ひとり勉強ログ

ITエンジニアの勉強したことメモ

【民法】所有権

4.所有権

4.1.所有権の意義

4.2.相隣関係

4.2.1.隣地通行権

4.2.2.境界

4.3.共有

4.3.1.共有関係

4.4.所有者不明土地・建物の管理制度

4.5.管理不全土地・建物の管理制度

4.所有権

4.1.所有権の意義

206条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。

4.2.相隣関係

209条 土地の所有者は、次に掲げる目的のため必要な範囲内で、隣地を使用することができる。ただし、住家については、その居住者の承諾がなければ、立ち入ることはできない。

209条1項 境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕

4.2.1.隣地通行権

210条 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。

囲繞地(いにょうち)

「袋地の所有権を取得した者は、所有権取得登記を経由していなくても、囲繞地の取得者ないしこれにつき利用権を有する者に対して、囲繞地通行権を主張することができると解するのが相当である」としている。

218条 土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない。

× 雨水が注がれることを受忍しなければならない。

4.2.2.境界

226条 前条の囲障の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。

233条 土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。

233条3項 第1項の場合において、次に掲げるときは、土地の所有者は、その枝を切り取ることができる。

233条3項2 竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。

235条1項 境界線から一メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む。次項において同じ。)を設ける者は、目隠しを付けなければならない。

239条(無主物の帰属) 所有者のない動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する。

240条(遺失物の拾得) 遺失物は、遺失物法の定めるところに従い公告をした後3箇月以内にその所有者が判明しないときは、これを拾得した者がその所有権を取得する。

242条(不動産の付合) 不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。ただし、権原によってその物を附属させた他人の権利を妨げない。

事例)Bの所有する動産が、Aの所有する不動産に従として付号

→ Aが合成物の所有権を取得する。

✗ AとBは価格の割合に応じてその合成物を取得する

✗ AとBは、当然に相等しい割合でその合成物を共有する

246条(加工) 他人の動産に工作を加えた者(以下この条において「加工者」という。)があるときは、その加工物の所有権は、材料の所有者に帰属する。ただし、工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときは、加工者がその加工物の所有権を取得する。

→ AとBとの取決めがあれば、それによる。

4.3.共有

4.3.1.共有関係

249条 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。

249条2項 共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う。

249条3項 共有者は、善良な管理者の注意をもって、共有物の使用をしなければならない。【2021年改正】

✗ 固有財産におけるのと同一の注意をもって

事例)A、BおよびCが甲土地および乙建物を持分割合を均等として共有

→ Cが持分をDに譲渡、CD間の譲渡契約は錯誤により取消

→ 共有者の一人は、その持分権に基づき、共有不動産に対する妨害排除請求ができるので、当該不動産について全く実体上の権利を有しないのに持分移転登記を経由している者に対して、単独で、その末梢登記手続を求めることができる。

事例)A、BおよびCが甲土地を共有、乙建物が存在

→ DがA、BおよびCに無断で甲土地に乙建物を建てて占有使用

→ 「共有者の全員又はその一部の者から右不法占拠者に対してその損害賠償を求める場合には、右共有者は、それぞれその共有持分の割合に応じて請求をすべきものであり、その割合を超えて請求をすることは許されないものといわなければならない

✗ 単独で損害全額の賠償を求める。

251条 (共有物の変更) 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。

252条(共有物の管理) その形状又は効用の著しい変更を伴わないものにおいては、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する

共有物の管理者の選任および解任も同様。

252条4項 賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利であって、当該各号に定める期間を超えないものを設定することができる。

建物の賃借権等 3年

252条5項 各共有者は、単独で保存行為をすることができる。

252条の2 共有物の管理者は、共有物の管理に関する行為をすることができる。ただし、共有者の全員の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。

253条1項 各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。

✗ その持分にかかわらず、均等に

253条2項 共有者が1年以内に前項の義務を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができる。

255条 共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。

✗ 無主物として国庫に帰属する。

256条 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない

✗ 5年間は分割を請求することができない。

258条1項 共有物の分割について共有者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができる。

258条3項 共有物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる

✗ 裁判所は、・・・、共有物の競売を命ずることはできない。

260条1項 共有物について権利を有する者及び各共有者の債権者は、自己の費用で、分割に参加することができる。

260条2項 前項の規定による参加の請求があったにもかかわらず、その請求をした者を参加させないで分割をしたときは、その分割は、その請求をした者に対抗することができない。

✗ 共有物の分割に際して、これらの利害関係人に対して通知しなければならない。

262条の2 不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、当該他の共有者(「所在等不明共有者」)の持分を取得させる旨の裁判をすることができる。

262条の3第1項 不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、当該他の共有者(以下この条において「所在等不明共有者」という。)以外の共有者の全員が特定の者に対してその有する持分の全部を譲渡することを停止条件として所在等不明共有者の持分を当該特定の者に譲渡する権限を付与する旨の裁判をすることができる。

4.4.所有者不明土地・建物の管理制度

4.5.管理不全土地・建物の管理制度

行政書士試験対策

【憲法】憲法総論・人権

【憲法】統治

【民法】民法序論・行為能力と制限行為能力者制度・失踪宣告・法人・権利能力なき社団・権利の客体・法律行為

【民法】意思表示

【民法】代理

【民法】条件及び期限・期間・時効

【民法】物権総論・不動産物権変動

【民法】動産物権変動

【民法】用益物権・担保物権(担保物件・抵当権・質権・留置権・先取特権)

【民法】所有権

【民法】占有権

【民法】債権の意義・債権の効力・責任財産の保全・債権の消滅・多数当事者間の債権債務関係・債権譲渡・債務引受

【行政法総論】行政法の基本原理・行政組織法・行政活動の種別

【行政法総論】行政立法・行政行為・行政上の強制手段

【行政法総論】行政調査・行政契約・行政指導・行政計画

【行政手続法】行政手続法総説・処分・行政指導・届出・命令等制定手続・適用除外

【行政不服審査法】行政不服審査法総説・審査請求・再調査の請求・再審査請求・教示・適用除外

【行政事件訴訟法】行政事件訴訟法総説・取消訴訟・無効等確認訴訟・不作為の違法確認訴訟・義務付け訴訟・差止め訴訟・当事者訴訟・民衆訴訟・機関訴訟・教示

【国家賠償法・損失補償】国家賠償法・損失補償

【地方自治法】地方自治法の意義・地方公共団体の種類・地方公共団体の事務・地方公共団体の組織・住民の権利・条例・規則・公の施設・国の関与

【憲法】統治

権力分立

  • 政党国家化

→ 議院内閣制では議会の多数党が内閣を組織する

→ 内閣不信任案の可決という形での議会による内閣の責任追及の仕組みは実行的に機能しなくなった。

天皇

第1条(天皇の地位・国民主権)  天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

第2条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

第3条 天皇国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。

第4条 1項 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。 2項 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。

第5条 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。

  • 天皇が精神もしくは身体の重患または重大な事故により、国事に関する行為をみずからすることができないときは、皇室会議により、摂政をおく。(皇室典範16条2項)

第6条(天皇の任命行為) 1項 天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣任命する。

→ 国会の意思に拘束された儀礼的・名目的な行為にすぎない。

2項 天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。

× 内閣総理大臣

大日本帝国憲法6条 「天皇ハ法律ヲ裁可シ其ノ公布及執行ヲ命ス」に対し、日本国憲法は、天皇の「裁可権」を認めていない。

裁可:君主が臣下からの提出を自ら裁量・許可すること。

7条(天皇の国事行為) 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。 1項 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。

× 予算の公布

5項 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。

68条1項 内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。 2項 内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。

73条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。 7号 大赦、特赦、減刑刑の執行の免除及び復権を決定すること。

7条6号 大赦、特赦、減刑刑の執行の免除及び復権認証すること。

→ 天皇の国事行為

7条1号 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。 7条3号 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。 7条4項 国会議員の総選挙の施行を公示すること。

69条 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。

88条 すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。

国会

国会の地位

憲法43条(両議院の組織) 1項 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。

→ 大日本帝国憲法では採用されていなかった。

✗ 大日本帝国憲法でも採用されている。

  • 「政党は、国民がその政治的思想を国政に反映させ実現するための最も有効な媒体である。」(最判昭63.12.20)

→ 議員は、所属政党の党議拘束に服し、その政策決定に従って行動することにより、国民の代表者としての実質を発揮する。

✗ 議員が政党の党議拘束に服することは、憲法上許されないものとされている。

  • 議員が所属政党から「離脱した」ことによって自動的に議員資格を失うものとはされていない

✗ 所属政党から離脱したときは自動的に議員としての資格を失う。

43条1項 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。

  • 「代表」 → 国民は代表機関(国会)を通じて行動し、代表機関は国民意思を反映するものとみなされるという趣旨の政治的な意味であると解される

→ 議員は、議会において自己の信念に基づいてのみ発言・表決し、選挙母体の訓令には拘束されない(自由委任の原則命令委任の禁止)。

2項 両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。

国権の最高機関

憲法41条(国会の地位、立法権) 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。

  • 議会の立法権の本質は、国民の権利を制限したり義務を課したりする法規範の制定であると考えられてきた

憲法73条6号 内閣は、憲法および法律の規定を実施するために、政令を制定することができる。

= 内閣は、実質的にみて、立法権を行使することがある。

ーーーーー

  • 内閣の発する政令は、法律を執行すためのものか、法律の具体的な委任に基づくものでなければならない。緊急の必要がある場合、国会の事後の承認を条件に、そのような定めを政令で行うことは、国会中心立法の原則に違反し許されない。

→ そのような定めを政令で行うことは、必ずしも違憲とはいえない

  • 立法 → 一般的・抽象的法規範 → 処分的法律であっても、権力分立の核心を侵さず、社会国家にふさわしい実質的・合理的な取扱いの違いを設定する趣旨のものであれば認められるとする見解も有力である。
両院制

憲法45条(衆議院議員の任期)

衆議院議員の任期は、4年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。

  • 実際の運用では、解散による総選挙がほとんど。

✗ 実際の運用では、任期満了による総選挙が過半数を占め、解散による総選挙は例外となっている。

憲法46条(参議院議員の任期)

参議院議員の任期は、6年とし、3年ごとに議員の半数を改選する。

国会の活動

衆議院の優越

憲法59条(法律案の議決、衆議院の優越)

1項 法律案は、この憲法に特別の定める場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。

2項 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる。

→ 参議院でこれと異なった議決をした法律案

→ 衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる。

3項 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求める。

✗ 両院協議会を必ず開かなくてもよい。

4項 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会の休会中の期間を除いて60日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。

1.法律案の可決

2.予算の議決

3.条約の承認

4.内閣総理大臣の指名

について衆議院の優越を認めている

60条(衆議院の予算先議権と優越)

1項 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。

2項 予算について、参議院衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて30日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を参議院の議決とする。

61条(条約の国会承認と衆議院の優越)

条約の締結に必要な国会の承認については、前条第2項の規定を準用する。

× 両院協議会を必ずしも開かなくてもよい。

67条2項

内閣総理大臣の指名について、衆議院参議院とか異なった指名の議決をした場合には、両院協議会開かなければならない

憲法61条・60条2項

条約の承認について、衆議院参議院とが異なった議決をした場合には、両院協議会を開かなければならない。

✗ 両院協議会を必ずしも開かなくてよい。

国会議員の地位

49条

両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。

× 在任中、これを減額することはできない

50条

両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。

国会法33条

各議院の議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、会期中その院の許諾がなければ逮捕されない。

51条

両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。

✗ 国務大臣は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。

→ 地方議員の発言についても、いわゆる免責特権を憲法上保障しているものと解すべき根拠はない

✗ 地方議会の議員は、住民から直接選挙されるので、・・・、議会で行った演説、討論または表決について議会外で責任を問われない。

公職選挙法97条の2

衆参両議院の比例代表選出議員に欠員が出た場合には、当選順位に従い繰上補充が行われる。

国会の権能と議員の権能

52条

国会の常会は、毎年一回これを召集する。

✗ 毎年2回

国会法

2条 常会は、毎年1月中に召集するのを常例とする。

国会法

11条 国会法の規定によれば、臨時会および特別会の会期は、両議院一致の議決で、これを定める

✗ 会期の決定は、議院の権能である

→ 会期の決定は、両議院の議決の一致による国会の権能である。

53条

内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。

✗ 5分の1

54条

1項 衆議院が解散されたときは、解散の日から40日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から30日以内に、国会を召集しなければならない

2項 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは参議院の緊急集会を求めることができる。

3項 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後10日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ

= 衆議院解散

→ 参議院の緊急集会で採られた臨時の措置

→ 次の国会の後10日以内に衆議院の同意がない

→ その効力を失う

✗ 参議院議員の4分の1以上の要求があった場合、内閣により召集が決定される。

国会法

68条 会期中に議決に至らなかつた案件は、後会に継続しない。

✗ 後会に継続するのが慣例である

閉会中審査した議案および懲罰事犯の件は、後会に継続する

55条

両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とする。

56条

1項 両議院は、各々その総議員の3分の1以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない

✗ 4分の1以上

2項 両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる

✗ 3分の2以上

57条

1項 両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の3分の2以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる

✗ 過半数

3項 出席議員の5分の1以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない

58条

2項 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とする

= 議院規則制定権憲法上、両議院の自主的な立法に委ねられている(議院の権能)

✗ 議事運営について「国会法の制定を予定している」

61条

条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。

→ 出席議員の過半数でこれを決し(56条2項)

62条

両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる

= 国勢調査の行使は、議院の権能である

64条(弾劾裁判所

1項 国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける

→ 国会は、司法権を行使することができる

→ 裁判官の弾劾は、国会によって設置された弾劾裁判所の権能である

2項 弾劾に関する事項は、法律でこれを定める

内閣

内閣の組織と権能

66条

1項 内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。

→ 日本国憲法は、内閣総理大臣をもって「内閣の首長」と定め、強い地位・権能を与えている。

2項 内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。

3項 内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負う

国会 = 衆議院および参議院

✗ 内閣は、参議院に対しては連帯責任を負わない

責任 = 政治責任 であるとされている

1.内閣全体に対する事柄 → 内閣が連帯して責任を負う

2.各国務大臣に関する事柄 → 各国務大臣が個別的に責任を負う

大日本帝国憲法55条1項

「国務各大臣ハ天皇ヲ輔弼シ其ノ責ニ任ス」

✗ 明治憲法では、君主に対する内閣の「連帯責任」のみが規定されており

→ 内閣については規定すらなかった。

67条

1項 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する

✗ 必ずしも国会議員であることを要しない

✗ 衆議院議員の中から

68条

1項 内閣総理大臣国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない

✗ 天皇が任命する

✗ 国会議員の同意を得て

2項 内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。

✗ 法律の定めるところに従い、罷免することができる

72条

内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。

内閣総理大臣 → 内閣を代表して議案を国会に提出 → 一般国務および外交関係について国会に報告 → 行政各部の指揮監督する

74条

法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣連署することを必要とする。

75条

国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。

✗ 国務大臣は、その在任中、逮捕されない

訴追:検察官が刑事事件について公訴を提起し、それを遂行すること。広く身体の拘束を伴う公権力の行使のこと。

✗ 内閣の同意

内閣の総辞職

69条

内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。

✗ 内閣総理大臣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されな限り、単独で責任を負い、辞職しなければならない。

✗ 内閣は、衆議院で不信任の決議案が可決されたとき、直ちに総辞職しなければならない。

70条

内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。

✗ 内閣は、総選挙の結果が確定すると同時に、直ちに総辞職しなければならない。

内閣総理大臣を除く国務大臣過半数が総辞職した場合であっても、内閣は、総辞職をしなければならないわけではない。

→ 改めて国務大臣を任命すればよい

71条

内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行ふ。

73条

3項 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。

✗ 事前または事後の国会の承認なく条約を締結できる。

6項 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。

7号 大赦、特赦、減刑刑の執行の免除及び復権を決定すること。

= 内閣の権能

79条

6項 最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。

✗ 内閣総理大臣の報酬は

86条

内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。

裁判所

76条

1項 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。

→ 司法権とは、民事事件及び刑事事件の裁判権にとどまらず、行政事件の裁判権をも含むものである。

家庭裁判所はこの一般的に司法権を行う通常裁判所の系列に属する下級裁判所として設置されたものに外ならない」

→ 家庭裁判所は「憲法76条2項にいわゆる特別裁判所」に該当しない(最大判昭31.5.30)

  • 行政裁判所」の設置 → 憲法上、明文の規定はない。

  • フランスやドイツ →行政事件は、民事・刑事を扱う裁判所とは切り離された「行政裁判所」が担当してきた。

裁判所が「具体的事件を離れて抽象的に法律命令等の合憲性を判断する権限を有するとの見解には、憲法上及び法令上何等の根拠も存しない」(最大判昭27.10.8)

天皇は日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であることにかんがみ、天皇には民事裁判権が及ばないものと解するのが相当である」(最判平元.11.20)

「直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為のごときはたとえそれが法律上の争訟となり、これに対する有効無効の判断が法律上可能である場合であっても、かかる国家皇位は裁判所の審査権の外にある」

→ 「衆議院の解散は、極めて政治性の高い国家統治の基本に関する行為であつて、かくのごとき行為について、その法律上の有効無効を審査することは司法裁判所の権限の外にありと解すべき」(最大判昭35.6.8)

  • 衆参両議院の所属議員への懲罰 → 除名処分についても司法審査が及ばない

  • 地方議会議員の出席停止処分については「出席停止の懲罰は、議会の自律的な権能に基づいてされたものとして、議会に一定の裁量が認められるべきであるものの、裁判所は、常にその適否を判断することができるというべきである」(最大判令2.11.25)

✗ 裁判所の審査は及ばない。

  • 「大学は、国公立であると私立であるとを問わず、・・・、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題は右司法審査の対象から除かれるべきものである」(最判昭52.3.15)

「単位授与(認定)行為は、他にそれが一般市民法秩序と直接の関係を有するものであることを肯認するに足りる特段の事情のない限り」(最判昭52.3.15)

  • 「政党の結社としての自主性にかんがみると、・・・、政党が党員に対してした処分が一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審査権は及ばない」(最判昭63.12.20)

