
→ やむを得ない事由がある場合には、組合に不利な時期であっても脱退することができる。
「民法678条は、組合員は、やむを得ない事由がある場合には、組合の存続期間の定めの有無にかかわらず、常に組合から任意に脱退することがでる旨を規定しているものと解されるところ、同条のうち右の旨を規定する部分は、強行規定であり、これに反する組合契約における約定は効力を有しない。」としている。
→ 「やむを得ない事由があっても任意の脱退を許さない」旨の特約は無効。
8.9.和解
695条(和解)
和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる。
贈与契約
- 贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し
書面によらない贈与の解除
軽率な贈与を防止するため、書面によらない(口頭で行った)贈与はいつでも解除することができますが、すでに履行の終わった部分については解除できないとされています。
売買契約
売買契約とは
売買契約とは、当事者の一方が財産を相手方に移転することを約束し、それに対して相手方が代金を支払うことを約束する契約です。
手付
1.証約手付
2.解約手付
解約手付による解除
- 相手方が履行に着手していないこと
2.買主が解除する場合は手付を放棄し、売主が解除する場合は手付の倍額を返還すること
売買の当事者間に手附が授受された場合において、特別の意思表示がない限り、民法557条に定めている効力、すなわちいわゆる解約手附としての効力を有するものと認むべきである
解約手付による解除の場合には、手付金のほかに損害賠償を請求することはできない
売主は、買主にに対し、登記、登録その他の売買の目的である権利の移転についての対抗要件を備えさせる義務を負う
買主は、引渡しの日から、代金の利息を支払う義務を負う
他人の権利を売買の目的とした場合
→ 売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う
契約不適合責任
契約不適合責任が追求できる場合
- 不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるとき
→ 買主は、履行の追完の請求をすることができない
- 引き渡された目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しない
→ 買主が、相当の期間を定めて履行の追完の催告
→ その期間内に履行の追完がないとき
→ 買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる
- 引き渡された目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しない
→ 売主の債務不履行に基づく買主の損害賠償請求は妨げられない ※買主は損害賠償を請求できる
→ 買主は、その不適合を知った時か1年以内にその旨を売主に通知しない
→ 損害賠償請求および契約の解除をすることができない
✗ 1年以内に損害賠償請求しなければならない
賃貸借
賃貸借とは
賃貸人・賃借人の義務
賃貸人の義務
使用貸借・消費貸借
請負契約
請負契約とは
請負契約とは、当事者の一方がある仕事を完成することを約束し、相手方が仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束することによって成立する契約
- 請負人が仕事を完成 → 注文者が報酬を支払う関係
→ 報酬の支払いと仕事の完成は同時履行の関係ではない
※契約の解除などにより仕事が完成しなかったとしても、注文者が利益を受けるときは、請負人はその利益の割合に応じて報酬の請求をすることができます
- 報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に支払わなければならない
※受託者が仕事を完了し、委託者に対して目的物を引き渡したときに、委託者は報酬を支払わなければなりません。
委任契約
委任契約とは
委任とは、当事者の一方が法律行為をなすことを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって生じる契約
受任者の義務
委任者の義務
1.報酬支払義務
原則なし
※特約で定めた場合のみあり。
※受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない
2.その他の義務
- 受任者の請求に応じて費用を前払いする義務
委任契約の終了
各当事者による任意解除
各当事者は、いつでも契約を解除できる
※相手方に不利な時期に解除する場合または委任者が受任者の利益をも目的とする委任を解除する場合は、やむを得ない事由がある場合を除き損害賠償が必要。
→ 相手方に不利な時期でも、損害を賠償すれば解除できる
委任特有の終了事由
2.受任者が後見開始の審判を受けた場合
例えば、Aさんが高齢で認知症が進行しており、自身の財産や法的な手続きを管理する能力が低下しています。Aさんは、自分の財産を管理してもらうために、友人のBさんに委任を依頼しました。Bさんは受任者となり、Aさんの財産を管理することを約束しました。
しかし、Aさんの認知症が進行し、法的な後見の必要性が生じたとき、Aさんの家族や関係者が裁判所に後見開始の審判を申し立てます。裁判所はAさんの状況を審査し、後見人を任命するかどうかを決定します。
もし裁判所が後見開始の審判を行い、Aさんに後見人が任命された場合、その後見人がAさんの財産や法的な権利を管理する責任を負います。この時、受任者であるBさんの委任契約は終了し、後見人がAさんの財産を管理する権限が与えられます。後見人がAさんの財産を管理する役割を果たすため、受任者であるBさんの役割は終了することになります。
