効力
時効の効力は、その起算日にさかのぼる
当事者(第三取得者)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない
→物上保証人は、債権につき消滅時効を援用することができる
時効の援用・放棄
時効の援用
取得時効・消滅時効ともに、時効の効果を得るためには直接利益を受ける者が必要な時間を経過した後に時効の利益を主張する必要があります。
この主張を時効の援用といいます。
時効の援用権者
時効の援用ができる者
保証人(連帯保証人を含む)
物上保証人
抵当不動産の第三取得者
詐害行為の受益者
時効の援用ができない者
一般債権者
後順位抵当権者 → 先順位抵当権の被担保物権の消滅に時効を援用することができない
取得時効
取得時効の要件
「他人の物」を占有すること
「所有の意思」をもって占有すること
「平穏かつ公然」に占有すること
「善意無過失」の場合は10年間占有を継続すること 「悪意」の場合は20年間占有を継続すること
「援用」すること
✗取得時効の対象になるのは所有権だけ
→所有権以外の財産権を、自己のためにする意思をもって、平穏に、かつ、公然と行使する者は、その権利を取得する
占有の継承
- BがAの土地を占有し7年【善意無過失】 → CがBを相続して5年
→Cは12年の善意無過失の占有(取得時効は完成する)
2.BがAの土地を占有し7年【悪意】 → CがBを相続して5年
→Cは12年の悪意の占有(取得時効は完成しない)
消滅時効
権利を取得した後に何もしないまま一定期間を経過すると、権利が消滅することになります。
一般の債権
知った時から5年
権利を行使できる時から10年
債務不履行に基づく身体の侵害による損害賠償請求権
知った時から5年
権利を行使できる時から20年
不法行為に基づく損害賠償請求権
- 不法行為の時から20年
人の生命または身体を害する不法行為による損害賠償請求権
時効の利益の放棄
時効の利益の放棄とは、時効が援用できるにもかかわらず、それをしないという意思表示をすることです。
時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。
✗時効が完成する前に放棄することができる
時効の完成猶予・更新
時効の完成猶予
猶予自由が発生しても、時効の進行自体は止まらないが、本来の時効期間を過ぎても一定期間は時効が完成しないとする制度
時効の更新
一定の完成猶予事由が終了したり、債権者から権利の承認があったりした場合、それまで経過した期間は時効完成にとってまったく無意味なものとなり、新たに時効が進行を開始する。
裁判上の請求
訴えの提起(債権者が権利を行使した段階)
裁判が確定するまでは時効は完成しない
→時効の完成猶予
裁判確定(権利の存在が裁判によって認められた段階)
時効のカウントはゼロに戻り、新しく時効が進行する
→時効の更新