76条

3項 すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。

77条

1項 最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。

  • 最高裁判所は、司法行政に関する最高の権限を有するとされている。

78条

裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。

罷免される場合

1.分限裁判で「心身の故障のために職務を執ることができない」と決定された場合

✗ 懲戒については独立の懲戒委員会が決定を行う。

79条

1項 最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する

✗ 最高裁判所の裁判官は、天皇が任命

2項 最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。

✗ 衆議院議員の総選挙または参議院通常選挙

3項 前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。

「国民審査制度の実質を解職制とみて、白票を罷免を可としない表に数えても思想・良心の自由に反しない」(最大判昭27.2.20)

64条

1項 国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。

✗ 衆議院議員で組織する

裁判官の懲戒

戒告または1万円以下の過料

  • 裁判所法49条「にいう『品位を辱める行為』とは、職務上の行為であると、純然たる私的行為であるとを問わず、およそ裁判官に対する国民の信頼を損ね、又は裁判の公正を疑わせるような言動をいうものと解するのが相当である」(最大決平30.10.17)

79条

6項 最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。

80条

下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を10年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。

= 内閣の権能

2項 下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。

82条

1項 裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。

「裁判の公開は、制度として保障されたものである」としている(最大判平元.3.8)

2項 裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。

「刑事訴訟規則215条は写真撮影の許可等を裁判所の裁量に委ね、その許可に従わないかぎりこれらの行為をすることができないことを明らかにしているのであつて、右規則は憲法に違反するものではない」(最大決昭33.2.17)

「民事上の秩序罰としての過料を科する作用は、・・・、憲法82条、32条の定めるところにより、公開の法廷における対審及び判決によって行わなければならないものではない」(最大決昭41.12.27)

✗ 過料を科する場合は、公開法廷における対審および判決をによらなければならない。

  • 傍聴人と承認との間で遮へい措置が採られても、「審理が公開されていることに変わりはないから・・・憲法82条1項、37条1項に違反するものではない」としている(最判平17.4.14)

  • 裁判の公開の趣旨は、「傍聴人に対して法廷においてメモを取ることを権利として保障しているものではないことも、いうまでもない」(最大判平元.3.8)

✗ 傍聴人が法廷でメモを取る行為は、権利として保障されている。

  • 「裁判官に対する懲戒は、・・・裁判官に対する行政処分の性質を有するものである。・・・懲戒の裁判は、純然たる訴訟事件についての裁判には当たらないことが明らかである。」としている(寺西判事補分限裁判/最大決平10.12.1)

天皇

憲法2条

皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

憲法3条

天皇の国事に関するすべての行為は、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負う。

憲法4条1項

天皇は、憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能を有しない

憲法4条2項

天皇は、法律で定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる

憲法5条

皇室典範の定めるところにより、摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行う。

6条1項

天皇は、国会の指名に基づいて、内閣総理大臣任命する。

6条2項

天皇は、内閣の指名に基づいて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。

7条

天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。

1項 憲法改正、法律、政令および条約を公布すること。

✗ 予算の公布

2項 国会を召集すること。

✗ 内閣の権能である。

68条1項本文

内閣総理大臣は、国務大臣任命する。

68条2項

内閣総理大臣は、任意に国務大臣罷免することができる。

73条7号

大赦、特赦、減刑刑の執行の免除及び復権決定すること」は内閣の権能である。

認証 → 天皇の国事行為

69条

内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、または信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職しなければならない。

88条後段

すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。

財政

84条

あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。

「国又は地方公共団体が、課税権に基づき、・・・、特別の給付に対する反対給付としてでなく、一定の要件に該当するすべての者に対して課する金銭給付は、その形式のいかんにかかわらず、憲法84条に規定する租税に当たる」としている(最大判平18.3.1)

「市町村が行う国民健康保険の保険料は、保険料を徴収する方式のものであっても、強制加入とされ、保険料が強制徴収され、・・・被保険者において保険給付を受け得ることに対する反対給付として徴収されるものであるが、形式がである以上は、憲法84条の規定が適用されることになる」→「上記保険料に憲法84条の規定が直接に適用されることはない」(最大判平18.3.1)

85条

国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。

86条

内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。

  • 国会議員は、予算を伴う法律案を提出することもできる。

  • 国会には予算修正権が認められると解されており、国会の議決は一括承認、不承認に限られない

87条

1項 予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。

2項 すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない

  • 86条や87条によらないで、閣議の決定のみによって財政上必要な支出をすることはできない。

✗ 閣議の決定によって財政上必要な支出をすることができる。

89条

公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。

90条

1項 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。

→「すべて」とは、その会計年度において、現実に収納された収入および現実に支出された歳出の全部という意味である。

✗ 収入の見積もりにすぎない歳入の決算については、会計検査院の検査を受ける必要はない。

91条

内閣は、国会及び国民に対し、定期に、少くとも毎年一回、国の財政状況について報告しなければならない。

地方自治

92条

地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。

93条

1項 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。

2項 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。

94条

地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。

95条

一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。

✗ 地方公共団体の議会の同意を得なければ制定することができない

「条例によって刑罰を定める場合には、法律の授権が相当な程度に具体的であり、限定されておればたりる」(最大判昭37.5.30)

✗ 法律による個別具体的な授権が必要である。

憲法改正

96条

1項 この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

✗ 特別の憲法制定議会が召集され、そこにおける議決をもって憲法改正草案を策定する

✗ 国民投票において3分の2以上

2項 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

✗ 内閣総理大臣

憲法改正の限界

憲法改正については限界があり、憲法の中核である基本的人権についての規定は、憲法改正手続によっても削除することはできないとするのが通説である。

憲法と条約

73条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。

3項 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。

98条

2項 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

  • 憲法が条約に優越するという立場を前提とする(最大判昭34.12.16)

  • 憲法上、条約の締結には国会の承認を必要としており、さらに、条約については誠実に遵守することが必要とされていることから、条約は法律に優位すると解されている

SAMPLE

アコーディオンの中身です。

【商法】商法総則・商行為

1.商法総則・商行為

1.1.商法総則

1.2.商行為

商法総則

1条(趣旨等)

商人の営業、商行為その他商事については、他の法律に特別の定めがあるものを除くほか、商法の定めるところによる。

2条(公法人の商行為)

公法人が行う商行為については、法令に別段の定めがある場合を除き、この法律の定めるところによる。

3条(一方的商行為)

1項 当事者の一方のために商行為となる行為については、この法律をその双方に適用する。

2項 当事者の一方が二人以上ある場合において、その一人のために商行為となる行為については、この法律をその全員に適用する。

4条(定義)

1項 この法律において「商人」とは、自己の名をもって商行為をすることを業とする者をいう。

× 自己の計算を持って

2項 店舗その他これに類似する設備によって物品を販売することを業とする者又は鉱業を営む者は、商行為を行うことを業としない者であっても、これを商人とみなす。

5条(未成年者登記)

未成年者が前条の営業を行うときは、その登記をしなければならない。

民法と商法の関係

商法の適用

商行為

501条(絶対的商行為)

次に掲げる行為は、商行為とする。

1号 利益を得て譲渡する意思をもってする動産、不動産若しくは有価証券の有償取得又はその取得したものの譲渡を目的とする行為

→ 営業として行う場合に」商行為となる

2号 他人から取得する動産又は有価証券の供給契約及びその履行のためにする有償取得を目的とする行為

502条(営業的商行為)

次に掲げる行為は、営業としてするときは、商行為とする。ただし、専ら賃金を得る目的で物を製造し、又は労務に従事する者の行為は、この限りでない。

6号 出版、印刷又は撮影に関する行為

503条(附属的商行為)

商人の行為は、その営業のためにするものと推定される

× すべて商行為とみなされる(反証が許されない)

商号

11条(商号の選定)

商人(会社及び外国会社を除く。以下この編において同じ。)は、その氏、氏名その他の名称をもってその商号とすることができる。

  • 個人商人 → その営業ごとに複数の商号を使用可能

  • 会社

11条(商号の選定)

商人は、その氏、氏名その他の名称をもってその商号とすることができる。

12条(他の商人と誤認させる名称等の使用の禁止)

1項 何人も、不正の目的をもって、他の商人であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。

2項 前項の規定に違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある商人は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

  • 商号は名称であるから、・・・、図形や記号をもって表示することはできない

× 図形や記号をもって表示してもよい

15条(商号の譲渡)

商人の商号は、営業とともにする場合又は営業を廃止する場合に限り、譲渡することができる。

商業使用人

支配人

20条(支配人)

商人は、支配人を選任し、その営業所において、その営業を行わせることができる。

21条(支配人の代理権)

1項 支配人は、商人に代わってその営業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。

2項 支配人は、他の使用人を選任し、又は解任することができる。

3項 支配人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

× 悪意の第三者に対しても

22条(支配人の登記)

商人が支配人を選任したときは、その登記をしなければならない。支配人の代理権の消滅についても、同様とする。

  • 支配人は商業使用人であって、商人資格を取得しない。

× 登記の完了によって、支配人も商人資格を取得する。

23条(支配人の競業の禁止)

支配人は、商人の許可を受けなければ、次に掲げる行為をしてはならない。

1号 自ら営業を行うこと。

2号 自己又は第三者のためにその商人の営業の部類に属する取引をすること

3号 他の商人又は会社若しくは外国会社の使用人となること。

× 商人の許可がなくとも自己または第三者のためにその商人の営業の部類に属する取引を行うことができる

24条(表見支配人)

商人の営業所の営業の主任者であることを示す名称を付した使用人は、当該営業所の営業に関し、一切の裁判外の行為をする権限を有するものとみなす

× 主任者であることを示す名称を付した使用人は、・・・、当該営業所の営業に関しては、支配人とみなされる。

25条(ある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人)

商人の営業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人は、当該事項に関する一切の裁判外の行為をする権限を有する。

26条(物品の販売等を目的とする店舗の使用人)

物品の販売等(販売、賃貸その他これらに類する行為をいう。以下この条において同じ。)を目的とする店舗の使用人は、その店舗に在る物品の販売等をする権限を有するものとみなす。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない

代理商

商行為法

506条(商行為の委任による代理権の消滅事由の特例)

商行為の委任による代理権は、本人の死亡によっては、消滅しない

509条(契約の申込みを受けた者の諾否通知義務)

1項 商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けたときは、遅滞なく、契約の申込みに対する諾否の通知を発しなければならない。

2項 商人が前項の通知を発することを怠ったときは、その商人は、同項の契約の申込みを承諾したものとみなす

510条(契約の申込みを受けた者の物品保管義務)

商人がその営業の部類に属する契約の申込みを受けた場合において、その申込みとともに受け取った物品があるときは、その申込みを拒絶したときであっても、申込者の費用をもってその物品を保管しなければならない。

ただし、その物品の価額がその費用を償うのに足りないとき、又は商人がその保管によって損害を受けるときは、この限りでない。

511条(多数当事者間の債務の連帯)

数人の者がその一人又は全員のために商行為となる行為によって債務を負担したときは、その債務は、各自が連帯して負担する。

2項 保証人がある場合において、債務が主たる債務者の商行為によって生じたものであるとき、又は保証が商行為であるときは、主たる債務者及び保証人が各別の行為によって債務を負担したときであっても、その債務は、各自が連帯して負担する。

512条(報酬請求権)

商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる。

521条(商人間の留置権

商人間においてその双方のために商行為となる行為によって生じた債権が弁済期にあるときは、債権者は、その債権の弁済を受けるまで、その債務者との間における商行為によって自己の占有に属した債務者の所有する物又は有価証券を留置することができる。ただし、当事者の別段の意思表示があるときは、この限りでない。

× 一方のために

  • 商行為によって生じた債権を担保するために設定した質権

→ 民法349条(弁済前における流質契約の禁止)は適用されない

  • 商人間においいその双方のために商行為となる行為によって生じた債権が弁済期

→ 債権者は、その債権の弁済を受けるまで、その債務者との間における商行為によって自己の占有に属した債務者の所有する者または有価証券を留置することができる

匿名組合契約

匿名組合とは、当事者の一方が相手方の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益を配分することを約する契約のことです。

535条(匿名組合契約)

匿名組合契約は、当事者の一方が相手方の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益を分配することを約することによって、その効力を生ずる。

536条(匿名組合員の出資及び権利義務)

1項 匿名組合員の出資は、営業者の財産に属する。

2項 匿名組合員は、金銭その他の財産のみをその出資の目的とすることができる。

3項 匿名組合は、営業者の業務を執行し、又は営業者を代表することができない。

542条(匿名組合契約の終了に伴う出資の価額の返還)

匿名組合契約が終了したときは、営業者は、匿名組合員にその出資の価額を返還しなければならない。ただし、出資が損失によって減少したときは、その残額を返還すれば足りる

× その減少額をてん補して匿名組合員に出資の価額を返還する義務を負う。

仲介人

他人間の商行為の媒介をすることを業とする者

問屋

自己の名をもって他人のために物品の販売または買入れをすることを業とする者。

運送営業

  • 高価品 → 運送人は、その滅失、損傷または延着について損害賠償の責任を負わない。

「物品運送契約の締結の当時、運送品が高価品であることを運送人が知っていた」 「運送人の故意または重大な過失によって高価品の滅失、損傷又は延着が生じたとき」

× 故意によって

→ 運送人は免責されない

577条(高価品の特則)

1項 貨幣、有価証券その他の高価品については、荷送人が運送を委託するに当たりその種類及び価額を通知した場合を除き、運送人は、その滅失、損傷又は延着について損害賠償の責任を負わない。

2項 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。

1号 物品運送契約の締結の当時、運送品が高価品であることを運送人が知っていたとき。

2号 運送人の故意又は重大な過失によって高価品の滅失、損傷又は延着が生じたとき。

595条(受寄者の注意義務)

商人がその営業の範囲内において寄託を受けた場合には、報酬を受けないときであっても、善良な管理者の注意をもって、寄託物を保管しなければならない。

【地方自治法】地方自治法の意義・地方公共団体の種類・地方公共団体の事務・地方公共団体の組織・住民の権利・条例・規則・公の施設・国の関与

1.地方自治法の意義

1.1.地方自治法の意義

2.地方公共団体の種類

2.1.地方公共団体の種類

2.2.地方公共団体の連携

3.地方公共団体の事務

3.1.地方公共団体の事務

4.地方公共団体の組織

4.1.地方公共団体の組織

4.2.議会

4.3.執行機関

4.4.長と議会の関係

5.住民の権利

5.1.選挙権・被選挙権

5.2.直接請求

5.3.住民監査請求

5.4.住民訴訟

6.条例・規則

6.1.条例

6.2.規則

7.公の施設

7.1.公の施設

7.2.指定管理者

8.国の関与

8.1.国の関与

8.2.係争処理手続

地方自治法の意義

憲法における地方自治の基本ルール

地方公共団体の組織および運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める

地方自治の本旨とは>

国から独立した存在として、国の関与を受けず事務を処理する:団体自治

住民の意思に基づいて、地方政治を行う:住民自治

地方自治法の目的

1.地方公共団体の区分、地方公共団体の組織および運営に関する事項の大綱を定める

2.国と地方公共団体との間の基本的関係を確立する

→ 地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図り、地方公共団体の健全な発達を保障する

地方公共団体の種類

普通地方公共団体

特別地方公共団体

地方公共団体の事務

自治事務

法定受託事務以外の事務

例)飲食店の営業許可

控除方式で定義

× 例示列挙

法定受託事務

地方公共団体の組織

組織

1.事務機関としての議会

地方自治に必要な事項を決定する

2.執行機関としての長・委員会

自らの判断と責任において執行する機関

議会

議会の設置

町村においては議会のかわりに町村総会を置くことができます

議員の要件
議会の組織

条例で委員会制度を導入して、議決事項のうち特に専門性を有するものについては、少人数の議員で構成される委員会で事前に協議する

議会の運営

定例会

臨時会

議会の権限

執行機関

都道府県 → 知事

市町村 → 市町村長

→ 地方公共団体の長として様々な権限を与えています

独自の執行権を有し、担任する事務については、地方公共団体としての意思決定をみずから行い、外部に表示することのできる機関

長の要件
長の補助機関
長の権限
行政委員会

長と議会の関係

長の再議請求権
不信任議決と解散

地方公共団体の長の不信任の議決 → 解散後初めて召集された議会において再び不信任の議決

→ 普通地方公共団体の長は、議長から通知があった日においてその職を失う

× 長は再度議会を解散することができる

議会において議決すべき事件を議決しないとき

→ 地方公共団体の長は、その議決すべき事件を処分することができる

長の専決処分

住民の権利

選挙権・被選挙権

  • 住所

選挙権の要件としての住所は、その人の生活にもつとも関係の深い一般的生活、全生活の中心をもつてその者の住所と解すべき

都市公園内に不法に設置されたテント

→ 同テントの所在地に住所を有するものとはいえない

  • 法人も市町村の区域内に住所を有するのであれば、住民として扱われる

× 法人は住民として扱われることはない

→ 選挙に参与する権利を有する

× 日本国籍の有無にかかわらず→日本国籍を有しない住民は、選挙権を有しない

  • 日本国民で年齢満25歳以上のものは、・・・、市町村長の被選挙権を有する

→ 当該普通地方公共団体に関する選挙権を有すること、当該区域内に言って期間住所を有することを要件としていない

直接請求

地方政治では、国政と異なり一定以上の住民が署名を集めて条例の制定を求めたり、長の解職を求めたりすることができます

条例の制定改廃請求

× 日本国籍を有しない者であっても

× 条例の制定に関する議決を阻止すること

→ 条例の制定改廃請求の対象とはならない

× 地方公共団体のすべての条例について、制定または改廃を請求する権利を有する

→ 地方税の賦課徴収ならびに分担金、使用料および手数料の徴収に関するものを除く

  • 条例の制定・改廃請求 → 適法な請求を受理した長は、これを議会に付議しなければならず、不義を拒否することは認められていない

住民監査請求

住民監査請求とは

私たち住民が納めている税金は、適切に使われるべきです。そこで、住民は地方公共団体財務会計上の行為について、違法または不当な点があれば、監査委員に監査を請求することができます