【民法】債権の意義・債権の効力・責任財産の保全・債権の消滅・多数当事者間の債権債務関係・債権譲渡・債務引受
1.債権の意義
1.1.債権と債務
1.2.債権の種類
2.債権の効力
2.1.債務不履行
3.1.債権者代位権
3.2.詐害行為取消権
4.債権の消滅
4.1.弁済
4.2.相殺
4.3.更改・免除・混同
5.多数当事者間の債権債務関係
5.1.分割債務
5.2.連帯債務
5.3.保証
5.4.連帯保証
6.債権譲渡
6.1.債権譲渡
6.2.債権引受
1.債権の意義
1.1.債権と債務
1.1.1.債権・債務の発生
1.1.2.物権と債権
1.2.債権の種類
1.2.1.特定物債権
400条 債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。
→ 目的物が特定されるまでの間は、善管注意義務を負うことはない。
→ 特定されたら、再調達して引き渡す義務を負う。
1.2.2.不特定物債権(種類債権)
401条1項 債権の目的物を種類のみで指定した場合において、法律行為の性質又は当事者の意思によってその品質を定めることができないときは、債務者は、中等の品質を有する物を給付しなければならない。
401条2項 前項の場合において、債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了し、又は債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したときは、以後その物を債権の目的物とする。
1.2.3.不特定物の特定
406条 債権の目的が数個の給付の中から選択によって定まるときは、その選択権は、債務者に属する。
407条1項 前条の選択権は、相手方に対する意思表示によって行使する。
407条2項 前項の意思表示は、相手方の承諾を得なければ、撤回することができない。
409条1項 第三者が選択をすべき場合には、その選択は、債権者又は債務者に対する意思表示によってする。
409条2項 前項に規定する場合において、第三者が選択をすることができず、又は選択をする意思を有しないときは、選択権は、債務者に移転する。
410条 債権の目的である給付の中に不能のものがある場合において、その不能が選択権を有する者の過失によるものであるときは、債権は、その残存するものについて存在する。
1.2.4.利息債権
2.債権の効力
2.1.債務不履行
2.1.1.債務不履行とは
債務不履行とは、債務者が債務の本旨に従った履行をしないことをいいます。
債務不履行には、①履行遅滞、 ②履行不能、③不完全履行の3つがあります。
2.1.2.履行遅滞
413条の2第1項 債務者がその債務について遅滞の責任を負っている間に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは、その履行の不能は、債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなす。
2.1.3.履行不能
不動産の二重譲渡において「売買予約を原因として仮登記がなされたというだけでは、いまだ売買契約上の義務の履行が不能となつたと解することはできない」としている。
2.1.4.履行遅滞中の履行不能
2.1.5.損害賠償請求
415条1項 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。
415条2項 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。
1号 債務の履行が不能であるとき。
2号 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
3号 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。
416条1項 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
416条2項 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。
417条の2第1項 将来において取得すべき利益についての損害賠償の額を定める場合において、その利益を取得すべき時までの利息相当額(中間利息)を控除するときは、その損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率により、これをする。
419条 金銭の給付を目的とする債務の不履行については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。
2.1.6.金銭債務の特則
3.責任財産の保全
3.1.債権者代位権
3.1.1.債権者代位権とは
例えば、お金を貸したにもかかわらず債務者が支払ってくれないときは、債権者が債務者の財産を差し押さえて競売にかけることができます。しかし、債務者の手元に財産がなければ回収することができません。そこで、民法では債権者代位権という制度を設けています。
423条1項 債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。
→ 債務者の取消権についても、代位行使することができる。
423条2項 債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。
保存行為・・・債務者の権利の現状を維持する行為をいい、債務者の未登記の権利について登記の申請をすること
→ 保存行為をすることについて、裁判所の許可を得る必要はない。
423条3項 債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、被代位権利を行使することができない。
