不動産物権変動総説
不動産に関する物権変動は、登記をしなければ第三者に対抗することができない
177条の第三者
登記をしなければ「第三者」に所有権を主張できない
- 二重譲渡の譲受人
2.抵当権、地上権等の制限物権者
3.不動産賃借人
第三者にあたらない例
- 不法行為者・不法占拠者
→登記がなくとも所有権の取得を主張を対抗し得る
- AがBに売却(詐欺)→Aが取消したが、既にCに転売、Cは善意無過失
詐欺による意思表示の取消は、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない
- AがBに売却(詐欺)→Aが取消→Aの登記前にBが善意のCに譲渡、Cは登記
取消後の第三者 → 登記をしなければ、取消後の第三者に対抗することができない
取消後の第三者Cが登記を備えた場合→Aは取消しの効果をCに対抗することができない
登記が必要な物権変動
- AがBに売却 → BがCに転売 → A・Bの取引が合意解除 → Cは善意であっても登記を備えていなければ保護されない
解除と登記
- AがBに売却 →Bが代金不払いのためAが解除 → BがCに転売
→ Cに登記あり:AはCに所有権を主張できない → Aに登記あり:AはCに所有権を主張できる
取得時効と登記
時効完成前の第三者
- AがBに土地売却 → Bが10年以上占有継続 → 5年経過時にAがCに売却
→ Aの土地を時効取得したBのは、時効完成前の第三者Cに対して、登記がなくてもCに所有権を主張できる
時効完成後の第三者
- Aの土地を時効取得したB → 時効完成後の第三者Cに対して所有権を主張できるか
→ Cに登記あり: BはCに所有権を主張できない → Bに登記あり: BはCに所有権を主張できる
- 起算点の選択:時効援用者が起算点を任意に選択して、時効完成時期を早めたり遅らせたりすることはできない。
相続と登記
- A死亡 → 相続人Cが自分の相続分を超えて土地全部をDに売却 →他の共同相続人Bは、登記がなくても、自分の持分をDに対して請求できる
遺産分割と登記
- A死亡 → 妻B、子CDE 子Dが共有持分をHに譲受
→Hは登記があれば共有持分の取得をBCEに対抗できる
- 共同相続人Aが相続放棄 → 共同相続人Bが単独で承継 → Bの登記前にAの持分に対し債権者Cが仮差押えし、登記
→Bは登記がなくても、Aの相続放棄による所有権の取得をCに対抗することができる
「相続放棄の効力は絶対的で、何人に対しても、登記簿なくしてその効力を生ずる」