× 住民の連署により、これをする必要がある

日本国籍を有する住民にのみ認められている

× 日本国籍を有しない住民も、住民監査請求をする権利を有する

事務監査請求との違い

住民訴訟

× 普通地方公共団体の住民ではない者であっても

  • 違法な財務会計行為が行われた時点において住民で会った必要はない

× 違法な会計行為が行われた時点において当該地方公共団体の住民で会ったことが必要となる

  • 住民訴訟を提起しようとするものは、住民監査請求を行う必要がある

× 自ら別個に住民監査請求をする必要はない

  • 原告が口頭弁論終結時までに他に転出 → その訴えは不適法となる

× 他に転出しても、当該訴訟が不適法となることはない

  • 監査委員の監査の結果や勧告に不服があるとき

→ 住民訴訟を提起することができる

  • 監査委員が不適法として却下

→ 適法な住民監査請求を経たものとして、直ちに住民訴訟を提起するっことができる

× A市在住の日本国籍を有する住民XがA市でもB市でも住民訴訟を提起できる

  • 住民訴訟を提起した者が → 係属中に死亡 → その訴訟を承継するに由なく、当然に終了する

× 当該地方公共団体の住民である場合に限り、訴訟を承継できる

× 特定の市立保育所の廃止の条例の制定行為を住民訴訟によって差止めを求める

3号訴訟

当該執行機関または職員に対する怠る事実の違法確認の請求

4号訴訟

職員等に損害賠償または不当利得返還の請求をすることを普通地方公共団体の執行機関または職員に対して求める請求

× 公金の支出を行うことを当該普通地方公共団体の長に対して義務付ける請求

条例・規則

条例

国会で法律がつくられるのと同様、地方議会では条例が制定されます

× 刑罰の種類は、懲役や禁固は、設けることができない

× 過料を科す旨の規定は、設けることができない

→ 個別の法律の委任を要しない

× 個別の法律の委任を必要とする

× 議長から送付を受けた長が公報などにより告示する

規則

  • 規則で刑罰を規定することはできない

× 条例による委任のある場合には、規則で刑罰を規定することができる

条例は地方議会の議決で制定されますが、規則は地方公共団体の長が単独で制定することができます

公の施設

公の施設とは

公の施設とは、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設のことです

  • 公の施設とは、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供する施設を指し、法令に特別の定めのあるものを除いて、その設置、管理については、かならず条例の根拠を必要とする

× 長の定める規則によらなければならない

  • 管理を指定管理者に行わせる

→ 指定管理者の指定の手続等の必要な事項を条例で定めなければならない

→ 議会の議決を経なければならない

× 議会の議決に加えて総務大臣の承認が必要

  • 法人の指定 → 条例の定める「指定の手続」によって指定する

× 条例自体によって指定されなければならない

  • 地方公共団体が指定する法人に、その管理する公の施設に係るその者の収入として収受させることができる

  • 公の施設の利用料金は指定管理者が定める

× 指定管理者が定めることはできない

  • 住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない

→ 正当な理由があれば、利用を拒むことができる

→ 住民に準ずる地位のある者にも適用される

(例外)

  • 合理的な理由があれば、別荘の給水契約者とそれ以外の給水契約者の基本料金に差をつける条例を定めることも許される

  • 普通地方公共団体の長以外の機関がした公の施設を利用する権利に関する処分についての審査請求

→ 当該普通地方公共団体の長に対してする

× 総務大臣に対してするものとされている

他の地方公共団体・住民との関係

公の施設は、例えばA市の区域内でつくられ、A市の住民が利用することが想定されていますが、B市の住民がまったく利用できないわけではありません

公の施設の廃止・長期の独占的利用

国の関与

財務

地方公共団体の財務

  • 地方債を起こす場合

1.都道府県、指定都市 → 総務大臣

2.市町村および特別区 →都道府県知事

× 起債前に財務大臣の許可

  • 分担金、使用料、加入金および手数料

→ 条例で定める

→ 租税法律主義 → 賦課徴収の強制の度合いにおいては租税に類似する性質を有するもの

→ 契約の締結に関して特別な手続は規定されていない

  • 売買、賃借、請負その他の契約を、指定競争入札随意契約またはせり売りの方法により締結する

→ 政令で定める場合

× 条例でこれを定める

関与

関与

→ 法律またはこれに基づく政令によらなければ、普通地方公共団体に対する国または都道府県の関与を受け、または要することとされることはない

→ 関与は必要な最小限のものとする → 普通地方公共団体の自主性および自律性に配慮

→ 法定受託義務にも当てはまる

  • 各大臣

1.都道府県の法定受託義務の処理が法令の規定に違反している

→ 法定受託事務の処理について違反の是正または改善のための必要な措置を講ずべきことを当該都道府県に対し勧告することができる

→ 都道府県知事がその期限までに当該事項を行わないとき → 各大臣は、高等裁判所に対し、訴えをもって、、、

1.自治事務の処理について違反の是正または改善のための必要な措置を講ずべきことを当該市町村に対し勧告することができる

2.都道府県知事の権限に属する事務の一部

→ 条例の定めるところにより → 市町村が処理

3.法定受託義務に係る都道府県知事の処分およびその不作為についての審査請求

→ 当該処分に係る事務を規定する法律またはこれに基づく政令を所管する各大臣に対してするものとする

✗ すべて総務大臣

係争処理手続

国地方係争処理委員会・自治紛争処理委員

国地方係争処理委員会
  • 国と地方公共団体との係争

  • 法定受託義務に関する国の関与が違法であると認めるとき

→ 国地方係争処理委員会 → 国の行政庁に対して → 必要な措置を講ずべきことを勧告する

→ 高等裁判所に対し → 訴訟を提起することができる

自治紛争処理委員
  • 都道府県と市町村との紛争

  • 非常勤とする

✗ 必ず常勤の

【国家賠償法・損失補償】国家賠償法・損失補償

1.国家賠償法

1.1.国家賠償法の概要

1.2.国家賠償法1条

1.3.国家賠償法2条

1.4.国家賠償法4条

1.5.その他(国家賠償法6条)

2.損失補償

2.1.損失補償

国家賠償法とは

国家賠償法1条

国家賠償法1条は、公務員の不法行為により生じた損害に対する損害賠償について規定しています。

公権力の行使とは

「公権力の行使」には処分のみならず、営造物の設置管理作用および純粋な私経済活動を除くすべての行政活動を含む

公務員とは

国家公務員法地方公務員法上の公務員だけでなく、国会議員や裁判官、公務を委託された民間人も含まれる

「職務を行うについて」とは

加害行為が客観的に職務行為の外形を備えるものであればよく、公務員個人の主観的意図は問わない

違法の判断基準

加害公務員が職務上、通常尽くすべき注意義務を尽くしたか否か

警察官による逮捕および検察官の起訴

刑事事件において無罪の判決が確定しただけでは直ちに起訴前の逮捕・拘留・起訴後の拘留は違法とならない

国会議員の立法行為

国会議員の立法行為は、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて当該立法を行うというごとき、容易に想定し難いような例外的な場合でない限り、国家賠償法1条1項の規定の適用上、違法の評価を受けないものといわなければならない

水俣病による健康被害

水質規制に関する当時の法律に基づき指定水域の指定等の規制権限を国が行使しなかったこと

→ 違法というべき

鉱山労働者のじん肺による健康被害

通商産業大臣が鉱山保安法に基づき粉じん発生防止策の権限を行使しなかったこと

→ 違法というべき

石綿製品の製造等を行う工場の労働者が石綿の粉じんにばく露

労働大臣が労働基準法に基づく省令制定権限を行使して罰則をもって上記の工場等に局所排気装置を設置することを義務付けなかったこと

→ 違法

国家賠償法2条

道路や河川など、国や公共団体が設置・管理する公の営造物の瑕疵により生じた損害について規定

公の造営物

公の目的に利用されているものは広く公の営造物にあたる

設置または管理の瑕疵

公立中学校の校庭が一般開放→住民が負傷

審判台が本来の用途に従って安全であるべきことについて責任を負うのは当然として・・・これを設置管理者の通常予測し得ない異常な方法で使用しないという注意義務は、利用者である一般市民の側が負うのが当然である

国家賠償法3条

加害公務員が所属する国や公共団体、公の営造物を管理する国や公共団体以外にも損害賠償請求ができる規定

国家賠償請求訴訟の被告

【A】

  • 加害公務員の所属する国または公共団体

  • 公の営造物を設置・管理する国または公共団体

もしくは

【B】

  • 公務員の俸給、給与その他の費用負担者

  • 公の営造物の設置もしくは管理の費用負担者

【A】【B】どちらを被告として訴えてもよい

損失補償

国・公共団体の適法な行政活動により加えられた国民の財産上の特別な損失に対する補償

【行政事件訴訟法】行政事件訴訟法総説・取消訴訟・無効等確認訴訟・不作為の違法確認訴訟・義務付け訴訟・差止め訴訟・当事者訴訟・民衆訴訟・機関訴訟・教示

1.行政事件訴訟法総説

1.1.行政事件訴訟法の概要

2.取消訴訟抗告訴訟

2.1.取消訴訟の概要

2.2.訴訟提起と要件審理

2.3.本件審理

2.4.判決(訴訟の終了)

2.5.執行停止

3.無効等確認訴訟(抗告訴訟

3.1.無効等確認訴訟

4.不作為の違法確認訴訟(抗告訴訟

4.1.不作為の違法確認訴訟

5.義務付け訴訟(抗告訴訟

5.1.義務付け訴訟

5.2.仮の義務付け

6.差止め訴訟(抗告訴訟

6.1.差止め訴訟

6.2.仮の差止め

7.当事者訴訟

7.1.当事者訴訟

8.民衆訴訟・機関訴訟

8.1.民衆訴訟と機関訴訟

9.教示

1.行政事件訴訟法総説

1.1.行政事件訴訟法の概要

3条(抗告訴訟
1項 この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
2項 この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。「処分」)の取消しを求める訴訟をいう。
3項 この法律において「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求その他の不服申立て(「審査請求」)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。

2.取消訴訟抗告訴訟

2.1.取消訴訟の概要

2.1.1.取消訴訟の意義

  • 営業停止処分を取り消してもらいたい

  • 審査請求の結果出された裁決を取り消してもらいたい

2.1.2.取消訴訟と審査請求の関係(自由選択主義)

2.1.3.原処分主義

条例の制定

「国若しくは地方公共団体又はその機関・・・が公共施設の管理権限を有する場合には、行政機関が法32条の同意を求める相手方となり、行政機関が右の同意を拒否する行為は、公共施設の適正な管理上当該開発行為を行うことは相当でない旨の公法上の判断を表示する行為ということができる。・・・、右同意を拒否する行為それ自体は、開発行為を禁止又は制限する効果をもつとはいえない。」として、「・・・・、抗告訴訟の対象となる処分には当たらない。」としている。

国公立大学が専攻科終了の認定をしないことは、・・・、一般市民として有する公の施設を利用する権利を侵害するものであるから、専攻科終了の認定、不認定に関する争いは司法審査の対象となる。」としている。

9条(原告適格

処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる。

比較)行政不服審査法は、このような者に不服申立適格が認められることを明示的には定めていない。

  • 裁決の相手方(審査請求人)以外の者も、裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益があれば、原告適格が認められる。

× 原告適格が認められるのは、裁決の相手方である審査請求人に限られ、

「景表法の規定により一般消費者が受ける利益は、公正取引委員会による同法の適正な運用によつて実現されるべき公益の保護を通じ国民一般が共通してもつにいたる抽象的、平均的、一般的な利益、・・・、」としたうえで、「単に一般消費者であるというだけでは、公正取引委員会による公正競争規約の認定につき景表法10条6項による不服申立をする法律上の利益をもつ者であるということはできない。」としている。

「新たに付与された提起航空運送事業免許に係る路線の使用飛行場の周辺に居住していて、当該免許に係る事業が行われる結果、・・・、当該免許に係る路線を航行する航空機の騒音によつて社会通念上著しい障害を受けることとなる者は、当該免許の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として、その取消訴訟における原告適格を有する。」としている。

「本件遺跡を研究の対象としてきた学術研究者であるとしても、本件史跡指定解除処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有せず、本件訴訟における原告適格を有しない。」としている。

「たとえ・・・鉄道会社の路線の周辺に居住する者であつて通勤定期券を購入するなどしたうえ、日常同社が運行している特別旅客列車を利用しているとしても、・・・本件特別急行料金の改定(変更)の認可処分によつて自己の権利利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者に当たるということができず、右認可処分の取消しを求める原告適格を有しないというべきである。」としている。

市長が国の建築物の建築工事に関する文書を公開する旨の決定をしたところ、国がこれを違法であるとしてその一部取消しを求めた訴えについて、国は、「本件建物の所有者として有する固有の権利が侵害されることをも理由として、本件各処分の取消しを求めていると理解することもできる」から、法律上の争訟に当たるとしつつも、

2.2.訴訟提起と要件審理

2.2.1.処分性

どのような行政活動が取消訴訟の対象となるか

  • (旧)完全定率法の規定に基づき税関長が行う「輸入禁制品に該当する貨物と認めるのに相当の理由がある」の旨の通知 → 「行政庁の処分その他の公権力の行使に当たる行為」に該当する。
  • (旧)医療法のの規定に基づく病院開設中止の勧告 → 「行政庁の処分その他の公権力の行使に当たる行為」に該当する。
  • 「条例の制定は、普通地方公共団体の議会が行う立法作用に属するから、**一般的には、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるものではない**ことはいうまでもない。」としている。
  • 公立小学校を廃止する条例 → 本件条例が抗告訴訟の対象となる処分に当たらない
  • 水道料金を値上げする市町村条例の改正 → 「本件改正条例は、・・・、**本件改正条例の制定行為は、抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらないというべきである**。」としている。 → 当該条例改正の無効確認を求める抗告訴訟を不適法としている。
  • 水道料金を納付しない利用者に対する給水の停止措置 → 未払水道料金がある者に対する簡易水道の給水停止の禁止請求を認容している
  • 保育所の廃止のみを内容とする条例は、「改正条例は、本件各保育所の廃止のみを内容とするものであって、・・・、当該保育所において保育を受けることを期待し得る上記の法的地位を奪う結果を生じさせるものであるから、その制定行為は、行政庁の処分と実質的に同視しうるものということができる」として、「本件改正条例の制定行為は、抗告訴訟の対象となる行政行為に当たると解するのが相当である。」としている。「・・・処分の取消判決や執行停止の決定に三者が認められている取消訴訟において当該条例の制定行為の適法性を争い得るとすることには合理性がある。」
  • 建築基準法に定める道路の指定 → 「特定行政庁による2項道路の指定は、・・・、個人の権利義務に対して直接影響を与えるものということができる」としたうえで、「一括指定の方法による2項道路の指定も、「抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解すべきである。」としている。
  • 都市計画区域内において工業地域を指定する決定につき、「当該地域内の土地所有者等に建築基準法上新たな制約を課し、・・・、これに対する抗告訴訟を肯定することはできない。」としている。
  • 市町村の施行に係る土地区画整理事業計画の決定は、「・・・市町村の施工に係る土地区画整理事業の事業計画の決定は、・・・、実質的な権利救済を図るという観点から見ても、これを対象とした抗告訴訟の提起を認めるのが合理的である」として、「上記事業計画の決定は、行政事件訴訟法3条2項にいう『行政庁の処分その他公権力の行使にあたる行為』に当たると解するのが相当である。」としている。
  • 供託法に基づく供託金の取戻請求権は、「供託官が供託物取戻請求を理由がないと認めて却下する行為は行政処分、・・・」としている。
  • 国民年金法に基づく裁定の請求に対して年金を支給しない旨の決定が行われた場合、その年金を支給しない旨の決定に対する取消訴訟の提起が認められる
  • 登録免許税法31条2項は、登記を受けた者に対し、・・・、上記拒否通知は、登記等を受けた者に対して上記の手続上の地位を否定する法的効果を有するものとして、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解するのが相当である。」としている。

事例)鉄道事業者X

2.2.2.原告適格

9条(原告適格
1項 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(「取消訴訟」)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。

生活保護法に基づく保護変更決定の取消しを求める利益は、原告の死亡によって失われる。」としている。

「市街化調整区域内にある土地を開発区域とする開発許可に関する工事が完了し、・・・、当該開発許可の取消しを求める訴えの利益は失われないと解するのが相当である。」としている。

「公務員免職の行政処分は、・・・、当該公務員は、違法な免職処分さえなければ公務員として有するはずであつた給料請求権その他の権利、利益につき裁判所に救済を求めることができなくなるのであるから、本件免職処分の効力を排除する判決を求めることは、右の権利、利益を回復するための必要な手段であると認められる。」として、訴えの利益を失わないとしている。

「自動車運転免許停止処分を受けた者は、停止期間を経過し、かつ、その処分の日から無違反・無処分で1年を経過して不利益を受けるおそれがなくなったときは、当該処分の取消によって回復すべき法律上の利益を有しない。」としている。

→ 違反点数が残っている間は、訴えの利益は消滅しない

保育の実施期間がすべて満了したことにより、私立保育所の廃止「条例の制定行為の取消しを求める訴えの利益は失われ(る)」としている。

× 実施期間がすべて満了したとしても失われない。

「請求権者は、本件ん条例に基づき公文書の公開を請求して、所定の手続により請求に係る公文書を閲覧し、又は写しの交付を受けることと求める法律上の利益を有するというべきであるから、請求に係る公文書の非公開決定の取消訴訟において当該公文書が書証として提出されたとしても、当該公文書の非公開決定の取消しを求める訴えの利益は消滅するものではないと解するのが相当である。」としている。

「再入国の許可申請に対する不許可処分について取消訴訟を提起した外国人は、本邦を出国した場合、当該処分の取消しを求める利益を失う。」としている。

11条(被告適格等)

1項 処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属する場合には、処分取消訴訟は、当該処分をした行政庁の所属する国または公共団体を被告として提起しなければならない。

× 当該処分をした行政庁を被告として提起しなければならない。

2項 処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属しない場合には、取消訴訟は、当該裁決をした行政庁の所属するが国又は公共団体を被告として提起しなければならない。

12条(管轄)

2項 土地の収用、鉱業権の設定その他不動産又は特定の場所に係る処分又は裁決についての取消訴訟は、その不動産又は場所の所在地の裁判所にも、提起することができる。

4項 国を被告とする取消訴訟は、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所特定管轄裁判所)にも、提起することができる。

14条(出訴期間)

取消訴訟は、処分又は裁決があつたことを知つた日から6箇月を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

× 取消訴訟は出訴期間の制限はなく、

3項 処分又は裁決につき審査請求をすることができる場合又は行政庁が誤つて審査請求をすることができる旨を教示した場合において、審査請求があつたときは、処分又は裁決に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、これに対する裁決があつたことを知つた日から6箇月を経過したとき又は当該裁決の日から1年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