「債権代位における債権者は、債務者の債権を自己の名において行使する。」
→ 債務者の代理人として行使するわけではない。
423条の2 債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利の目的が可分であるときは、自己の債権の額の限度においてのみ、被代位権利を行使することができる。
可分・・・債権を分けることができるとき。
423条の3 債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利が金銭の支払又は動産の引渡しを目的とするものであるときは、相手方に対し、その支払又は引渡しを自己に対してすることを求めることができる。
423条の5 債権者が被代位権利を行使した場合であっても、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることを妨げられない。
423条の7 登記又は登録をしなければ権利の得喪及び変更を第三者に対抗することができない財産を譲り受けた者は、その譲渡人が第三者に対して有する登記手続又は登録手続をすべきことを請求する権利を行使しないときは、その権利を行使することができる。
→ 債務者が無資力であることを要しない。
3.1.2.債権者代位権の要件
3.1.3.代位行使できない権利
債権者代位権の要件を満たしても、すべての債権を代位行使できるわけではありません。
特定の権利者のみが行使できる一身専属権などは債権者代位権の対象外です。
3.1.4.行使の方法・範囲など
3.1.5.債権者の権利行使
債権者代位権が行使された場合であっても、債務者は、被代位債権について、自ら取立てその他の処分をすることができます。
3.1.6.債権者代位権の転用
被保全債権が金銭債権ではない場合でも債権者代位権を行使できる場合があります。
3.2.詐害行為取消権
債権者が債務者にお金を貸したときには財産があってにもかかわらず、嫌がらせもくてきにでその財産を第三者に譲渡してしまった場合、債権者がその契約を取り消して財産を債務者のもとに戻すという詐害行為取消権という制度が設けられています。
3.2.1.詐害行為取消権とは
3.2.2.詐害行為取消権の要件
424条の2(相当の対価を得てした財産の処分行為)
424条の3(特定の債権者に対する担保の供与や弁済)
424条の4(過大な代物弁済等)
424条の5(転得者に対する詐害行為取消請求)
債権者は、受益者に対して詐害行為取消請求をすることができる場合において、受益者に移転した財産を転得した者があるときは、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める場合に限り、その転得者に対しても、詐害行為取消請求をすることができる。
1号 その転得者が受益者から転得した者である場合 その転得者が、転得の当時、債務者がした行為が債権者を害することを知っていたとき。
2号 その転得者が他の転得者から転得した者である場合 その転得者及びその前に転得した全ての転得者が、それぞれの転得の当時、債務者がした行為が債権者を害することを知っていたとき。
3.2.3.行使の方法・範囲など
424条1項 債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。
→ 必ず「裁判上」行使しなければならない。
424条1項ただし書 ただし、その行為によって利益を受けた者(以下この款において「受益者」という。)がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
→ 債権者は、詐害行為取消請求うぃすることはできない。
離婚
離婚における財産分与は「民法768条3項の規定の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情のない限り、詐害行為として、債権者による取消の対象となりえない。」としている。
相続の放棄
「相続の放棄のような身分行為については、民法424条の詐害行為取消権行使の対象とならないと解するのが相当である。・・・。また、相続の放棄のような身分行為については、他人の思想によつてこれを強制すべきでないと解するところ、もし相続の放棄を詐害行為として取り消しうるものとすれば、相続人に対し相続の承認を強制することと同じ結果となり、その不当であることは明らかである。」としている。
遺産分割
「遺産分割協議は、詐害行為取消権行使の対象となり得るものと解するのが相当である。」としている。
424条3項 債権者は、その債権が第1項に規定する行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、同項の規定による請求(以下「詐害行為取消請求」という。)をすることができる。
→ 保証人は、その事後求償権を被保全債権として、主たる債務者の行った詐害行為を取り消すことができる。
特定物引渡請求権(特定物債権)も、「窮極において損害賠償債権に変じうる」から、「その目的物を債務者が処分することにより無資力となつた場合には、・・・右処分行為を詐害行為として取り消すことができる。」としている。
424条4項 債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、詐害行為取消請求をすることができない。
立証責任
1.債権者の悪意に関する立証責任 → 債権者
2.受益者の悪意に関する立証責任 → 受益者
3.転得者の悪意に関する立証責任 → 債権者
424条の7 詐害行為取消請求に係る訴えについては、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める者を被告とする。
