国家賠償法とは
国家賠償法1条
国家賠償法1条は、公務員の不法行為により生じた損害に対する損害賠償について規定しています。
公権力の行使とは
「公権力の行使」には処分のみならず、営造物の設置管理作用および純粋な私経済活動を除くすべての行政活動を含む
公務員とは
国家公務員法や地方公務員法上の公務員だけでなく、国会議員や裁判官、公務を委託された民間人も含まれる
「職務を行うについて」とは
加害行為が客観的に職務行為の外形を備えるものであればよく、公務員個人の主観的意図は問わない
違法の判断基準
加害公務員が職務上、通常尽くすべき注意義務を尽くしたか否か
警察官による逮捕および検察官の起訴
刑事事件において無罪の判決が確定しただけでは直ちに起訴前の逮捕・拘留・起訴後の拘留は違法とならない
国会議員の立法行為
国会議員の立法行為は、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて当該立法を行うというごとき、容易に想定し難いような例外的な場合でない限り、国家賠償法1条1項の規定の適用上、違法の評価を受けないものといわなければならない
水質規制に関する当時の法律に基づき指定水域の指定等の規制権限を国が行使しなかったこと
→ 違法というべき
通商産業大臣が鉱山保安法に基づき粉じん発生防止策の権限を行使しなかったこと
→ 違法というべき
労働大臣が労働基準法に基づく省令制定権限を行使して罰則をもって上記の工場等に局所排気装置を設置することを義務付けなかったこと
→ 違法
国家賠償法2条
道路や河川など、国や公共団体が設置・管理する公の営造物の瑕疵により生じた損害について規定
公の造営物
公の目的に利用されているものは広く公の営造物にあたる
設置または管理の瑕疵
公立中学校の校庭が一般開放→住民が負傷
審判台が本来の用途に従って安全であるべきことについて責任を負うのは当然として・・・これを設置管理者の通常予測し得ない異常な方法で使用しないという注意義務は、利用者である一般市民の側が負うのが当然である
国家賠償法3条
加害公務員が所属する国や公共団体、公の営造物を管理する国や公共団体以外にも損害賠償請求ができる規定
国家賠償請求訴訟の被告
【A】
加害公務員の所属する国または公共団体
公の営造物を設置・管理する国または公共団体
もしくは
【B】
公務員の俸給、給与その他の費用負担者
公の営造物の設置もしくは管理の費用負担者
【A】【B】どちらを被告として訴えてもよい
損失補償
国・公共団体の適法な行政活動により加えられた国民の財産上の特別な損失に対する補償