→ 審査請求をしたときは、処分取消訴訟の出訴期間は審査請求に対する裁決の時点を基準として判断される。

  • 処分取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求することができる場合においても、直ちに提起することを妨げない(自由選択主義/8条1項)。

  • 「審査請求前置主義が採られている場合であっても、審査庁が誤って却下した場合は、却下の決定は審査の決定に当たると解すべきであり、原処分に対する取消訴訟を適法に出訴することができる。」としている。

10条(取消しの理由の制限)

取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない。

→ 自己の法律上の利益に関係のない違法のみを理由とする原告の請求は、処分を取り消すだけの違法事由がないものとして棄却されることになる。

→ 無効確認訴訟には準用されていない。

  • 個別の法律が裁決主義を採用している場合(処分についての審査請求に対する裁決に対してのみ取消しの訴えを提起することができる場合)には、裁決取消訴訟において原処分の違法を主張することもできる。

7条(この法律に定めがない事項)

行政事件訴訟に関し、この法律に定めがない事項については、民事訴訟の例による。

民事訴訟法54条

1項 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ訴訟代理人となることができない。

→ 訴訟代理人弁護士等の資格を要する

「開示請求の対象とされた取消訴訟においては、その取消しを求める者が、当該不開示決定時に当該行政機関が当該行政文書を保有していたことについて主張立証責任を負う。」としている。

✗ 主張立証責任は、被告が負う。

24条(職権証拠調べ)

裁判所は、必要があると認めるときは、職権で、証拠調べをすることができる。ただし、その証拠調べの結果について、当事者の意見をきかなければならない。

→ その対象は、訴訟要件に関するものに限られず、本案に関するものも含まれる

19条(原告による請求の追加的併合)

原告は、取消訴訟の口頭弁論の終結に至るまで、関連請求に係る訴えをこれに併合して提起することができる

32条(取消判決等の効力)

1項 処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有する。

22条(第三者の訴訟参加)

裁判所は、訴訟の結果により権利を害される第三者があるときは、当事者若しくはその第三者の申立てにより又は職権で、決定をもつて、その第三者を訴訟に参加させることができる。

23条(行政庁の訴訟参加)

裁判所は、処分又は裁決をした行政庁以外の行政庁を訴訟に参加させることが必要であると認めるときは、当事者若しくはその行政庁の申立てにより又は職権で、決定をもつて、その行政庁を訴訟に参加させることができる。

45条(処分の効力等を争点とする訴訟)

1項 私法上の法律関係に関する訴訟において、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無が争われている場合(争点訴訟)には、第23条第1項及び第2項並びに第39条の規定を準用する。

→ 裁判所は、決定をもって、その処分に関する行政庁を当該訴訟に参加させることができる。

2.3.本件審理

2.4.判決(訴訟の終了)

「理由によらないような理由を附記するに止まる決定は、審査決定手続に違法がある場合と同様に、判決による取消を免れないと解すべきである。」としている。

2.4.2.事情判決

31条(特別の事情による請求の棄却)

1項 取消訴訟については、処分又は裁決が違法ではあるが、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分又は裁決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁判所は、請求を棄却することができる。

事例)ダムの建設許可処分に対して、ダムの底に沈む村の住民が取消訴訟を提起

→ ダム建設公示を中止することの影響を考慮したうえで、処分を取り消さない判断をすることができる。

→ ダムの底に沈んだ村は戻ってこない。※ただし、処分自体は違法だと判断している。

  • 訴訟費用については、被告側が負担すると解されている。

  • 被告の側も上訴することができる。

2.4.3.判決の効力

三者

32条(取消判決等の効力)

処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有する。

拘束力

33条

1項 処分又は裁決を取り消す判決は、その事件について、処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する。

関係行政庁 → 処分庁が所属するのとは異なる行政主体(国・公共団体)に所属する行政庁も含まれる。 

  • 判決の拘束力が生じるのは、判決の主文に限られず、主文に含まれる判断を導くために不可欠な理由中の判断についても及ぶ。よって、処分庁は、判決理由と異なる理由によれば、同一処分(申請拒否処分)を行うことも許される

33条1項反対解釈 → 申請を認める処分についての取消請求を棄却する判決は、処分をした行政庁その他の関係行政庁を拘束しない

2項 申請を却下し若しくは棄却した処分又は審査請求を却下し若しくは棄却した裁決が判決により取り消されたときは、その処分又は裁決をした行政庁は、判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分又は審査請求に対する裁決をしなければならない。

3項 前項の規定は、申請に基づいてした処分又は審査請求を認容した裁決が判決により手続に違法があることを理由として取り消された場合に準用する

2.5.執行停止

2.5.1.執行停止制度とは

審査請求の場合と同様に、営業許可の取消処分を受けた者が取消訴訟を提起したとしても、認容判決によって取り消されるまでは効力が残っているため、営業を再開することはできません

このような場合、取消訴訟の審理中に処分の効力を停止するよう申し立てることができます

  • 行政庁の処分その他の公権力の行使に当たる行為については、民事保全法に規定する仮処分をすることができない
2.5.3.裁量的執行停止

25条(執行停止)

2項 処分の取消しの訴えの提起があつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止(以下「執行停止」という。)をすることができる

→ 執行停止の申し立ては、本案訴訟たる取消訴訟が係属していなければ不適法である。よって、本案訴訟(取消訴訟)係属前の執行停止の申立ては認められない

係属・・・ある訴訟が裁判所で取扱い中であること。

→ 行政事件訴訟法は、行政不服審査法の場合とは異なり、職権による執行停止を認めていない

✗ 償うことができない損害を避けるための緊急の必要がある場合でなければ、することができない。

2項ただし書 ただし、処分の効力の停止は、処分の執行又は手続の続行の停止によつて目的を達することができる場合には、することができない。

6項 第2項の決定は、口頭弁論を経ないですることができる。ただし、あらかじめ、当事者の意見をきかなければならない。

37条の3

3項2号 処分の効力の停止は、形成的な効力をもつ処分の効力を停止させてその後は処分がなかったものと同じような効果を与えるものであって、申請された許認可の効果を仮に発生させるものではない。申請された許認可の効果を仮に発生させるには、申請された許認可を命ずることを求める義務付け訴訟と申請拒否処分の取消訴訟を併合提起し、仮の義務付けの申立てをする必要がある

2.5.4.内閣総理大臣の異議

27条(内閣総理大臣の異議)

1項 第25条第二項の申立てがあつた場合には、内閣総理大臣は、裁判所に対し、異議を述べることができる。執行停止の決定があつた後においても、同様とする。

✗ 内閣総理大臣の異議は、裁判所による執行停止決定の後に述べなければならず、

6項 内閣総理大臣は、やむをえない場合でなければ、第1項の異議を述べてはならず、また、異議を述べたときは、次の常会において国会にこれを報告しなければならない。

✗ 内閣総理大臣が異議を述べたときに、国会の承認を求める必要はない。

2.5.2.執行停止の種類
  1. 処分の効力の停止

2.処分の執行の停止

3.手続の執行の停止

2.5.3.裁量的執行停止
2.5.4.内閣総理大臣の異議

3.無効等確認訴訟(抗告訴訟

3.1.無効等確認訴訟

3.1.1.無効等確認訴訟とは

  • 行政処分が職権により取り消された場合、行政処分を取り消す行為も行政処分であるから、これを争う相手方は、当該取消処分の取消しの訴えを提起することができる

  • 行政処分が無効である場合も、行政事件訴訟法が定める取消訴訟の出訴期間内であれば、当該行政処分に対する取消訴訟を提起することができる

  • 無効確認訴訟については、審査請求前置(8条1項ただし書)の制約は準用されていない。

36条(無効等確認の訴えの原告適格

無効等確認の訴えは、当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないものに限り、提起することができる。

1.当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者 → 予防的無効確認訴訟

2.その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないもの → 補充的無効確認訴訟

に限り、提起することができる。

3.1.4.取消訴訟の規定の準用

38条(取消訴訟に関する規定の準用)

準用されている

  • 無効等確認の訴えを、処分の無効に基づく国または公共団体の対する損害賠償請求に変更すること(38条1項)。

  • 仮の救済のための執行停止制度(25条)。

準用されていない

  • 取消判決の第三者効は準用されていない32条1項)。

4.不作為の違法確認訴訟(抗告訴訟

4.1.不作為の違法確認訴訟

4.1.1.不作為の違法確認訴訟とは

3条

5項 この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。

37条(不作為の違法確認の訴えの原告適格

不作為の違法確認の訴えは、処分又は裁決についての申請をした者に限り、提起することができる。

  • 不作為の違法確認の訴えでは、出訴期間の制限はなく、処分・裁決の不作為が継続していれば、訴えを提起することができる。

✗ 6箇月を経過したときは提起することができないが

38条(取消訴訟に関する規定の準用)

国の行政庁が行うべき処分に関する不作為の違法確認訴訟の被告は、行政主体である「国」である

  • 原告の請求を認容する判決(不作為の違法確認判決)が確定 → 行政庁は、申請に対し、何らかの処分または裁決をしなければならない

✗ 当該申請により求められた処分をしなければならない。

5.義務付け訴訟(抗告訴訟

5.1.義務付け訴訟

5.1.1.義務付け訴訟

取消訴訟や不作為の違法確認訴訟だけでは、納得のいく処分を出してもらえない可能性があります。

そこで、国民が「納得のいく処分」を出してもらえるような訴訟として、義務付け訴訟が存在します。

  • 処分取消訴訟・申請型義務付け訴訟は、その「国又は公共団体」を被告として提起しなければならない。

✗ 消費者庁長官を被告として、文書の開示を求める義務付け訴訟を提起することができる。

5.1.2.義務付け訴訟の種類

1.非申請型義務付け訴訟

2.申請型義務付け訴訟

5.1.3.申請型義務付け訴訟

不作為型

  • 不作為の違法確認訴訟と義務付け訴訟を併合提起しなければならない

拒否処分型

  • 申請拒否処分の訴えのみを単独で提起することも許される
5.1.4.非申請型義務付け訴訟

37条の2

2項 義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる。

37条の3

5項 申請型の義務付け訴訟においては、それと併合して提起すべきこととされている処分取消訴訟などに係る「理由がある」と認められたときにのみ、義務付けの請求も認容されることとされる。

5.2.仮の義務付け

6.差止め訴訟(抗告訴訟

6.1.差止め訴訟

6.2.仮の差止め

7.当事者訴訟

7.1.当事者訴訟

8.民衆訴訟・機関訴訟

8.1.民衆訴訟と機関訴訟

9.教示

行政事件訴訟法の概要

事後的な救済を求める制度

取消訴訟

取消訴訟の概要

行政機関による違法な行政処分の取消しを求める訴訟

例)営業停止処分を取り消してもらいたい、審査請求の結果出された裁決を取り消してもらいたい場合

  • 行政による簡易迅速な審理が行われる審査請求

  • 中立的な立場の裁判所による慎重な審理が行われる取消訴訟

→ どちらを選択するか国民の自由

原処分主義

例)営業停止処分の取消しを求めて審査請求

1.営業停止処分(原処分)の取消訴訟を提起

2.棄却裁決の取消訴訟を提起

  • 裁決の取消の訴え → 審査請求、再調査の請求

  • 公共施設の管理者である行政機関等が法32条所定の同意を拒否する行為

→ 抗告訴訟の対象となる処分には当たらない

訴訟提起と要件審理

原告適格

処分取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者

→ 処分により自己の権利もしくは法律上保護された利益を侵害され、または必然的に侵害されるおそれのある者

  • 景表法

単に一般消費者であるということだけでは、公正取引委員会による公正競争規約の認定につっき景表法10条6項による不服申立をする法律上の利益をもつ者であるということはできない

文化財の保存・活用から個々の県民にあるいは国民が受ける利益については、本来本件条例及び法がその目的としている公益の中に吸収解消させ

→ 法律上の利益を有せず、本件訴訟における原告適格を有しない

  • 都市計画事業の認可

事業地の周辺に居住する住民のうち当該事業が実施されることにより騒音、振動による健康または生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者

→ 取消訴訟における原告適格を有する 

  • 処分の取消訴訟は、処分の効果が期間の経過その他の理由によりなくなった後においても、なお、処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有する者であれば提起することができる
狭義の訴えの利益
  • 取消訴訟の係属中に申請拒否処分が職権で取消 → 許認可がされた

→ 取消訴訟は訴えの利益を失い、訴えは却下される

× 請求は棄却される

被告適格

適切な相手を被告として訴えていることが要求される

1.処分をした行政庁が国または公共団体に所属する場合

→ 処分をした行政庁の所属する国または公共団体

× 審査請求の裁決をした行政庁が被告となる

処分または裁決をした行政庁 → 裁判上の一切の行為をする権限を有する

2.処分をした行政庁が国または公共団体に所属しない場合

→ 処分をした行政庁

管轄裁判所

原則

被告の普通裁判権籍の所在地または処分をした行政庁の所在地を管轄する裁判所

例外

1.国を被告とする場合

→ 原告の普通裁判籍のしょざいちを管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所

2.土地の収用など、不動産または特定の場所にかかる処分の場合

→ 不動産または特定の場所の所在地の裁判所

出訴期間
  • 処分または裁決のあったことを知った日から6カ月以内 → 正当な理由があるときはこの限りではない

  • 処分又は裁決の日から1年以内

× 裁決の日から6か月

× 出訴期間の制限はなく

  • 処分の取消しの訴えは、直ちに提起することを妨げない

→ 審査請求に対する裁決を経た後でなければ

本案審理

取消訴訟の審理手続
取消事由の制限

取消訴訟:自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない

→ 請求「棄却」判決が出される → 無効確認訴訟には準用されていない

訴訟代理人 → 弁護士等の資格を要する

証拠調べ → 当事者の意見をきかなければならない

訴えの併合・変更

例)営業停止処分に対し処分の取消しを求める → 取消訴訟を提起し、損害賠償を求める場合 → 国家賠償請求訴訟を提起

→ 1つにまとめたり、別の訴訟に変更したりすることが認められています

  • 処分取消し訴え + 損害賠償の請求を追加的に併合できる

→ 「処分取消し訴え」の利益が訴訟係属中に消滅しても、訴えを変更することができる

訴訟参加

例)土地買収処分により土地を買収された者が当該処分の取消訴訟を提起し、請求が認容された場合、行政庁から土地を買い受けた者は土地を返還しなければなりません。

→ 取消訴訟は裁判に関わっていない者にも影響を与えてしまうため、訴訟参加という制度が設けられています

  • 裁判所は、当事者もしくは行政庁の申立てによりまたは職権で、訴訟に参加させることができる

判決(訴訟の終了)

  • 却下判決

訴えが訴訟要件を欠き、不適法な場合に、本案審理に入ることなく訴えを排斥する判決 審理することなく門前払いをするイメージ

  • 認容判決

原告の請求に理由があることを認めて、処分を取り消す判決 通常、取消判決と言います

  • 棄却判決

原告の請求に理由なしとして請求を排斥する判決 却下判決と異なり、審理はするものの、行政庁が行った処分が正しいということで、処分は取り消されない判決です。

棄却判決の一種

処分や裁決を取り消すと、公の利益に著しい障害を生ずる場合(公共の福祉に適合しないと認める場合)、処分を取り消すことなく、原告の請求を棄却することができます

判決の効力

  • 既判力

  • 形成力

  • 拘束力

執行停止

執行停止制度とは

営業停止の取消処分を受けた者が取消訴訟を提起 → 認容判決によって取り消されるまでは効力が残っているため、営業を再開することはできません

このような場合、取消訴訟の審理中に処分の効力を停止するよう申し立てることができます

  • 民事保全法に規定する仮処分をすることができない

  • 処分の取消しの訴えの提起 → 処分の効力、処分の執行または手続の続行を妨げない

× 執行の停止によって公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときに限り、執行の継続が認められる

  • 執行停止の申立ては、「処分の取消しの提起があった場合に」することができる

× 本案訴訟(処分取消訴訟)の提起と同時にしなければならない

  • 処分の執行停止の申立て → 当該処分に対して差止訴訟を提起した者がすることはできない

× 差止訴訟を提起した者もなすころができる

  • 裁判所は、執行停止に関する決定 → 口頭弁論を経ないですることができる

→ 当事者の意見をきかなければならない

× 口頭弁論を経て行わなければならない

執行停止の種類
  1. 処分の効力の停止

処分の執行または手続の続行の停止によって目的を達する

→ 「処分の効力の停止」はすることができない

2.処分の執行の停止

3.手続執行の停止

裁量的執行停止

裁判所が職権で行うことができず、申立てによることが必要

× 裁判所が職権で行うことができる

執行停止ができる場合

[原則]

  • 処分、処分の執行または手続の続行により生ずる重大な損害を避けるための緊急の必要があるとき

× 償うことができない損害を避けるため

[例外]

1.公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき

2.または本案について理由がないとみえるとき

× 理由があるとみえる場合でなければ、することができない

内閣総理大臣の異議

執行停止の申立てがあった場合、内閣総理大臣は裁判所に対し異議を述べることができます

内閣総理大臣の異議があった場合]

  • 執行停止決定前

裁判所は執行停止をすることができない

  • 執行停止決定後

裁判所は執行停止の決定を取り消さなければならない

行政不服審査法上の執行停止との比較

取消訴訟

当事者訴訟

当事者訴訟とは

取消訴訟をはじめとする抗告訴訟は、公権力の行使を争うものですが、そのような性質がなく、対等な当事者間の権利権益や法律関係を争う訴訟として、当事者訴訟があります

形式的当事者訴訟

当事者間の法律関係を確認または形成する処分または裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの

実質的当事者訴訟

公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟

客観訴訟

それを放置すると行政の適法性や社会秩序が維持されなくなるため、是正を求める訴訟

民衆訴訟

  • 国または公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟

  • 選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するもの

民衆訴訟の例

機関訴訟

  • 国または公共団体の機関相互間における権限の存否またはその行使に関する紛争についての訴訟
機関訴訟の例
  • 国の関与に関する不服の訴訟

  • 県知事と県議会の間で起こった紛争に対し、総務大臣が行った判断に対する不服の訴訟

【行政不服審査法】行政不服審査法総説・審査請求・再調査の請求・再審査請求・教示・適用除外

1.行政不服審査法総説

1.1.行政不服審査法の概要

2.審査請求

2.1.審査請求の概要

2.2.審査請求の審理手続

2.3.審理手続の終結行政不服審査会への諮問

2.4.審査請求の裁決

2.5.執行停止

3.再調査の請求・再審査請求

3.1.再調査の請求

3.2.再審査請求

4.教示

4.1.教示制度とは

4.2.誤った教示があった場合

5.適用除外

5.1.適用除外

1.行政不服審査法総説

1.1.行政不服審査法の概要

1.1.1.行政救済法とは

行政手続法によって、行政庁が処分をする際のルールが定められているとしても、やはり納得のいかない処分がされることもあります。そこで、行政庁の処分に対して不服を申し立てる制度が構築されています。