1号 受益者に対する詐害行為取消請求に係る訴え 受益者
2号 転得者に対する詐害行為取消請求に係る訴え その詐害行為取消請求の相手方である転得者
424条の8第1項(詐害行為の取消しの範囲)
債権者は、詐害行為取消請求をする場合において、債務者がした行為の目的が可分であるときは、自己の債権の額の限度においてのみ、その行為の取消しを請求することができる。
✗ 取消権者は自己の債権額を超えていても贈与された金銭の全部につき詐害行為として取り消すことができる。
424条の9(債権者への支払又は引渡し)
第1項 債権者は、受益者又は転得者に対して財産の返還を請求する場合において、その返還の請求が金銭の支払又は動産の引渡しを求めるものであるときは、受益者に対してその支払又は引渡しを、転得者に対してその引渡しを、自己に対してすることを求めることができる。
✗ 受益者に対して直接自己へ引渡しを求めることはできない。
425条 (認容判決の効力が及ぶ者の範囲)
詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者及びその全ての債権者に対してもその効力を有する。
426条 詐害行為取消請求に係る訴えは、債務者が債権者を害することを知って行為をしたことを債権者が知った時から2年を経過したときは、提起することができない。
✗ 取消しの対象となる法律行為があったときから
3.2.4.債権者代位権と詐害行為取消権の比較
4.債権の消滅
4.1.弁済
4.1.1.弁済とは
例えば、売買契約によって発生した代金債権や引渡し債権は、実際に代金を支払ったり物を引き渡したりしたときに消滅します。
473条(弁済)
債務者が債権者に対して債務の弁済をしたときは、その債権は、消滅する。
4.1.2.弁済の提供
493条(弁済の提供の方法)
弁済の提供は、債務の本旨に従って現実にしなければならない。ただし、債権者があらかじめその受領を拒み、又は債務の履行について債権者の行為を要するときは、弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をすれば足りる。
✗ 受領を拒んでいるときでも、債務の本旨に従って
→ 債権者があらかじめ受領を拒んでいるときは、債務者は口頭の提供をすれば足りる。
413条(受領遅滞)
1項 債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、その債務の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、履行の提供をした時からその引渡しをするまで、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、その物を保存すれば足りる。
2項 債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができないことによって、その履行の費用が増加したときは、その増加額は、債権者の負担とする。
483条(特定物の現状による引渡し)
債権の目的が特定物の引渡しである場合において、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らしてその引渡しをすべき時の品質を定めることができないときは、弁済をする者は、その引渡しをすべき時の現状でその物を引き渡さなければならない。
484条(弁済の場所及び時間)
1項 弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、その他の弁済は債権者の現在の住所において、それぞれしなければならない。
486条(受取証書の交付請求等)
1項 弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求することができる。
487条(債権証書の返還請求)
債権に関する証書がある場合において、弁済をした者が全部の弁済をしたときは、その証書の返還を請求することができる。
474条(第三者の弁済)
債務の弁済は、第三者もすることができる。
2項 弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは、この限りでない。
3項 弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債権者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、その第三者が債務者の委託を受けて弁済をする場合において、そのことを債権者が知っていたときは、この限りでない。
478条(受領権者としての外観を有する者に対する弁済)
受領権者以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものに対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。
479条(受領権者以外の者に対する弁済)
前条の場合を除き、受領権者以外の者に対してした弁済は、債権者がこれによって利益を受けた限度においてのみ、その効力を有する。
→ 債務者が「受領権者以外の者」に弁済をしても、原則として無効であるが、その「受領権者以外の者」が受け取ったものを債権者に引き渡した場合には、債権者はそれによって利益を受けたことになり、債務者の弁済は有効になる。
482条(代物弁済)
弁済者が、債権者との間で、債務者の負担した給付に代えて他の給付をすることにより債務を消滅させる旨の契約をした場合において、その弁済者が当該他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する。
