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【行政事件訴訟法】総説・取消訴訟

行政事件訴訟法の概要

事後的な救済を求める制度

取消訴訟

取消訴訟の概要

行政機関による違法な行政処分の取消しを求める訴訟

例)営業停止処分を取り消してもらいたい、審査請求の結果出された裁決を取り消してもらいたい場合

  • 行政による簡易迅速な審理が行われる審査請求

  • 中立的な立場の裁判所による慎重な審理が行われる取消訴訟

→ どちらを選択するか国民の自由

原処分主義

例)営業停止処分の取消しを求めて審査請求

1.営業停止処分(原処分)の取消訴訟を提起

2.棄却裁決の取消訴訟を提起

  • 裁決の取消の訴え → 審査請求、再調査の請求

  • 公共施設の管理者である行政機関等が法32条所定の同意を拒否する行為

→ 抗告訴訟の対象となる処分には当たらない

訴訟提起と要件審理

原告適格

処分取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者

→ 処分により自己の権利もしくは法律上保護された利益を侵害され、または必然的に侵害されるおそれのある者

  • 景表法

単に一般消費者であるということだけでは、公正取引委員会による公正競争規約の認定につっき景表法10条6項による不服申立をする法律上の利益をもつ者であるということはできない

文化財の保存・活用から個々の県民にあるいは国民が受ける利益については、本来本件条例及び法がその目的としている公益の中に吸収解消させ

→ 法律上の利益を有せず、本件訴訟における原告適格を有しない

  • 都市計画事業の認可

事業地の周辺に居住する住民のうち当該事業が実施されることにより騒音、振動による健康または生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者

→ 取消訴訟における原告適格を有する 

  • 処分の取消訴訟は、処分の効果が期間の経過その他の理由によりなくなった後においても、なお、処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有する者であれば提起することができる
狭義の訴えの利益
  • 取消訴訟の係属中に申請拒否処分が職権で取消 → 許認可がされた

→ 取消訴訟は訴えの利益を失い、訴えは却下される

× 請求は棄却される

被告適格

適切な相手を被告として訴えていることが要求される

1.処分をした行政庁が国または公共団体に所属する場合

→ 処分をした行政庁の所属する国または公共団体

× 審査請求の裁決をした行政庁が被告となる

処分または裁決をした行政庁 → 裁判上の一切の行為をする権限を有する

2.処分をした行政庁が国または公共団体に所属しない場合

→ 処分をした行政庁

管轄裁判所

原則

被告の普通裁判権籍の所在地または処分をした行政庁の所在地を管轄する裁判所

例外

1.国を被告とする場合

→ 原告の普通裁判籍のしょざいちを管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所

2.土地の収用など、不動産または特定の場所にかかる処分の場合

→ 不動産または特定の場所の所在地の裁判所

出訴期間
  • 処分または裁決のあったことを知った日から6カ月以内 → 正当な理由があるときはこの限りではない

  • 処分又は裁決の日から1年以内

× 裁決の日から6か月

× 出訴期間の制限はなく

  • 処分の取消しの訴えは、直ちに提起することを妨げない

→ 審査請求に対する裁決を経た後でなければ

本案審理

取消訴訟の審理手続
取消事由の制限

取消訴訟:自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない

→ 請求「棄却」判決が出される → 無効確認訴訟には準用されていない

訴訟代理人 → 弁護士等の資格を要する

証拠調べ → 当事者の意見をきかなければならない

訴えの併合・変更

例)営業停止処分に対し処分の取消しを求める → 取消訴訟を提起し、損害賠償を求める場合 → 国家賠償請求訴訟を提起

→ 1つにまとめたり、別の訴訟に変更したりすることが認められています

  • 処分取消し訴え + 損害賠償の請求を追加的に併合できる

→ 「処分取消し訴え」の利益が訴訟係属中に消滅しても、訴えを変更することができる

訴訟参加

例)土地買収処分により土地を買収された者が当該処分の取消訴訟を提起し、請求が認容された場合、行政庁から土地を買い受けた者は土地を返還しなければなりません。

→ 取消訴訟は裁判に関わっていない者にも影響を与えてしまうため、訴訟参加という制度が設けられています

  • 裁判所は、当事者もしくは行政庁の申立てによりまたは職権で、訴訟に参加させることができる

判決(訴訟の終了)

  • 却下判決

訴えが訴訟要件を欠き、不適法な場合に、本案審理に入ることなく訴えを排斥する判決 審理することなく門前払いをするイメージ

  • 認容判決

原告の請求に理由があることを認めて、処分を取り消す判決 通常、取消判決と言います

  • 棄却判決

原告の請求に理由なしとして請求を排斥する判決 却下判決と異なり、審理はするものの、行政庁が行った処分が正しいということで、処分は取り消されない判決です。

棄却判決の一種

処分や裁決を取り消すと、公の利益に著しい障害を生ずる場合(公共の福祉に適合しないと認める場合)、処分を取り消すことなく、原告の請求を棄却することができます

判決の効力

  • 既判力

  • 形成力

  • 拘束力

執行停止

執行停止制度とは

営業停止の取消処分を受けた者が取消訴訟を提起 → 認容判決によって取り消されるまでは効力が残っているため、営業を再開することはできません

このような場合、取消訴訟の審理中に処分の効力を停止するよう申し立てることができます

  • 民事保全法に規定する仮処分をすることができない

  • 処分の取消しの訴えの提起 → 処分の効力、処分の執行または手続の続行を妨げない

× 執行の停止によって公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときに限り、執行の継続が認められる

  • 執行停止の申立ては、「処分の取消しの提起があった場合に」することができる

× 本案訴訟(処分取消訴訟)の提起と同時にしなければならない

  • 処分の執行停止の申立て → 当該処分に対して差止訴訟を提起した者がすることはできない

× 差止訴訟を提起した者もなすころができる

  • 裁判所は、執行停止に関する決定 → 口頭弁論を経ないですることができる

→ 当事者の意見をきかなければならない

× 口頭弁論を経て行わなければならない

執行停止の種類
  1. 処分の効力の停止

処分の執行または手続の続行の停止によって目的を達する

→ 「処分の効力の停止」はすることができない

2.処分の執行の停止

3.手続執行の停止

裁量的執行停止

裁判所が職権で行うことができず、申立てによることが必要

× 裁判所が職権で行うことができる

執行停止ができる場合

[原則]

  • 処分、処分の執行または手続の続行により生ずる重大な損害を避けるための緊急の必要があるとき

× 償うことができない損害を避けるため

[例外]

1.公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき

2.または本案について理由がないとみえるとき

× 理由があるとみえる場合でなければ、することができない

内閣総理大臣の異議

執行停止の申立てがあった場合、内閣総理大臣は裁判所に対し異議を述べることができます

内閣総理大臣の異議があった場合]

  • 執行停止決定前

裁判所は執行停止をすることができない

  • 執行停止決定後

裁判所は執行停止の決定を取り消さなければならない

行政不服審査法上の執行停止との比較

取消訴訟