1.1.2.行政不服審査法の目的

1条(目的等)

この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めることにより、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。

→ すべての行政庁の処分は、特別の定めがない限り行政不服審査法に基づく審査請求の対象となる。

→ 不服申立てを行うことができるのは、日本国籍を有する者に限られないと解されている。

  • 行政庁の処分およびその不作為については、適用除外とされていない限り、審査請求をすることができるという一般概括主義を採用している。
1.1.3.不服申立ての種類
  1. 審査請求

4条(審査請求をすべき行政庁)

審査請求は、法律に特別の定めがある場合を除くほか、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める行政庁に対してするものとする。

1号 処分庁等

  • 処分庁に上級処分庁がない → 当該処分庁に審査請求

✗ 処分庁に上級処分庁が存在しない場合、特別の定めがない限り、行政不服審査会に審査請求することができる。

✗ 再審査請求をすることができる旨定めがない場合であっても、処分庁の同意を得れば再審査請求をすることが認められる。

2.再調査の請求

5条(再調査の請求)

1項 行政庁の処分につき処分庁以外の行政庁に対して審査請求をすることができる場合において、法律に再調査の請求をすることができる旨の定めがあるときは、当該処分に不服がある者は、処分庁に対して再調査の請求をすることができる

✗ 処分庁に再調査の請求をすることは認められない。

1項ただし書 ただし、当該処分について審査請求をしたときは、この限りでない

→ 審査請求を行ったときは、再調査の請求ができる旨の規定がある場合でも、審査請求人は再調査の請求を行うことができない。

2項 前項本文の規定により再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定を経た後でなければ、審査請求をすることができない。

✗ 再調査の対象とされている処分は、行政不服審査法に基づく審査請求の対象とはならない。

  • 再調査の請求 → 処分庁は、決定を行った後に行政不服審査会等へ報告を行う必要はない

  • 不作為は、再調査の請求の対象ではない

3.再審査請求

6条(再審査請求)

2項 再審査請求は、原裁決を対象として、個別の法律に定める行政庁に対してするものとする。

  • 不作為は、再調査の請求の対象ではない。

31条(口頭意見陳述)

審査請求人又は参加人の申立てがあった場合には、審理員は、当該申立てをした者に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければならない

(審査請求に関する規定の準用)

61条 再調査の請求にすいて準用する。

2.審査請求

2.1.審査請求の概要

2.1.1.審査請求の流れ

✗ 地方公共団体の機関がする処分についての審査請求には、当該地方公共団体の定める行政不服審査条例が適用され、行政不服審査法は適用されない。

  • 行政庁の処分および不作為については、適用除外とされていない限り、審査請求をすることができる一般概括主義

9条(審理員)

審理員による審理手続は、不作為についての審査請求においてもなされる

2.1.2.審査請求人

2条(処分についての審査請求)

行政庁の処分に不服がある者は、審査請求をすることができる。

「当該処分について不服申立をする法律上の利益がある者、すなわち、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう」。としている。

→ 審査請求の申立適格を有するのは、処分の相手方に限られない

✗ 行政権の活動に違法な点があると知った者は誰でも

3条(不作為についての審査請求)

法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為がある場合には、次条の定めるところにより、当該不作為についての審査請求をすることができる。

✗ 行政権の活動に違法な点があると知った者は誰でも、不服申立てを行うことができる。

✗ 不作為についての審査請求は、・・・、当該処分がなされることにつき法律上の利益を有する者もすることができる。

  • 不作為についての審査請求には、審査請求期間の制限はなく、不作為状態が続く限り、審査請求をすることができる

10条(法人でない社団又は財団の審査請求)

法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名で審査請求をすることができる。

11条(総代)

1項 多数人が共同して審査請求をしようとするときは、3人を超えない総代を互選することができる。

3項 総代は、各自、他の共同審査請求人のために、審査請求の取下げを除き、当該審査請求に関する一切の行為をすることができる。

✗ 総代は、・・・、審査請求の取下げを含め、当該審査請求に関する一切の行為をすることができる。

4項 総代が選任されたときは、共同審査請求人は、総代を通じてのみ、前項の行為をすることができる。

12条(代理人による審査請求)

2項 代理人は、各自、審査請求人のために、当該審査請求に関する一切の行為をすることができる。ただし、審査請求の取下げは、特別の委任を受けた場合に限り、することができる

✗ 審査請求人の取下げは、代理人によってすることはできない。

✗ 特別の委任がなくても、審査請求人に代わって審査請求の取下げをすることができる。

✗ 不服申立て代理人は、当該資格を有する者であることを書面で証明しなければならない。

2.1.3.審査請求期間

18条(審査請求期間)

1項 処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3月(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定があったことを知った日の翌日から起算して1月)を経過したときは、することができない。

2項 処分についての審査請求は、処分があった日の翌日から起算して1年を経過したときは、することができない。

✗ 処分があったことを知った日から

✗ 処分があった日から

→ 審査請求期間が経過 → 正当な理由がない限り、当該行政処分の審査請求をすることができない

62条(再審査請求期間)

1項 再審査請求は、原裁決があったことを知った日の翌日から起算して1月を経過したときは、することができない。

✗ 再調査請求の再審査請求期間は、原処分があった日を基準として

2項 再審査請求は、原裁決があった日の翌日から起算して1年を経過したときは、することができない。

  • 不作為についての審査請求には、審査請求機関の制限はなく、不作為状態が続く限り、審査請求をすることができる
2.1.4.標準審理期間

16条(標準審理期間)

審査庁となるべき行政庁は、審査請求がその事務所に到達してから当該審査請求に対する裁決をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、当該審査庁となるべき行政庁及び関係処分庁の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない

2.1.5.審査請求の方式

19条(審査請求書の提出)

審査請求は、他の法律に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、政令で定めるところにより、審査請求書を提出してしなければならない。

2.2.審査請求の審理手続

21条(処分庁等を経由する審査請求)

1項 審査請求をすべき行政庁が処分庁等と異なる場合における審査請求は、処分庁等を経由してすることができる。

2項 前項の場合には、処分庁等は、直ちに、審査請求書又は審査請求録取書を審査庁となるべき行政庁に送付しなければならない。

2.2.1.審査員の指名

9条(審理員)

1項 審査請求がされた行政庁は、審査庁に所属する職員のうちから審理手続を行う者を指名するとともに、その旨を審査請求人及び処分庁等(審査庁以外の処分庁等に限る。)に通知しなければならない。

17条(審理員となるべき者の名簿)

審査庁となるべき行政庁は、審理員となるべき者の名簿を作成するよう努めるとともに、これを作成したときは、当該審査庁となるべき行政庁及び関係処分庁の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。

  • 審理員による審理手続は、不作為についての審査請求においてもなされる

  • 不作為についての審査請求がなされた場合においても、審査庁は、その審理のために、その職員のうちから審理員を指名しなければならない。

2.2.2.審理の方式

13条(参加人)

利害関係人(審査請求人以外の者であって審査請求に係る処分又は不作為に係る処分の根拠となる法令に照らし当該処分につき利害関係を有するものと認められる者をいう。以下同じ。)は、審理員の許可を得て、当該審査請求に参加することができる。

書面審理主義・・・不服申立ての審理は、書面によることを原則としていること。

  • 「関係行政機関」が当該審査請求手続への参加を申し立てることは認められていない

✗ 影響を受ける可能性のある関係行政機関には、当該手続への参加を申し立てることができる。

30条(反論書等の提出)

審査請求人は、処分庁が提出した弁明書に記載された事項に対する反論を記載した書面(反論書)を提出することができる。

✗ 反論書に記載された事項について、弁明書を提出することができる。

31条(口頭意見陳述)

審査請求人又は参加人の申立てがあった場合には、審理員は、当該申立てをした者に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければならない

ただし、当該申立人の所在その他の事情により当該意見を述べる機会を与えることが困難であると認められる場合には、この限りでない。

✗ 口頭で意見を述べる機会を与えることができる。

✗ 参加人が意見陳述の機会を申し立てることはできない。

32条(証拠書類等の提出)

審査請求人又は参加人は、証拠書類又は証拠物を提出することができる。

2.2.3.証拠調べ

33条(物件の提出要求)

審理員は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、書類その他の物件の所持人に対し、相当の期間を定めて、その物件の提出を求めることができる。この場合において、審理員は、その提出された物件を留め置くことができる。

35条(検証)

審理員は、審査請求人若しくは参加人の申立てによりまたは職権で、必要な場所につき、検証をすることができる。

36条(審理関係人への質問)

審理員は、審査請求人若しくは参加人の申立てによりまたは職権で、審査請求に係る事件に関し、審理関係人に質問することができる。

✗ 審査請求人または参加人の申し立てがなければ、必要な場所についての検証をすることはできない。

38条(審査請求人等による提出書類等の閲覧等)

審査請求人又は参加人は、審理手続が終結するまでの間、審理員に対し、提出書類等の閲覧又は当該書面若しくは当該書類の写し若しくは当該電磁的記録に記録された事項を記載した書面の交付を求めることができる。

21条(処分庁等を経由する審査請求)

1項 審査請求をすべき行政庁が処分庁等と異なる場合における審査請求は、処分庁等を経由してすることができる。

2項 処分庁等は、直ちに、審査請求書又は審査請求録取書を審査庁となるべき行政庁に送付しなければならない。

17条(審理員となるべき者の名簿)

審査庁となるべき行政庁は、審理員となるべき者の名簿を作成するよう努めるとともに、これを作成したときは、当該審査庁となるべき行政庁及び関係処分庁の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。

  • 不作為についての審査請求がなされた場合においても、審査庁は、原則として、その審理のために、その職員のうちから審理員を指名しなければならない。

25条(執行停止)

1項 審査請求は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない

3項 処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより、処分庁の意見を聴取した上、執行停止をすることができる。ただし、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止以外の措置をとることはできない

→ 当該審査庁は、職権で執行停止をすることができず、また、「その他の措置」をとることもできない

6項 処分の効力の停止は、処分の効力の停止以外の措置によって目的を達することができるときは、することができない

→ すなわち処分の執行の停止によって目的を達することができる場合、処分の効力の停止をすることができない

7項 執行停止の申立てがあったとき、又は審理員から執行停止をすべき旨の意見書が提出されたときは、審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない

✗ 意見書の提出があった場合、審査庁は、速やかに執行停止をしなければならない。

61条(審査請求に関する規定の準用)

再調査の請求についても、執行停止に関する25条(3項を除く。)の規定が準用される

2.3.審理手続の終結行政不服審査会への諮問

42条(審理員意見書)

1項 審理員は、審理手続を終結したときは、遅滞なく、審査庁がすべき裁決に関する意見書(審理員意見書)を作成しなければならない。

15条(審理手続の承継)

1項 審査請求人が死亡したときは、相続人その他法令により審査請求の目的である処分に係る権利を承継した者は、審査請求人の地位を承継する。

6項 審査請求の目的である処分に係る権利を譲り受けた者は、審査庁の許可を得て、審査請求人の地位を承継することができる。

43条

審査庁は、審理員意見書の提出を受けたときは、・・・行政不服審査会に、・・・、それぞれ諮問しなければならない。

→ 行政不服審査会へ等への諮問は、審理員が審理手続を終結した後に、審査庁がするものである。

2.4.審査請求の裁決

24条(審理手続を経ないでする却下裁決)

2項 審査請求が不適法であって補正することができないことが明らかなときも、審査庁は、審理員による審理手続を経ないで、裁決で、当該審査請求を却下することができる。

2.4.1.裁決の種類
  1. 却下(45条1項)

45条(処分についての審査請求の却下又は棄却)

1項 処分についての審査請求が法定の期間経過後にされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。

  1. 棄却(45条2項)

45条(処分についての審査請求の却下又は棄却)

2項 処分についての審査請求が理由がない場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却する

✗ 審査請求に理由がないときは、審査庁は、裁決で審査請求を却下する。

3項 審査請求に係る処分が違法又は不当ではあるが、これを取り消し、又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、処分を取り消し、又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却することができる。この場合には、審査庁は、裁決の主文で、当該処分が違法又は不当であることを宣言しなければならない。

→ 事情裁決は、処分が違法である場合だけでなく、処分が不当な場合にも行われる

  1. 認容(46条1項)

46条(処分についての審査請求の認容)

1項 処分(事実上の行為を除く。)についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する

ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない場合には、当該処分を変更することはできない

✗ 審査庁は、・・・、処分庁に代わって一定の処分を行うことができる。

2項 法令に基づく申請を却下し、又は棄却する処分の全部又は一部を取り消す場合において、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、

1号 処分庁の上級行政庁である審査庁 → 当該処分庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずる

2号 処分庁である審査庁 → 当該処分をする。

48条(不利益変更の禁止)

第46条第1項本文又は前条の場合において、審査庁は、審査請求人の不利益に当該処分を変更し、又は当該事実上の行為を変更すべき旨を命じ、若しくはこれを変更することはできない

→ 処分についての審査請求に理由があり、当該処分を変更する場合であっても、審査庁は、審査請求人の不利益に当該処分を変更することはできない

49条(不作為についての審査請求の裁決)

1項 不作為についての審査請求が当該不作為に係る処分についての申請から相当の期間が経過しないでされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する

2項 不作為についての審査請求が理由がない場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却する。

3項 不作為についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該不作為が違法又は不当である旨を宣言する。

この場合において、次の各号に掲げる審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、

1号 不作為庁の上級行政庁である審査庁 → 当該不作為庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずること。

2法 不作為庁である審査庁 → 当該処分をすること。

を命ずる。

✗ 処分についての審査請求が法定の機関経過後にされたものであるとき、その他不適法であるとき、

50条(裁決の方式)

裁決は、次に掲げる事項を記載し、審査庁が記名押印した裁決書によりしなければならない。

52条(裁決の拘束力)

1項 裁決は、関係行政庁を拘束する。

2.4.2.事情裁決
2.4.3.変更裁決
2.4.4.義務付け裁決
2.4.5.裁決の効力
2.4.6.裁決の効力発生時期

2.5.執行停止

2.5.1.執行停止制度とは

営業許可の取消処分を受けた者が審査請求をしたとしても、認容採決によって取り消されるまでは効力が残っているため、営業を再開することはできません

このような場合、審査請求の審理中に処分の効力を停止するよう申し立てることができます。

25条(執行停止)

1項 審査請求は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。

✗ 処分の効力は、裁決が行われるまで停止する。

2項 処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより又は職権で、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置(以下「執行停止」という。)をとることができる。

→ 当該審査庁は、職権で執行停止をすることができず

2.5.2.執行停止の種類

2.5.3.裁量的執行停止

2.5.4.必要的執行停止

4項 審査請求人の申立てがあった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をしなければならない。ただし、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、この限りでない

✗ 審査庁は、緊急の必要があると認めるときは、本案について理由がないとみえるときでも、執行停止しなければならない。

6項 処分の効力の停止は、処分の効力の停止以外の措置によって目的を達することができるときは、することができない

事例: ある地方自治体が公園の利用許可をある団体に対して取り消す処分を行いました。その団体が不服申立てを行い、取り消しの効力の停止を求めています。

条文の適用: 「処分の効力の停止は、処分の効力の停止以外の措置によって目的を達することができるときは、することができない。」

具体的な解釈: この事例において、次のような状況を考えてみます。

目的:

公園の利用を適正に管理し、他の市民や利用者の安全と快適な環境を守ること。 処分の効力の停止:

団体の利用許可取り消し処分を一時的に停止すること。 処分の効力の停止以外の措置:

例えば、団体に対して特定の条件を付けて利用を許可することや、特定の時間帯に限って利用を許可すること、または他の公園の利用を認めること。

7項 執行停止の申立てがあったとき、又は審理員から第40条に規定する執行停止をすべき旨の意見書が提出されたときは、審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない。

✗ 審査庁は、速やかに、執行停止をしなければならない

40条(審理員による執行停止の意見書の提出)

審理員は、必要があると認める場合には、審査庁に対し、執行停止をすべき旨の意見書を提出することができる。

2.5.5.執行停止の取消し

26条(執行停止の取消し)

執行停止をした後において、執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかとなったとき、その他事情が変更したときは、審査庁は、その執行停止を取り消すことができる

3.再調査の請求・再審査請求

3.1.再調査の請求

61条 再調査の請求(審査請求に関する規定の準用)

52条1項の規定は、再調査の請求の裁決については準用されていない。

  • 再調査の請求に対する決定については、審査請求における事情判決に類似した制度は規定されていない

3.2.再審査請求

66条 再審査請求(審査請求に関する規定の準用)

52条1項の規定は、再審査請求の裁決について準用されている。

✗ 行政不服申立てについては、公法上の法律関係の確認を求めることは許されない

4.教示

4.1.教示制度とは

82条(不服申立てをすべき行政庁等の教示)

行政庁は、審査請求若しくは再調査の請求又は他の法令に基づく不服申立てをすることができる処分をする場合には、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすることができる旨並びに不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間を書面で教示しなければならない。