→ 代物弁済による所有権移転の効力は、原則として代物弁済契約の意思表示によって生じる(176条)。
「土地をもって代物弁済をした場合における債務消滅に効力は、原則として移転登記の完了時に生ずる。」としている。
「代物弁済として不動産を給付する場合、債務消滅の効力は、原則として移転登記時に生ずる。」としている。
「債務者が債権者と合意して、債権者に対し本来の債務の弁済に代えて手形または小切手を交付した場合には、代物弁済となる。これによって債権消滅の効果が生じ、不渡りがあっても債務が復活することもなく。」、債権者は損害賠償請求をすることはできない。
488条(同種の給付を目的とする数個の債務がある場合の充当)
2項 弁済をする者が前項の規定による指定をしないときは、弁済を受領する者は、その受領の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができる。ただし、弁済をする者がその充当に対して直ちに異議を述べたときは、この限りでない。
489条1項(元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当)
債務者が一個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべき場合において、弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、これを順次に費用、利息及び元本に充当しなければならない。
→ 費用 > 利息 > 元本
490条(合意による弁済の充当)
弁済をする者と弁済を受領する者との間に弁済の充当の順序に関する合意があるときは、その順序に従い、その弁済を充当する。
「一方の当事者の指定(指定充当)によって順序を変更することはできない。」としている。
→ 当事者(債権者+債務者)の合意がない限り、順次に費用、利息および元本に充当しなければならない。
494条(供託)
弁済者は、次に掲げる場合には、債権者のために弁済の目的物を供託することができる。この場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は、消滅する。
1号 弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき。
2号 債権者が弁済を受領することができないとき。
499条(弁済による代位の要件)
債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する。
→ 弁済による代位について債権者の承諾を得る必要はない。
✗ 債権者の承諾を得なければならない。
501条(弁済による代位の効果)
3項1号 第三取得者(債務者から担保の目的となっている財産を譲り受けた者)は、保証人及び物上保証人に対して債権者に代位しない。
→ 第三取得者あ、債務者のために弁済をしても、保証人に対して債権者に代位することはできない。
債務者が弁済の提供
→ 債権者が受け取らなった場合
→ 債権は消滅しない
→ 債務者は債務不履行責任を負わない
※債務者としてやるだけのことはやった。後で債務不履行を理由に損害賠償請求されるのはかわいそう。
→債務不履行責任を負わせない
弁済の提供の方法
[原則]
現実の提供が必要
例)車を相手の住所までもっていく
[例外]
債権者があらかじめ受領を拒んだ場合や債務の履行について債権者の行為が必要な場合
→ 口頭の提供で足りる
例)車を引き渡す準備ができたことを債権者に通知する
※債権者が受け取ってくれないことを分かっていれば、持っていく意味がないので、口頭の提供で足りる
- 弁済をする者は、その引渡しをすべき時の現状でその物を引き渡さなければならない
証書
弁済をする者は、弁済を受領する者に対して受領証書の交付を請求することができる
弁済をする者は、弁済をした者が全部の弁済をしたときは、その証書の返還を請求することができる
4.1.3.第三者弁済
4.1.4.求償権と弁済による代位
4.1.5.受領権者としての外観を有する者に対する弁済
通常、債務者は債権者以外の者に弁済をしても無効です
しかし、債権者に「見える」者に対して弁済した場合は有効となり、債権が消滅することがあります。
A:債権者 → ②債権消滅
B:債務者 → ①善意無過失で弁済 → C:債権者に見えるC
- 弁済をする者がその債務の全部を消滅させるものに足りない給付をしたとき
→ 順次に費用、利息および元本に充当しなければならない
4.1.6.代物弁済
4.2.相殺
4.2.1.相殺とは
例えば、AとBがお互いに100万円を貸しあっている場合、通常はAがBに100万円を現金で支払わないと債権が消滅しませんが、これを意思表示だけで消滅させることを相殺といいます
505条(相殺の要件等)
二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2項 前項の規定にかかわらず、当事者が相殺を禁止し、又は制限する旨の意思表示をした場合には、その意思表示は、第三者がこれを知り、又は重大な過失によって知らなかったときに限り、その第三者に対抗することができる。
508条(時効により消滅した債権を自働債権とする相殺)
時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる。
自働債権と受働債権
「相殺しよう」と言った人が持っている債権を自働債権、その逆を受働債権といいます。
509条(不法行為等により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止)
次に掲げる債務の債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。
1号 悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務