✗ 審査請求がdけいる旨、審査請求すべき行政庁、審査請求期間、審査請求書に記載すべき事項を教示しなければならない。

83条(教示をしなかった場合の不服申立て

行政庁が前条の規定による教示をしなかった場合には、当該処分について不服がある者は、当該処分庁に不服申立書を提出することができる。

4.2.誤った教示があった場合

5.適用除外

5.1.適用除外

審査請求人

✗ 不服申立てを行うことができるのは、日本国籍を有する者に限られる

  • 法人ではない社団で代表者の定めがあるもの

→ その名で審査請求をすることができる

→ 当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおのれのある者

✗ 審査請求の申立適格を有するのは、処分の相手方に限られ

→ 行政庁の処分に不服がある者

✗ 行政権の活動に違法な点があると知った者は誰でも

  • 不作為についての審査請求

→ 法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者

✗ 当該処分がなされることにつき法律上の利益を有する者

審査請求期間

主観的

処分があったことを知った日の翌日から起算して3カ月

客観的

処分があった日の翌日から起算して1年を経過

✗ 初日が算入される

✗ 行政不服審査法が定める審査請求期間にかかわらず、審査請求をすることができる

不作為

審査請求期間の制限はない

審査請求の審理手続

審理員の指名
  • 審査庁に所属する職員 → 審理員となるべき者の名簿を作成するよう努める

  • 審理員による審理手続 → 不作為についての審査請求においてもなされる

※不作為の場合でも、職員のうちから審理員を指名しなければならない

  • 当該申立てをした者に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければならない

  • 参加人の申立てがあった場合

→ 意見を述べる機会を与えなければならない

審理の方式

書面審理主義

  • 不服申立ての審理は、書面によることを原則としている
証拠調べ
審査請求人

総代

  • 審査請求の取下げ以外の一切の行為ができる

  • 総代が選任 → 共同審査請求人は、総代を通じてのみ、審査請求に関する一切の行為をすることができる

代理人

  • 特別の委任があれば、取下げも含め、一切の行為ができる

✗ 審査請求の取下げは、代理人によってすることができない

✗ 特別な委任がなくても

  • 代理人となるために、法定の資格が必要とされているわけではない

✗ 資格を有する者であることを書面で証明しなければならない

審査請求期間
  • 標準審理期間を定めるよう努める = 努力義務

✗ 審理期間を定め、公にしておかなければならない

  • 審査請求書を提出しなければならない

  • 審査請求をすべき行政庁 ≠ 処分庁

→ 処分庁を経由 → 処分庁は直ちに審査庁へと審査請求書を送付

標準審理期間
審査請求の方式

審査請求の審理手続

審理員の指名
審理の方式
  • 書面審理主義

  • 審理手続は原則として書面

→ 審査請求人または参加人の申立 → 口頭で意見を述べる機会が与えられる

✗ 参加人が申し立てることはできない

審査請求人

  • 処分庁等が提出した弁明書に記載された事項に関する反論書を提出することができる

✗ 弁明書を提出することができる

  • 提出書類等の閲覧を求めることができる

→ 審査庁のなすべき裁決に関する意見の記載はなされない

審理員

職権 → 物件の提出を求めることができる

証拠調べ

審査請求の終結行政不服審査会への諮問

  • 審理員の意見書の提出を受けたら

→ 審理員が審理手続を終結した後に、行政不服審査会へ審査庁が諮問

審査請求の裁決

  • 審査請求が不適法であって補正することができないことが明らか

→ 棄却することができる

  • 処分について審査請求が理由がない

→ 棄却する

  • 書面でしなければならず、緊急を要する場合でも、口頭ですることは認められていない
事情裁決

例)ダムの建設許可が違法だとしても、完成したダムを壊して元通りにすることは難しく、周辺都市に水を供給できないという問題

  • 審査請求に係る処分が違法または不当

→ 審査庁は、当該審査請求を棄却することができる

✗ 却下

✗ 違法である場合に限られ、処分が不当である場合には行われない

  • 審査庁は、処分を変更することはできない

✗ 審査庁は、処分庁に代わって一定の処分を行うことができる 

変更裁決

審査庁が

1.処分庁自身の場合

2.上級行政庁の場合

→ 審査請求を認容したうえで処分を別の内容に変更する裁決

  • 審査請求人に不利益な変更をすることはできない

執行停止

執行停止制度とは

許可の取消を受けて審査請求

→ 認容裁決によって取り消されるまでは効力が残っているため、営業を再開することはできません

→ 審査請求の審理中に処分の効力を停止するよう申し立てることができる

  • 当該処分についての審査請求をした者でなければすることができない
執行停止の種類
  1. 処分の効力の停止

2.処分の執行の停止

3.手続の続行の停止

裁量的執行停止

1.上級行政庁または処分庁

2.それ以外の行政庁

  • 職権による執行停止 ✗
必要的執行停止

執行停止が必要な場合

【原則】

審査請求人の申し立てがあった場合において、処分、処分の執行または手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をしなければならない

【例外】

2.翻案について理由がないとみえるとき

✗ 本案について理由がないともえるときでも、執行停止をしなければならない

  • 審理員から「執行停止をすべき旨の意見書」が提出

→ 審査庁は、速やかに執行停止するかどうか決定

✗ 速やかに執行停止しなければならない

執行停止の取消し
  • 公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかとなったとき

→ 審査庁は、執行停止を取り消すことができる

  • 処分の効力停止以外の措置によって目的を達することができるとき

→ 処分の効力の停止は、することができない

2.再調査の請求・3.再審査請求

再調査の請求

  • 不作為は再調査の請求の対象ではない

  • 処分庁は決定を行った後に、行政不服審査会に報告を行う必要はない

  • 処分庁は、口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければならない

再審査請求

✗ 再審査請求をすることができる旨の定めがない場合であっても、処分庁の同意を得れば再審査請求をすることが認められる

  • 請求先 → 個別の法律に定める行政庁に対してする

教示

教示制度とは

行政不服審査法には不服申立てができるということを知らせるための教示制度

処分の相手方への教示

✗ 審査請求書に記載すべき事項を教示しなければならない

利害関係人への教示

  • 審査請求をすることができる期間につき教示を求められたとき

→ 当該事項を教示しなければならない

  • 処分庁が教示をしなかった場合

→ 当該処分庁に不服申立てをすることができる

誤った教示があった場合

適用除外

適用除外

【行政手続法】行政手続法総説・処分・行政指導・届出・命令等制定手続・適用除外

1.行政手続法総説

1.1.行政手続法の役割

2.処分

2.1.申請に対する処分(5条〜11条)

2.2.不利益処分(12条〜31条)

3.行政指導

3.1.行政指導(32条〜36条の2)

4.届出

4.1.届出(37条)

5.命令等制定手続

5.1.命令等制定手続

6.適用除外

6.1.処分・行政指導についての適用除外

6.2.地方公共団体における適用除外

1.行政手続法総説

1.1.行政手続法の役割

1.1.1.行政手続法とは

1条

2項 行政手続法が規定する事項について、他の法律に特別の定めがある場合は、その定めるところによる。

2条(定義)

5号 「行政機関」には地方公共団体の機関も含まれる

3号 申請 法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分(以下「許認可等」という。)を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう。

✗ 認可を求めるもののみに限られる。

✗ 法令に基づかない申請であっても

  • 行政庁は、許認可に際し、条件などの附款を付すことができる。 

4号 不利益処分 行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいう。ただし、次のいずれかに該当するものを除く。

ロ 申請により求められた許認可等を拒否する処分その他申請に基づき当該申請をした者を名あて人としてされる処分

= 申請により求められた許認可等を拒否する処分 → 「不利益処分」から除かれている → 意見陳述の機会を与える必要はない

  • 「一般に、処分庁が認定申請を相当期間内に処分すべきは当然であり、・・・、処分庁にはこうした結果を回避すべき条理上の作為義務がある。」としている。

8号ロ 審査基準(申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう。以下同じ。)

  • 「申請」と「届出」の区別に、行政庁の裁量の有無は無関係である。

1.1.2.行政手続法の内容

  • 処分

1.申請に対する処分

2.不利益処分

  • 行政指導

  • 処分等の求め

  • 届出

  • 命令等を定める手続

1.1.3.行政手続法の目的

1条(目的等) この法律は、処分行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保透明性の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする。

✖︎ 説明責任を明示している。

✖︎ 事後的救済手段についても定めを置いている。

✖︎ 契約について入札などの手続規定を置いていない

2.処分

2.1.申請に対する処分(5条〜11条)

2条

3項 法令に基づき、行政庁の許認可等を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう。

2.1.2.申請に対する処分の審査基準の設定(5条)

5条(審査基準)

1項 行政庁は、審査基準を定めるものとする。

→ 都道府県知事が設定する

3項 行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない

✖︎ 申請者から求めがあった場合に審査基準を書面で交付しなければならない。

  • 審査基準は、「行政規則」の一種である

→ 都道府県知事が、審査基準に違反してその申請を拒否する処分をしても、当然に違法となるわけではない

  • 「行政上特別の支障があるとき」は、審査基準を公にしておく必要はない。
2.1.3.標準処理期間(6条)

6条(標準処理期間)

行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、これらの当該申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。

→ 定めることは行政庁の努力義務にとどまる。

✖︎ 標準処理時間を定めることは、法的な義務であるから、

✖︎ 申請が行政庁によって受理されてから

✖︎ 当該標準処理期間を経過してもなお申請に対し何らの処分がなされないときでも、当該申請に対して拒否処分がなされたものとみなされるわけではない

  • 申請の事前指導の期間は参入されない。

  • 「標準処理期間」を経過しても、直ちに行政事件訴訟法3条5項の「相当の期間」を経過したことにはならない

2.1.4.審査の応答(7条)

7条(申請に対する審査、応答)

行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書に必要な書類が添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることその他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請者に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない

  • 標準処理期間をは、適法な申請を処理する期間であるから、不適法な申請に対して補正を求める場合の指導期間は、通常要すべき標準的な期間には含まれない。

✖︎ 補正指導の期間は含まれず、標準処理時間の進行は停止する。

✖︎ 申請がそれをすることができる期間内にされたものではない = 申請の形式上の要件に適合しない申請 → 7条

✖︎ 申請の形式上の要件に適合しない申請については、補正を求めなければならず、ただちにこれを拒否してはならない。

→ 直ちに申請を拒否する処分をすることも許される

2.1.5.理由の提示(8条)

8条(理由の提示)

行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる

→ 「許認可等」をする場合には、理由を提示する必要はない

✖︎ 行政手続法には、申請に関する拒否処分に関する理由の提示の定めはない。

  • 理由の提示がをしなければならないのは、申請を全部拒否するときに限られているわけではない

✖︎ 申請拒否処分については、・・・、処分後相当の期間内に示せば足りる。

2項 申請により求められた許認可等を拒否する処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなければならない。

2.1.6.情報の提供(9条)

9条(情報の提供)

1項 行政庁は、申請者の求めに応じ、当該申請に係る審査の進行状況及び当該申請に対する処分の時期の見通しを示すよう努めなければならない。

2項 行政庁は、申請をしようとする者又は申請者の求めに応じ、申請書の記載及び添付書類に関する事項その他の申請に必要な情報の提供に努めなければならない。

2.1.7.公聴会の開催(10条)

10条(公聴会の開催等)

申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該命令において許認可等の要件とされているものを行う場合には、必要に応じ、公聴会の開催その他の適当な方法により当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならない。

2.1.8.複数行政庁の関与(11条)

2.2.不利益処分(12条〜31条)

2.2.1.不利益処分とは

2条(定義)

2号 処分 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいう。

4号 不利益処分 行政庁が、法令に基づき、特定の物を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分」をいう。

→ 申請を拒否する処分は「不利益処分」から除かれている

8号 命令等 内閣又は行政機関が定める次に掲げるものをいう。

ハ 処分基準(不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう。以下同じ。)

5条(審査基準)

審査基準を定めるものとする。

→ 法的義務

  • 不利益処分については、標準処理時間にかかわる規定は設けられていない。
2.2.2.処分基準の設定(12条)

8条(理由の提示)

申請を拒否する処分 → 理由を示す義務 ただし、・・・・、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。

12条(処分の基準)

1項 行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。

✖︎ 相手方の求めにより開示しなければならない。

→ 努力義務

2項 行政庁は、処分基準を定めるに当たっては、不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。

2.2.3.理由の提示(14条)

14条(不利益処分の理由の提示)

行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない

✖︎ 不服申し立ての審理の時点で処分庁が当該処分の理由を変更できる。

→ 義務。ただし、差し迫っていたらこの限りではない。

事例)いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることができなければ理由の提示を欠いた違法な処分になるとして、一級建築士免許取消処分を取り消した判例がある。

2条4項

ロ 申請により求められた許認可等を拒否する処分その他申請に基づき当該申請をした者を名あて人としてされる処分

→ 「申請により求められた許認可等を拒否する処分」については、行政手続法上の「不利益処分」から除外されている

→ 意見陳述のための手続をとる必要がない。

2.2.4.意見陳述手続(13条)

13条(不利益処分をしようとする場合の手続)

行政庁は、不利益処分をしようとする場合には、次の各号の区分に従い、この章の定めるところにより、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、当該各号に定める意見陳述のための手続を執らなければならない。

  • 「申請を拒否する処分」=「申請に対する処分」→「不利益処分」ではない→意見陳述のための手続(聴聞、弁明の機会の付与)の手続が執られることはない。

13条(不利益処分をしようとする場合の手続)

行政庁は、不利益処分をしようとする場合には、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、当該各号に定める意見陳述のための手続を執らなければならない。

✖︎ 処分の名あて人となるべき者でなくても、

1項1号イ 「許認可を取り消す不利益処分」→「取消し」と「撤回」の双方が含まれる。

4項 「納付すべき金銭の額を確定し、一定の額の金銭の納付を命じ、又は金銭の給付決定の取消しその他の金銭の給付を制限する不利益処分をしようとするとき。」は、聴聞の手続も弁明の機会の付与の手続もとる必要がない。

2.2.5.聴聞(15条〜28条)
(1)聴聞通知

15条(聴聞の通知の方式)

1項 行政庁は、聴聞を行うに当たっては、聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない

✖︎ 聴聞を公正に実施することができないおそれがあるときは、当該処分の原因となる事実を通知しないことができる。

✖︎ 書面によらず口頭でこれを行うことができる。

3項 行政庁は、不利益処分の名あて人となるべき者の所在が判明しない場合においては、第1項の規定による通知を、その者の氏名、同項第3号及び第4号に掲げる事項並びに当該行政庁が同項各号に掲げる事項を記載した書面をいつでもその者に交付する旨を当該行政庁の事務所の掲示場に掲示することによって行うことができる。この場合においては、掲示を始めた日から2週間を経過したときに、当該通知がその者に到達したものとみなす。

✖︎ 聴聞の通知や掲示を省略することができる。

18条(文書等の閲覧)

当事者及び当該不利益処分がされた場合に自己の利益を害されることとなる参加人(当事者等)は、聴聞の通知があった時から聴聞終結する時までの間、行政庁に対し、当該事案についてした調査の結果に係る調書その他の当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる。

この場合において、行政庁は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。

19条(聴聞の主宰)

1項 聴聞は、行政庁が指名する職員その他政令で定める者が主宰する。

2項 次の各号のいずれかに該当する者は、聴聞を主宰することができない。

1号 当該聴聞当事者又は参加人

(2)聴聞手続

20条 主宰者は、最初の聴聞の期日の冒頭において、行政庁の職員に、予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項並びにその原因となる事実を聴聞の期日に出頭した者に対し説明させなければならない。

6項 聴聞の期日における審理は、行政庁が公開することを相当と認めるときを除き、公開しない。

23条(当事者の不出頭等の場合における聴聞終結

主宰者は、当事者の全部若しくは一部が正当な理由なく聴聞の期日に出頭せず、陳述書若しくは証拠書類等を提出しない場合、又は参加人の全部若しくは一部が聴聞の期日に出頭しない場合には、これらの者に対し改めて意見を述べ、及び証拠書類等を提出する機会を与えることなく、聴聞終結することができる。

24条(聴聞調書及び報告書)

1項 主宰者は、聴聞の審理の経過を記載した調書を作成し、当該調書において、不利益処分の原因となる事実に対する当事者及び参加人の陳述の要旨を明らかにしておかなければならない。

2項 前項の調書は、聴聞の期日における審理が行われた場合には各期日ごとに、当該審理が行われなかった場合には聴聞終結後速やかに作成しなければならない。

3項 主宰者は、聴聞終結後速やかに、不利益処分の原因となる事実に対する当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した報告書を作成し、第1項の調書とともに行政庁に提出しなければならない。

✗ 主宰者の意見を記載することは許されていない。

4項 当事者又は参加人は、第1項の調書及び前項の報告書の閲覧を求めることができる。

25条(聴聞の再開)

行政庁は、聴聞終結後に生じた事情にかんがみ必要があると認めるときは、主宰者に対し、前条第3項の規定により提出された報告書を返戻して聴聞の再開を命ずることができる

26条(聴聞を経てされる不利益処分の決定)

行政庁は、不利益処分の決定をするときは、第24条第1項の調書の内容及び同条第3項の報告書に記載された主宰者の意見を十分に参酌してこれをしなければならない。

→ 報告書に記載されている主宰者の意見は行政庁を拘束せず、一定の合理的な理由があれば意見と異なる判断をすることも許されると解される。

27条(審査請求の制限)

この節の規定に基づく処分又はその不作為については、審査請求をすることができない

(3)弁明の機会の付与(29条〜31条)

29条(弁明の機会の付与の方式)

弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明を記載した書面(以下「弁明書」という。)を提出してするものとする。

✖︎ 書面ですることを認めたときを除き、口頭で行うものとされている。

✖︎ 当事者から求めがあったときは、口頭により弁明する機会を与えなければならない。

弁明の機会の付与が聴聞と異なる点

  • 当該処分について利害関係を有する者が参加することは認められていない

  • 当事者は処分の原因に関する文書を閲覧する権利を有しない。

16条(代理人

前条第1項の通知を受けた者(当事者)は、代理人を選任することができる。

聴聞、弁明の機会のいずれの場合であっても

21条(陳述書等の提出)

当事者又は参加人は、聴聞の期日への出頭に代えて、主宰者に対し、聴聞の期日までに陳述書及び証拠書類等を提出することができる。

3.行政指導

3.1.行政指導(32条〜36条の2)

行政から国民に対して、任意の協力を求めてはたらきかけるもの。

2条(定義)

6号 行政指導 行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。

→ 不特定の者に一定の作為または不作為を求める指導等は、「行政指導」には含まれない

✖︎ 特定か不特定かは問わない。

32条(行政指導の一般原則)

1項 行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。

2項 行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。

→ この定めが適用される場合は、当該行政指導の根拠規定が法律に置かれているものに限定されていない

33条(申請に関連する行政指導)

申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない

→ よって、行政庁がそのような行政指導を行うことも、申請者の権利の行使を妨げるものでない限り、直ちに違法とされるものではない。

✖︎ 申請の取り下げがあったものとみなす。

35条(行政指導の方式)

1項 行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならない。

✖︎ 努力義務にとどまり、義務とはされていない。

3項 行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から前2項に規定する事項を記載した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない。

→ 行政指導の相手方以外の利害関係人に対しては、請求があっても書面で行政指導をする必要はない。

4項 既に文書又は電磁的記録によりその相手方に通知されている事項と同一の内容を求めるものについては、35条3項の規定は適用されない。

36条(複数の者を対象とする行政指導)

同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときは、行政機関は、あらかじめ、事案に応じ、行政指導指針を定め、かつ、行政上特別の支障がない限り、これを公表しなければならない。

✖︎ 指導の指針を定めるにあたり「公聴会」をかいさいしなければならない。

36条の2(行政指導の中止等の求め)

いくら行政指導に強制力がないといっても、不適切な行政指導を受け続けるのは避けたいところです。そこで、違法だと思われる行政指導については、中止の申出をすることができます

法令に違反する行為の是正を求める行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の相手方は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができる。

36条の3

1項 何人も、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分又は行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)がされていないと思料するときは、当該処分をする権限を有する行政庁又は当該行政指導をする権限を有する行政機関に対し、その旨を申し出て、当該処分又は行政指導をすることを求めることができる。

思料・・・考えること。

3項 当該行政庁又は行政機関は、第1項の規定による申出があったときは、必要な調査を行い、その結果に基づき必要があると認めるときは、当該処分又は行政指導をしなければならない。

✖︎ 当該申出に対して諾否の応答をすべきものとされているわけではない。

行政指導は「処分」に該当しない。→弁明の機会の付与を行う必要はない

4.届出

4.1.届出(37条)

2条7号 届出 行政庁に対し一定の事項の通知をする行為(申請に該当するものを除く。)であって、法令により直接に当該通知が義務付けられているもの(自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるためには当該通知をすべきこととされているものを含む。)をいう。

✖︎ 行政庁に応答を求める行為=「申請」は行政手続法上の「届出」に含まれる。

✖︎ 行政庁にそれに対する諾否の応答が義務づけられているものをいう。

✖︎ 「自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるためには当該通知をすべきこととされているものを除く」とされている。

  • 個別法上は「届出」の用語が用いられていても、行政手続法上の「届出」に当たるとは限らない。

  • 「市町村長は、転入届が合った場合に・・・、法定の届出事務にかかる事由以外の事由を理由として転入届を受理しないことは許されず、・・・」

→ 転入届の受理を拒否することができない

  • 市町村長は、転入届が出された場合には、その内容が事実であるかどうかを審査して住民票を作成する。

  • いったん作成された住民票が職権で消除されたことに対する執行停止の申立てを認めた最高裁決定がある。

37条(届出)

届出が届出書の記載事項に不備がないこと届出書に必要な書類が添付されていることその他の法令に定められた届出の形式上の要件に適合している場合は、当該届出が法令により当該届出の提出先とされている機関の事務所に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとする。

届出書に必要な書類が添付されていない場合には、義務が履行されたものとはされない

「住民票に特定の住民の氏名等を記載する行為は、・・・、これに法的効果が与えられているということができる。」として、処分性を認めている。

転入届を受理せず住民票を作成しないことも行政処分に該当し、届出をした者は、これを処分取消訴訟により争うことができる

5.命令等制定手続

5.1.命令等制定手続

行政が作る命令や規則にはm」法律のように私たちの意見が反映されているとはいえません。そこで、行政がルールをつくる際には広く国民の意見を募集するものとしました。

  • 処分基準を定めるにあたっても、意見公募の手続を実施する必要がある

39条(意見公募手続

命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案(命令等で定めようとする内容を示すものをいう。以下同じ。)及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見(情報を含む。以下同じ。)の提出先及び意見の提出のための期間(以下「意見提出期間」という。)を定めて広く一般の意見を求めなければならない。

✖︎ これが行政指導の相手方の利害に重大な影響を及ぼす場合に限り、意見公募の手続をとらなければならない。

38条(命令等を定める場合の一般原則)

命令等を定める機関は、命令等を定めるに当たっては、当該命令等がこれを定める根拠となる法令の趣旨に適合するものとなるようにしなければならない。

39条(意見公募手続

命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案の提出先及び意見の提出のための期間(以下「意見提出期間」という。)を定めて広く一般の意見を求めなければならない。

✖︎ 特別の利害関係を有する者に対しては、意見の提出を個別に求めなければならない。

4項7号 命令等を定める根拠となる法令の規定の削除に伴い当然必要とされる当該命令等の廃止をしようとするとき。

→ 意見公募の手続を実施する必要はない

40条(意見公募手続の特例)

命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合において、30日以上の意見提出期間を定めることができないやむを得ない理由があるときは、30日を下回る意見提出期間を定めることができる。

この場合においては、当該命令等の案の公示の際その理由を明らかにしなければならない。

41条(意見公募手続の周知等)

命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めるに当たっては、必要に応じ、当該意見公募手続の実施について周知するよう努めるとともに、当該意見公募手続の実施に関連する情報の提供に努めるものとする。

43条(結果の公示等)

1項 命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には、当該命令等の公布と同時期に、次に掲げる事項を公示しなければならない。

3号 提出意見(提出意見がなかった場合にあっては、その旨

✖︎ 提出された意見が法定された数に満たない場合には、・・・、再度の意見公募手続を実施しなければならない。

2項 命令等制定機関は、必要に応じ、同項第3号の提出意見に代えて、当該提出意見を整理又は要約したものを公示することができる

4項 命令等制定機関は、意見公募手続を実施したにもかかわらず命令等を定めないこととした場合には、その旨(別の命令等の案について改めて意見公募手続を実施しようとする場合にあっては、その旨を含む。)並びに第1項第1号及び第2号に掲げる事項を速やかに公示しなければならない

6.適用除外

6.1.処分・行政指導についての適用除外

1条2項 処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関しこの法律に規定する事項について、他の法律に特別の定めがある場合は、その定めるところによる。

→ 個別の法律に行政手続法と異なる定めがあれば、当該特別法の規定が優先して適用される

3条3項 地方公共団体が行う処分のうち、法律に基づく処分には、行政手続法の処分に関する規定が適用される

→ 「自治事務」「法定受託事務

【?】地方公共団体の機関がする処分については、それが条例または規則に基づくものであれば、行政手続法の処分手続に関する規定は適用されない。

地方公共団体の機関がする行政指導(国の法令に基づくものであっても) → 行政手続法に行政指導に関する規定は適用されない

地方公共団体の機関が命令等を定める行為 → 行政手続法の意見公募手続に関する規定は適用されない

→ 46条 同法の規定の趣旨にのっとり、公正の確保と透明性の向上を確保するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

4条(国の機関等に対する処分等の適用除外)

国の機関又は地方公共団体若しくはその機関に対する処分(これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の名あて人となるものに限る。)及び行政指導並びにこれらの機関又は団体がする届出(これらの機関又は団体がその固有の資格においてすべきこととされているものに限る。)については、この法律の規定は、適用しない。

6.2.地方公共団体における適用除外

【行政法総論】行政立法・行政行為・行政上の強制手段・行政調査・行政契約・行政指導・行政計画

4.行政立法

4.1.行政立法

5.行政行為

5.1.行政行為の意義・分類

5.2.行政行為の効力

5.3.行政行為の瑕疵

5.4.行政裁量

5.5.行政行為の附款(ふかん)

6.行政上の強制手段

6.1.行政上の強制手段とは

6.2.行政上の強制執行

6.3.即時強制

6.4.行政罰

6.5.新たな義務履行確保の手段

7.行政調査

7.1.行政調査

8.行政契約

8.1.行政契約

9.行政指導

9.1.行政指導

10.行政計画

10.1.行政計画

4.行政立法

4.1.行政立法

4.1.1.行政立法とは

  • 行政が活動するためには、原則として国民の代表である国会議員たちがつくった法律が必要。しかし、あまり詳細なルールについてまで国会で決めるのは難しいため、行政でつくることが認められている。

  • 行政立法は法律ではないため、制定改廃について国会の議決は不要。

国家行政組織法12条

1項 各省大臣は、主任の行政事務について、法律若しくは政令を施行するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、それぞれその機関の命令として省令を発することができる。

政令 → 内閣が制定

×内閣総理大臣

3項 省令には、法律の委任がなければ、罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができない。

内閣府設置法内閣府の長)

6条 内閣府の長は、内閣総理大臣とする。

国家行政組織法13条

1項 各委員会及び各庁の長官は、別に法律の定めるところにより、政令及び省令以外の規則その他の特別の命令を自ら発することができる。

2項 省令には、法律の委任がなければ、罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができない。

国家行政組織法14条

1項 各省大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、公示を必要とする場合においては、告示を発することができる。

2項 各省大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、命令又は示達をするため、所管の諸機関及び職員に対し、訓令又は通達を発することができる。

× 告示

内閣府設置法6条

内閣府の長は、内閣総理大臣である。

内閣府設置法7条(内閣総理大臣の権限)

3項 内閣総理大臣は、内閣府に係る主任の行政事務について、法律若しくは政令を施行するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、内閣府の命令として内閣府令を発することができる。

× 内閣総理大臣がこれを制定する

→ 合議体として内閣が制定する「政令」とは異なる

憲法73条

内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。

6項 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。

→ 法律の委任があれば許される

  • 行政立法が法律による授権の範囲を逸脱して制定された場合には、裁判所はその行政立法を違憲とし、その適用を否定することができる。

4.1.1.行政立法の分類

1.法規命令

1−1.委任命令

1−2.執行命令

2.行政規則

4.1.3.法規命令

  • 文部科学大臣の告示する学習指導要領(学校教育施行規則)について法規としての性格を有することを認めた

国家行政組織法14条

1項 各省大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、公示を必要とする場合においては、告示を発することができる。

2項 各省大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、命令又は示達をするため、所管の諸機関及び職員に対し、訓令又は通達を発することができる。

各省大臣 → 省令

内閣   → 政令

国家行政組織法12条

1項 各省大臣は、主任の行政事務について、法律若しくは政令を施行するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、それぞれその機関の命令として省令を発することができる。

✗ 規則

✗ 規則その他特別の命令

内閣府設置法7条(内閣総理大臣の権限)

3項 内閣総理大臣は、内閣府に係る主任の行政事務について、法律若しくは政令を施行するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、内閣府の命令として内閣府令を発することができる。

内閣が制定する「政令」とは異なる

国家行政組織法13条

1項 各委員会及び各庁の長官は、別に法律の定めるところにより、政令及び省令以外の規則その他の特別の命令を自ら発することができる。

  • 罰則

憲法73条

6号 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。

国家行政組織法12条

3項  省令には、法律の委任がなければ、罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができない。

✗ 各庁の長や各委員会が発する規則などには、罰則を設けることは認められていない。

  • 行政立法が法律による授権の範囲を逸脱して制定された場合には、裁判所はその行政行為を違法とし、その適用を否定することができる。

  • 法規命令は、国民に対するルールなので、つくるには法律が必要

  • 法規命令は、法律が「この部分に関しては行政に任せる」としている部分に関してのみつくることができる

委任命令の限界に関する判例

  • 銃砲刀剣類登録「規則においていかなる鑑定基準を定めるかについては、・・・、日本刀のみを登録の対象とした同規則も、銃砲刀剣類所持等取締・・・に沿う合理性を有する鑑定基準を定めたものというべきであるから、これをもって法の委任の趣旨を逸脱するものということはできない。」としている。

  • 「婚姻外懐胎児童を支給対象児童としながら、本件括弧書により父から認知された婚姻外懐胎児童を除外することは、法の趣旨、目的に照らし両者の間の均衡を欠き、法の委任の趣旨に反するものといわざるを得ない。」としている。

  • 公務員について解職請求代表者となることを禁止していることは、地方自治法「85条1項に基づく政令の定めとして許される範囲を超えたものであって、その資格制限が請求手続までに及ぼされる限りで無効と解するのが相当である。」としている。

  • 「国公共済法・・・は、退職一時金に付加して返還すべき利子の利率の定めを白地で包括的に政令に委任するものということはできず、憲法41条及び73条6号に違反するものではない。」としている。

  • 「通達は、行政機関の内部関係における規範を定めるための形式であり、裁判所は通達で示された法令解釈に拘束されない。」としている。

  • 「課税上の取扱いを変更したにもかからわず、その変更をした時点では通達によりこれを明示することな(い)」という事情の下において、国税通則法にいう「正当な理由」があるものというべきである。」としている。

特段の理由もなく通達に反して処分をすることは、平等原則に反するとして違法とされる余地がある。

  • 「規則120条が原則として被勾留者の幼年者との接見を許さないこととする一方で、規則124条がその例外として限られた場合に監獄の長の裁量によりこれを許すこととしていることが明らかである。しかし、これらの規定は、たとえ事物を弁別する能力の未発達な幼年者の信条を害することがないようにという配慮の下に設けられたものであるとしても、それ自体、法律によらないで、被勾留者の接見の自由を著しく制限するものであって、法50条の委任の範囲を超えるものといわなければならない。」としている。

→ 法律は「原則接見できる」としているのに、委任命令で「原則接見できない」としてしまったことが問題。

  • 「その委任の範囲を逸脱したものではないというためには、立法過程における議論をもしんしゃくした上で、新薬事法36条の5及び36条の6をはじめとする薬事法中の諸規定を見て、そこから、郵便等販売を規制する内容の省令の制定を委任する授権の趣旨が、上記規制の範囲や程度等に応じて明確に読み取れることを要するものというべきである。」としている。

  • 教科書検定につき、「文部大臣が、学校教育法88条の規定に基づいて、右審査の内容及び基準並びに検定の施行規則細則である検定の手続を定めたことが、法律の委任を欠くとまではいえない。」としている。

4.1.4.行政規則(通達)

  • 「行政内部のルール」であり、国民を拘束するものではない

  • 行政は法律の根拠がなくても行政規則をつくることができる

通達
  • 法令の解釈を統一するために、上級行政機関が下級行政機関に発する基準。

→ 上級行政機関の下級行政機関に対する指揮監督の一環として発せられる

→ 下級行政庁が通達に従わなかった場合、当該下級行政機関の職員は、職務命令違反として懲戒処分を受けることもありうる

  • 通達の発令・改廃については、法律の根拠は要しない。

  • 国民は通達に拘束されないため、通達を国民に公にする必要はない

✗ 国民に対して公にしなければならない。

  • 裁判所は通達で示された法令解釈に拘束されない

  • 課税がたまたま所論通達を機縁として行われたものであつても、通達の内容が法の正しい解釈に合致するものである以上、本件課税処分は法の根拠に基く処分と解するに妨げがない。」としている。

✗ 通達の発出により新たに課税の対象とすることは、租税法律主義及び信義誠実の原則に照らし、違法である。

  • 通達は、国民の法的地位に影響を与えるものではないが、特段の理由もなく通達に反する処分については、平等原則に違反するものとして、相手方たる国民との関係においても違法とされる余地がある。

  • 通達の発令・改廃行為は、国家賠償法1条1項の「公権力の行使」に当たる

5.行政行為

5.1.行政行為の意義・分類

5.1.2.行政行為の分類

法律的行政行為

  • 裁量の幅が狭い

┏命令的行為

 ┗ 許可 ─ 自動車免許

┗形成的行為

 ┣ 特許

 ┗ 認可

許可
  • 自動車の運転免許

→ 行政学上の「許可」に当たる。「許可」は、裁量の狭い行政行為である。すでに法令によって課されている一般的禁止を特定する場合に解除するもの。

✗ 行政行為の分類理論でいうところの「特許」

  • 対物許可(自動車の車体検査など)の場合には、許可された地位は、譲渡または相続の対象となりうる。

  • 無許可営業による売買のように、許可を要する行為を許可を受けないでした場合でも、当該行為は私法上当然に無効とはならない

特許
  • 裁量の幅が広い。

  • 公用水面埋立法に基く公有水面の埋立免許

  • 河川法に基づく土地の占用許可

認可

私人間の契約等の法律行為に介入し、その法律上の効果を完成させる。

  • 事実行為は、認可の対象とはならない

事実行為・・・行政がする、国民の権利や義務が発生しない行為。例)行政指導、即時強制。

  • 認可の対象となる私人の法律行為に取消原因となる瑕疵があるときは、私人は、認可後も当該法律行為の取消しを主張することができる。

  • 農地法上の「許可」は、農地の売買という法律行為の効果を完成させる行為であり、一般に講学上の「認可」に当たる。

  • 「建築主事が当該確認申請について行う確認処分自体は基本的に裁量の余地のない確認的行為の性格を有するものと解するのが相当であるから、・・・」

✗ 建築基準法に基いて建築主事が行う建築「確認」は、行政行為の分類上、「認可」とされる。

  • 食品衛生法に基づく飲食店の営業許可 → 行政行為の分類における「許可」 = 裁量の狭い行政行為。

準法律的行政行為

  • 裁量の幅が広い
確認
  • 建築確認

【?】食品衛生「法は単なる取締法規にすぎないものと解するのが相当であるから、上告人が食肉販売業の許可を受けていないとしても、右法律により本件取引の効力が否定される理由はない。その故右許可の有無は本件取引の私法上の効力に消長を及ぼすものではない。」としている。

✗ 売買契約の締結も含め、当該営業行為を行うことが禁止された状態であるから、その者が行った食肉の買入契約は当然に無効である。

5.2.行政行為の効力

1.公定力

たとえ行政行為が違法なものであっても、当然無効とされる場合を除いて、権限を有する国家機関により取り消されるまでは有効な行政行為として扱われる。

  • 行政行為の成立に重大かつ明白な瑕疵がある場合には、その行政行為は無効であり、公定力を有しないから、何人もその効力を否定することができる

  • 国民の身体または財産に行政庁が制限を加える行政行為(侵害的行政行為)にも、国民に利益を与える行政行為(授益的行政行為)にも認められる

  • 個室付公衆浴場の営業を阻止することを主たる動機とする、児童遊園に対する県知事の設置「認可処分は、行政権の濫用に相当する違法性があり、被告会社の・・・営業に対し、これを規制しうる効力を有しない」として