ただし、その債権者がその債務に係る債権を他人から譲り受けたときは、この限りでない。
→ 加害者は、損害賠償請求権を被害者から譲り受けた第三者に対しては、相殺を対抗することができる。
510条(差押禁止債権を受働債権とする相殺の禁止)
債権が差押えを禁じたもの《差押禁止債権》であるときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。
511条(差押えを受けた債権を受働債権とする相殺の禁止)
1項 差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することはできないが、差押え前に取得した債権による相殺をもって対抗することができる。
2項 前項の規定にかかわらず、差押え後に取得した債権が差押え前の原因に基づいて生じたものであるときは、その第三債務者は、その債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができる。ただし、第三債務者が差押え後に他人の債権を取得したときは、この限りでない。
→ 第三債務者が差し押え後に他人の債権を譲り受けた場合には、差押さえの時点において相殺に対する期待がないことから、その債権による相殺を差押債権者に対抗することは認められていない。
4.2.2.相殺の要件
4.2.3.相殺が禁止される場合
当事者が相殺禁止の意思表示
→ その意思表示は、第三者がこれを知り、または重大な過失によって知らなかったときに限り
→ その第三者に対抗することができる
時効によって消滅した債権
その消滅した以前に相殺に適するようになっていた場合
→ その債権者は、相殺をすることができる
4.3.更改・免除・混同
従前の債務 + 新たな債務
→ 従前の給付内容について重要な変更をするもの
→ 従前の債務は更改によって消滅する。
513条(更改)
当事者が従前の債務に代えて、新たな債務であって次に掲げるものを発生させる契約をしたときは、従前の債務は、更改によって消滅する。
1号 従前の給付の内容について重要な変更をするもの
519条(免除)
債権者が債務者に対して債務を免除する意思を表示したときは、その債権は、消滅する。
520条(混同)
債権及び債務が同一人に帰属したときは、その債権は、消滅する。ただし、その債権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。
5.多数当事者間の債権債務関係
5.1.分割債務
427条(分割債権及び分割債務)
数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。
428条(不可分債権)
連帯債権は、債権の目的がその性質上不可分である場合において、数人の債権者があるときについて準用する。
→ 不可分債権については、連帯債権の規定(更改・免除・混同に関する規定を除く。)が準用される。
430条(不可分債務)
連帯債務は、債務の目的がその性質上不可分である場合において、数人の債務者があるときについて準用する。
→ 不可分債務については、連帯債権の規定(混同に関する規定を除く。)が準用される。
432条(連帯債権者による履行の請求等)
債権の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債権を有するときは、各債権者は、全ての債権者のために全部又は一部の履行を請求することができ、債務者は、全ての債権者のために各債権者に対して履行をすることができる。
事例)A、B、C3人がDから自動車1台購入契約、300万円の債務
→ AはDに対し、A、B、C3人のために引渡しを請求
→ Aに対してだけ自動車の引渡しをすることもできる。
✗ Dは、Aに対してだけ自動車の引渡しをすることはできない。
436条(連帯債務者に対する履行の請求)
債務の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次に全ての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。
430条(不可分債務)
連帯債務の規定は、債務の目的がその性質上不可分である場合において、数人の債務者があるときについて準用する。
事例)A、B、C3人がDから自動車1台購入契約、300万円の債務=金銭債務
→ 不可分債務となることはない
→ Dは、A、B、Cのいずれに対しても、300万円の代金支払請求をすることができる。
5.2.連帯債務
432条(連帯債権者による履行の請求等)
債権の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債権を有するとき(連帯債権の場合)は、各債権者は、全ての債権者のために全部又は一部の履行を請求することができ、債務者は、全ての債権者のために各債権者に対して履行をすることができる。
433条 (連帯債権者の一人との間の更改又は免除)
連帯債権者の一人と債務者との間に更改又は免除があったときは、その連帯債権者がその権利を失わなければ分与されるべき利益に係る部分については、他の連帯債権者は、履行を請求することができない。
✗ 連帯債権者の1人と債務者との間に免除
→ 他の連帯債権者は債務者に対して債務の全部の履行を請求することができる。
434条 債務者が連帯債権者の1人に対して債権を有する場合において、その債務者が相殺を援用したときは、その相殺は、他の連帯債権者に対しても、その効力を生ずる。
✗ その債権者が相殺を援用しても、他の連帯債務者に対しては効力を生じない。
435条(連帯債権者の一人との間の混同)
連帯債権者の1人と債務者との間に混同があったときは、債務者は、弁済をしたものとみなす。
436条(連帯債務者に対する履行の請求)
債務の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次に全ての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。
437条(連帯債務者の一人についての法律行為の無効等)
連帯債務者の一人について法律行為の無効又は取消しの原因があっても、他の連帯債務者の債務は、その効力を妨げられない。
事例)A、B、Cが連帯債務
→ Aについて制限行為能力を理由に契約の取消しが認められる
→ BおよびCは、債務を免れることができない。
438条(連帯債務者の一人との間の更改)
連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
事例)AとB共同事業、Cから融資、弁済期1年後として連帯して貸金債務を負担
→ A・C間の更改により、AがCに対して甲建物を給付する債務に変更
→ Bは本件貸金債務を免れる。
439条(連帯債務者の一人による相殺等)
1項 連帯債務者の1人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
2項 前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分の限度において、他の連帯債務者は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。
440条(連帯債務者の一人との間の混同)
連帯債務者の1人と債権者との間に混同があったときは、その連帯債務者は、弁済をしたものとみなす。
441条(相対的効力の原則)
連帯債務において、連帯債務者の1人について生じた債務の免除は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない。
443条(通知を怠った連帯債務者の求償の制限)
他の連帯債務者があることを知りながら、連帯債務者の1人が共同の免責を得ることを他の連帯債務者に通知(事前の通知)しないで弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得た場合において、他の連帯債務者は、債権者に対抗することができる事由を有していたときは、その負担部分について、その事由をもってその免責を得た連帯債務者に対抗することができる。この場合において、相殺をもってその免責を得た連帯債務者に対抗したときは、その連帯債務者は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
事例)共同事業のAとBはCから融資受けるに際し、弁済期を1年後として1,000万円の貸金債務を負担
①
→ Cから履行を求められたAが、Bに通知することなくCに弁済(BはCに対して500万円の金銭債権を保有、既に弁済期が到来)
→ BはAから求償されたとしても相殺をもって対抗することができる。
②
→ AがCに弁済後、Bに通知せず
→ Bは知らずに、Aに対して事前に弁済する旨の通知をして、Cに弁済
→ Bは、Aの求償を拒み、事故がAに対して500万円を求償することができる。
444条(償還をする資力のない者の負担部分の分担)
1項 連帯債務者の中に償還をする資力のない者があるときは、その償還をすることができない部分は、求償者及び他の資力のある者の間で、各自の負担部分に応じて分割して負担する。
3項 償還を受けることができないことについて求償者に過失があるときは、他の連帯債務者に対して分担を請求することができない。
445条(連帯債務者の一人との間の免除等と求償権)
連帯債務者の1人に対して債務の免除がされ、又は連帯債務者の1人のために時効が完成した場合においても、他の連帯債務者は、その1人の連帯債務者に対し、求償権を行使することができる。
5.3.保証
5.3.1.保証とは
保証とは、債務者が弁済できなくなったときのために債務者の代わりに弁済する者を立てておくことで、債権の回収をより確実なものとする制度です。
446条(保証人の責任等)
保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
447条(保証債務の範囲)
保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。
447条2項
保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる。
450条(保証人の要件)
債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は、次に掲げる要件を具備する者でなければならない。
1号 行為能力者であること。
5.3.2.主債務者と保証人の関係
5.3.3.催告の抗弁権と検索の抗弁権
保証人が弁済する義務を負っているとはいえ、順番としては先に主債務者が弁済するべきです。そこで民法は、①催告の抗弁権と、②検索の抗弁権という2つの権利を保証人に与えています。
452条(催告の抗弁)
債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。
453条(検索の抗弁)
債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。
455条(催告の抗弁及び検索の抗弁の効果)
保証人の請求又は証明があったにもかかわらず、債権者が催告又は執行をすることを怠ったために主たる債務者から全部の弁済を得られなかったときは、保証人は、債権者が直ちに催告又は執行をすれば弁済を得ることができた限度において、その義務を免れる。
事例)EはFがGより100万円の融資を受けるにあたり、保証
→ 弁済後、GはEに対して保証債務の履行を求める、Eは主たる債務者に催告するよう請求
→ GがFに催告したときに、Fの資産状況が悪化、GはFから全額の弁済を受けることができなかった
→ EはGが直ちにFに催告していれば弁済を受けられた限度で保証債務の履行を免れる。
457条(主たる債務者について生じた事由の効力)
1項 主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対しても、その効力を生ずる。
2項 保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる。
→ 主たる債務者が債権者に対して同時履行の抗弁権を有する場合
→ 保証人は、その抗弁権を行使することができる。
458条の2(主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務)
保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない。
458条の3(主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における情報の提供義務)
主たる債務者が期限の利益を有する場合において、その利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知った時から二箇月以内に、その旨を通知しなければならない。
3項 前二項の規定は、保証人が法人である場合には、適用しない。
期限の利益・・・一定の期日が到来するまでの間、債務(例:借金の返済/代金の支払い)を履行しなくてよい利益。
例えば金銭消費貸借契約(ローン契約)の場合、お金を借りた人は、お金を返す義務を負い、契約書でお金をいつまでに返すかという期限を定めます。これは逆にいえば、返済期日が来るまではお金を返す必要がないという利益を得ていると考えることができます。
5.3.4.求償権
保証人が債権者に弁済した場合、主債務者やほかの保証人に求償することができます。
462条(委託を受けない保証人の求償権)
主たる債務者の意思に反して保証をした者は、主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償権を有する。
463条(通知を怠った保証人の求償の制限等)
3項 保証人が債務の消滅行為をした後に主たる債務者が債務の消滅行為をした場合においては、
①保証人が主たる債務者の意思に反して保証をしたときのほか、
②保証人が債務の消滅行為をしたことを主たる債務者に通知すること(事後の通知)を怠ったため、主たる債務者が善意で債務の消滅行為をしたときも、
主たる債務者は、その債務の消滅行為を有効であったものとみなすことができる。
5.3.5.債権者の保証人に対する情報提供義務
5.3.6.事業に係る債務についての保証契約
5.4.連帯保証
連帯保証とは、保証人が主債務者と連帯して債務を負担する約束をした場合の保証のこと。
連帯債務と同様、債権者にとっては通常の保証よりも有利になる点があります。
454条(連帯保証の場合の特則)
保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、催告の抗弁権および検索の抗弁権を有しない。
458条(連帯保証人について生じた事由の効力)
連帯保証人が債務者に対して債権を有する場合において、その連帯保証人が相殺を援用したときは、債権は、主たる債務者の利益のために消滅する。
連帯保証において、連帯保証人に対してした債務の免除は、主たる債務者に対してその効力を生じない。
cf)441条
465条(共同保証人間の求償権)
連帯保証人が複数いる場合に、連帯保証人の1人が全額または連帯保証人間における自己の負担部分を超える額を弁済したときは、他の連帯保証人に対して連帯保証人間における自己の負担部分を超える額について求償権を有する。
6.債権譲渡
6.1.債権譲渡
6.1.1.債権譲渡とは
6.1.2.譲渡禁止特約と債権譲渡
466条(債権の譲渡性)
<原則>2項 「譲渡制限の意思表示」をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。
→ 債権譲渡は有効。
<例外>3項 譲渡制限の意思表示がされたことを知り(悪意)、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。
466条の6(将来債権の譲渡性)
1項 債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを要しない。
✗ 現に発生していなければ
6.1.3.債務者に対する対抗要件
467条(債権の譲渡の対抗要件)
債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
「債権譲渡の通知は、債権の譲渡人からしなければならない。よって、譲受人は、譲渡人に代位して通知をすることはできない。」としている。
468条(債権の譲渡における債務者の抗弁)
1項 債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。
469条(債権の譲渡における相殺権)
債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗することができる。
2項 債務者が債権譲渡の対抗要件具備時より後に取得した譲渡人に対する債権であっても、
1号 対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権
2号 譲受人の取得した債権の発生原因である契約に基づいて生じた債権
であるときは、債務者は、その債権による相殺をもって譲受人に対抗することができる。