→ 判例は、取消訴訟を経由せず、刑事訴訟において認可処分が無効であることを前提として無罪としている

2.不可争力

行政上の不服申立て取消訴訟の対象となる行政行為後、一定の期間が経過すると、国民の側からその行政行為の効力を争うことができなくなる

  • 不可争力は、国民から行政行為の違法を争えなくする効力である。出訴期間の経過後といえども、行政庁は、職権取消しをすることができる

✗ 出訴期間の経過後は、行政庁は、当該行政行為を取り消すことはできない。

→ 行政事件訴訟法上の出訴期間を徒過した場合、国民の側から救済を申し立てることはできなくなる

3.自力執行力

行政行為によって命じられた義務を国民が履行しない場合、裁判所を使わずに行政庁自ら義務者に強制執行し、義務の内容を実現することができる

4.不可変更力

紛争解決を目的とする行政行為は、一度行うと、行政庁自ら変更することができない

  • 不可変更力は、すべての行政行為に当然に認められるわけではなく、不服申立てに対する裁決または決定などに限って認められる効力である。

✗ 不服申立てに対する裁決又は決定など一定の行政行為について例外的に認められる。

  • 処分に瑕疵があれば、原則として、行政庁は職権で当該処分を取り消すことができる

✗ 処分に瑕疵のあることが判明しても処分庁が発見したとしても、取消訴訟の出訴期間経過後は、これを職権で自発的に取り消すことはできない。

  • 「裁決を覆してなした新たな裁決は、不可変更力に違反し違法であるが、これについても公定力が働くので、適法に取り消されない限り完全にその効力を有する。」としている。

  • 「行政庁の処分」の効力の発生時期は「・・・相手方に到達した時と解するのが相当である。・・・相手方が現実にこれを了知し、または相手方の了知し得べき状態におかれた時と解すべきである。」としている。

  • 行政庁が瑕疵ある意思表示によって行政行為をした場合、その効力が問題となるが、・・・行政庁の意思表示に瑕疵があっても、必ずしも行政行為に瑕疵があるとはいえない。

→ 行政行為には、民法の意思表示に関する規定は適用されない

  • 内容が不明確な行政行為は、無効な行政行為である。

✗ 取り消し得べき行政行為

  • 行政行為が錯誤によって行政行為を行った場合、客観的に法律に適合している以上、法治行政の原理に反しないから、その行政行為は必ずしも無効とはならない

  • 瑕疵の治癒 = 「行政行為の瑕疵が軽微で、取消事由とするに値しないと考えられる場合や、その後の事情の変化により欠けていた要件が実質的に充足されたと考えられる場合に、その行為を有効なものとして取り扱うこと」。

→ 相手方の了承などは要件とされていない

5.3.行政行為の瑕疵

5.3.1.瑕疵あある行政行為

1.法律に違反して行った行政行為:違法な行政行為 → 取消事由・無効事由

2.法律に違反していないが行うべきではなかった行政行為:不当な行政行為 → 取消事由

  1. 取消事由 → 取り消されなかったことになる

2.無効事由 → 取り消すまでもなく、そもそも効力が生じていない

行政処分の「瑕疵が明白であるかどうかは、処分の外形上、客観的に、誤認が一見看取し得るものであるかどうかにより決すべきものであつて、行政庁が怠慢により調査すべき資料を見落としたかどうかは、・・・」

看取・・・見てそれと知ること。

「一般に、課税処分が課税庁と非課税者との間にのみ存するもので、処分の存在を信頼する第三者の保護を考慮する必要のないこと等を勘案すれば、当該処分における内容上の加護が課税要件の根幹についてのそれであつて、・・・、当該処分を当然無効ならしめるものと解するのが相当である。」としている。

→ 課税処分の瑕疵の明白性が認められる必要はない。

公聴会の審理において「主張立証の機会を与えるにつき必ずしも十分でないところがあつた」という不備があっても、「運輸審議会の認定判断を左右するに足る意見及び資料を追加提出しうる可能性があつたとは認め難い」という事情のもとにおいては、「・・・右諮問を経てなされた運輸大臣の本件処分を違法として取り消す理由とはならない。」としている。

「一般旅券発給拒否通知書に付記すべき理由としては、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して一般旅券の発給が拒否されたかを、申請者においてその記載事項自体から了知しうるものでなければならず、単に発給拒否の根拠規定を示すだけでは、・・・、旅券法の要求する理由付記として十分でない。」としている。

単に非開示の根拠規定を示すだけでは、当該公文書の種類、性質等にあいまって開示請求者がそれらを当然に知り得るような場合は別として、本条例7条4号の要求する理由付記としては十分ではない。」としている。

✗ 非開示の根拠規定を示すだけで足りる。

建築確認の取消訴訟において、安全認定が違法であるために本件条例〔東京都建築安全条例〕4条1項所定の接道義務の違反があると主張することは許されると解するのが相当である。」としている。

✗ 先行処分たる安全認定の違法を主張することは許されない。

青色申告について行政庁が行った更正処分における理由附記の不備という違法

→ 「更正における附記理由不備の瑕疵は、後日これに対する審査裁決において処分の具体的根拠が明らかにされたとしても、それにより治癒されるものではないと解すべきである。」としている。

→ 更正処分の取消事由となる

条例に基づく公文書非公開決定の取消訴訟

→ 「実施機関が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することを許さないものとする趣旨をも含むと解すべき根拠はないとみるのが相当である。」としている。

→ 非公開決定の取消訴訟においては、被告は、実施機関が当該決定に付した非公開理由とは別の理由を主張することも許される。

一たび通知書に理由を付記した以上、実施機関が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することを許さないものとする趣旨をも含むと解すべき根拠はないとみるのが相当である。」としている。

→ 非公開決定処分の取消訴訟において、通知書に付記した理由以外の理由を行政庁が主張することは許される

✗ 許されない。

  • 行政庁が瑕疵ある意思表示によって行政行為をした場合、その効力が問題となるが、行政行為の内容が客観的に法律に適合していれば、行政庁の意思表示に瑕疵があっても、必ずしも行政行為に瑕疵があるとはいえない。行政行為には、民法の意思表示に関する規定(民法93条〜96条)は適用されない

  • 行政庁が錯誤によって行政行為を行った場合 → 客観的に法律に適合している以上、法治行政に反しないから、その行政行為は必ずしも無効とはならない

5.3.2.行政処分の取消しと撤回

取消

  • 行政行為の当初に瑕疵があったことを理由として、はじめから行政行為がなかったものとみなすこと。

  • 原始的に違法または不当な取消原因がある場合

職権取消しは、相手方の信頼保護の要請等との比較衡量により制限されることがある。最高裁判所も、「処分の取消しによって生じる不利益と、取消しをしないことによってかかる処分に基づき既に生じた効果をそのまま維持することの不利益とを比較衡量し、・・・」としている。

しかも該処分を放置することが公共の福祉の要請に照らし著しく不当であると認められるときに限り、これを取り消すことができると解するのが相当である。」としている。(所有権確認等請求上告事件)

  • 職権取消しにはもとの行政行為の根拠とは別個に、法律上の根拠を必要としないと解されている。

撤回

  • 行政行為の当初に瑕疵はなかったが、後発的事情の変化によってその効力を存続させることが適当でない事情が発生したために、将来に向かってその効力を失わせること。

  • 撤回は、処分庁のみが行うことができる。

✗ 処分庁又は裁判所

  • 将来効のみが生ずる。

✗ 遡及的に効力を失わしめることをいう。

事例)公務員の懲戒免職処分

→ 瑕疵なく成立した任命行為の効力を、招来に向かって失わせるもの = 「撤回

事例)国土交通大臣または都道府県知事は、建設業の許可を受けた建設業者が許可を受けてから1年以内に営業を開始しない場合

→ 後発的事由に基づくものであるから、「撤回」

事例)一級建築士の免許取消

「相手方に利益を付与する処分の撤回(授益的行政行為の撤回)は、相手方の被る不利益を考慮しても、なお公益上の必要性が高いと認められる場合には、法律による特別の根拠がなくともすることができる。」としている。

  • 認可されたからといって、その対象となった法律行為の瑕疵が消滅するわけではない。

  • 銀行どうしの合併 = 私人間の法律行為 → 内閣総理大臣が行う認可は、講学上の「認可」に当たる。

講学上の概念・・・法律学を研究する上で用いられる用語。

  • 瑕疵の治癒

→ 行政行為の瑕疵が警備で、取消事由とするに値しないと考えられる場合や、・・・、その行為を有効なものとして取り扱うことをいう。

✗ 相手方の了承を得て、

【【【記述対策】】】 更正における理由附記の不備の瑕疵について、処分の相手方としては、後日の審査裁決において明らかにされたとしても、それ以前の審査手続で十分な不服理由を主張できないという不利益を免れない以上、それにより、理由附記不備の瑕疵は治癒されるものではないとし、理由附記の申立て便宜機能を損なうとしていわゆる「理由の追完」を否定しています。

5.4.行政裁量

行政の活動は多岐にわたるため、すべての活動を想定して法律を制定することは不可能であり、仮に可能であったとしても今度は行政の活動に支障をきたす可能性が出てきます。そこで行政裁量という考え方が登場します。

「建築主事が当該確認申請について行う確認処分自体は基本的に裁量の余地のない確認的行為の性格を有するものと解するのが相当である。」としている。

食品衛生法に基づく飲食店の営業許可は、行政行為の分類における「許可」である。

→ 「許可」は、裁量権の狭い行政行為である。

河川法に基づく土地の占用許可は、行政学上の「特許」に当たる。「特許」については、行政庁の裁量の幅が広いと一般的に考えられている。

5.4.1.行政裁量に関する判例

  • 出入国管理令に在留期間の更新自由が概括的に規定され、その判断基準が特に定められていないのは、更新事由の有無の判断を法務大臣の裁量に任せ、その裁量権の範囲を広範なものとする趣旨である。」としている。(マクリーン事件

「同人を招来日本国の利益を害する行為を行うおそれがある者と認めて、在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるものとはいえないと判断したとしても、その事実の評価が明白に合理性を欠き、その判断が社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるとはいえ」ないとしている。

→ 外国人の更新拒否処分は違法ではない

  • 高等専門学校の校長が学生に対し原級留置処分又は退学処分を行うかどうかの判断は、校長の合理的な教育的裁量にゆだねられるべきものである。」としている。

  • 「原級留置処分又は退学処分を行うかどうかの判断は、・・・、校長と同一の立場に立って当該処分をすべきであったかどうか等について判断し、その結果と当該処分とを比較して、その適否、軽重等を論ずべきものではなく、・・・、裁量権の範囲を超え又は裁量権を濫用してされたと認められる場合に限り、違法である。」としている。

  • 公立学校の「学校施設の目的外使用を許可するか否かは、原則として、管理者の裁量にゆだねられている。・・・、そのような支障がないからといって当然に許可しなくてはならないものではなく、行政財産である学校施設の目的及び用途と目的外使用の目的、態様等との関係に配慮した合理的な裁量判断により使用許可をしないこともできる。」としている。(呉市学校施設使用不許可事件)

  • 原子力委員会若しくは原子炉安全専門委員会の専門的技術的な調査審議及び判断を基にしてされた被告行政庁の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべき」として、「調査審議において用いられた具体的審査基準」に不合理な点があるかなどの視点から違法性を判断する。」としている。(伊方原発訴訟)

✗ その合理性を裁判所が判断することは許されない。

現在の科学技術水準に照らし、・・・、被告行政庁の右判断に不合理な点があるものとして、右判断に基づく原子炉設置許可処分は違法と解すべきである。」としている。

  • 教科書検定の「審査、判断は、申請図書について、内容が学問的に性格であるか、中立・公正であるか、・・・、事柄の性質上、文部大臣の合理的な裁量に委ねられるものというべきである。」としている。

  • 行政主体が一方的かつ統一的な取扱いの下に国民の重要な権利の行使を違法に妨げた結果、行政主体に対する債権を消滅時効にかからせた場合、行政主体の側が消滅時効の主張をすることは許されない。

  • 東京都職員の採用内定の取消しがなされた事案において、「被上告人東京都において正当な理由がなく右採用内定を取り消しても、・・・、東京都職員として採用されることを期待して他の就職の機会を放棄するなど、東京都に就職するために準備を行つた者に対し損害賠償の責任を負うことがある。」としている。

  • 指名競争入札に参加させない措置を採ったとすれば、それは、考慮すべき事項を十分に考慮することなく、・・・、極めて不合理であり、社会通念上著しく妥当性を欠くものといわざるをえず、そのような措置に裁量権の逸脱又は濫用があったとまではいえないと判断することはできない。」としている。

  • 地方公共団体が、指名競争入札に参加させようとする者を指名するに当たり、②地元の経済の活性化にも寄与することなどを考慮し、地元企業を優先する指名を行うことについては、その合理性を肯定することができるものの」

  • 地方公共団体第三セクター法人の事業に関して当該法人の債権者と損失補償契約を結んだ場合、当該「損失補償契約の適法性及び有効性は、・・・当該地方公共団体の執行機関の判断にその裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があったか否かによって決せられるべきものと解するのが相当である。」としている。

  • 「公務員につき、国公法に定められた懲戒事由がある場合に、懲戒処分を行うかどうか、懲戒処分を行うときにいかなる処分を選ぶかは、懲戒権者の裁量に任されている。」としている。

「懲戒権者の裁量権の行使に基づく処分が社会観念上著しく妥当性を欠き、裁量権を濫用したと認められる場合に限り違法であると判断すべきものである。」としている。

  • 「したがって、保護基準中の老齢加算に係る部分を改定するに際し、最低限度の生活を維持する上で老齢であることに起因する特別な需要が存在するといえるか否か及び高齢者に係る改定後の生活扶助基準の内容が健康で文化的な最低限度の生活水準を維持することができるものであるか否かを判断するに当たっては、厚生労働大臣に上記のような専門的技術かつ政策的な見地からの裁量権が認められる。」としている。

  • 「客観的事象としての水俣病のり患の有無という現在又は過去の確定した客観的事実を確認する行為であって、この点に関する処分行政庁の判断はその裁量に委ねられるべき性質のものではない。」としている。

5.5.行政行為の附款(ふかん)

行政庁に「道路を使わせてください」という許可申請

→ 行政は「使わせるか使わせないか」だけでなく、「使用料を払ってくれたら使わせる」という判断をすることができる

→ 行政行為に条件を付けること = 附款

5.5.1.行政行為の附款(ふかん)の種類

1.条件

例)道路工事が完成したら、路線バス事業の免許を与える。

2.期限

将来発生するかどうかが確実な事実にかからせる附款。

  • 運転免許の期限

例)3月31日まで道路の占有を許可する。

3.負担

例)自動車運転免許に付加される「眼鏡等使用」

4.撤回権の留保

特定の場合に行われた行政行為を撤回する権利を留保する附款

→ 合理的な理由が必要。

例)県庁で売店営業を許可するが、県側に事情の変更があれば撤回する。

6.行政上の強制手段

6.1.行政上の強制手段とは

行政行為で税金を払う義務を国民に課したとしても、実際に払ってくれなければ意味がありません。そこで、強制目的を達成するために、税金を払わない国民に対し強制的に税金を徴収するという行政活動が必要になります。

行政処分により課された義務を履行しない者に対しては、行政強制、罰則の間接強制などによる実効性の確保が図られるが、統一的な仕組みが設けられているわけではない。

6.2.行政上の強制執行

  • 行政上の強制執行を行うにはすべて法律の根拠が必要。

  • 代執行については、行政代執行法という共通ルールがつくられている。

1.代執行

2.執行罰

6.2.2.代執行

代替的作為行為義務の不履行について、行政庁または行政庁の指定する第三者が義務者に代わって義務の内容の実現を図り、これに要した費用を義務者本人から徴収する方法の強制執行

行政代執行法1条

行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる。

→ 条例によって執行罰を定めることはできない

行政代執行法2条

代替的作為義務が履行されない場合に、行政庁みずから義務者のなすべき行為をし、または三者にさせ、その費用を義務者から徴収する作用

× 督促を発してもなお、当該義務の履行されないとき

法律の委任による条例に基づき行政庁により命ぜられた行為についても、行政代執行法が適用される

【【【記述対策】】】

代執行を行うための3つの要件

  1. 代替的作為義務の不履行の存在

2.他の手段によってその履行を確保することが困難であること

3.不履行を放置することが著しく公益に反すると認められること

行政代執行法3条

代執行をなすには、相当の履行期限を定め、その期限までに履行がなされないときは、代執行をなすべき旨を、予め文書で戒告しなければならない

行政代執行法4条

代執行のために現場に派遣される執行責任者は、その者が執行責任者たる本人であることを示すべき証票を携帯し、要求があるときは、何時でもこれを呈示しなければならない。

行政代執行法6条

代執行に要した費用は、国税滞納処分の例により、これを徴収することができる。

6.2.3.執行罰

義務者にみずから義務を履行させるため、あらかじめ義務不履行の場合には過料を科すことを予告するとともに、義務不履行の場合にはその都度、過料を徴収することによって、義務の履行を促す間接強制の方法である。

制裁的な要素を有しないため、同一の義務違反に対して複数回にわたり処することもできる

砂防法(36条)に唯一の例がある。

× 多くの法令において、各種の届出義務などの軽微な手続上の義務への違反に科されることとされている。

「国又は地方公共団体が提起した訴訟であって、・・・、国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟は、法規の適用ないし一般公益の保護を目的とするものであって、自己の権利利益の保護救済を目的とするものということはできないから、法律上の争訟として当然に裁判所の審判の対象になるものではなく、法律に特別の規定がある場合に限り、提起することが許される。」としている。

✗ 法律上の争訟には該当しない。

6.3.即時強制

即時強制は、義務を課していることを前提とするものではなく、義務履行確保手段とはいえない

例)

  • 消防法に基づく消火活動のための立ち入り

  • 道路交通法に基づく違法駐車車両のレッカー移動

比較)直接強制は、義務の不履行を前提として、直接に人の身体又は財産に実力を加え、行政上必要な状態を実現する作用である。

6.4.行政罰

6.4.1.行政罰の意義

  • 行政罰は、過去の義務の不履行に対して制裁を加える作用である。

  • 行政処分により課された義務を履行しない者に対しては、「行政罰」が課される。

比較)刑事罰は、殺人や窃盗などの刑事犯に対して科されるものである。

行政刑罰:重い制裁
  • 二重処罰の禁止

独占禁止法違反のカルテル行為について刑事事件で罰金刑 + 国から不当利得返還請求訴訟が提起されている者に課徴金の納付を命じる

→ 二重処罰の禁止を定めた憲法39条に反しない。」としている。

  • 両罰規定

行政刑罰は、違反行為者だけではなくその使用者や事業主にも科されることがあり(両罰規定)、法人も、事業主として処罰されることがある。

秩序罰 :軽い制裁

6.5.新たな義務履行確保の手段

7.行政調査

7.1.行政調査

7.1.1.行政調査とは
行政調査の種類
  1. 強制捜査

2.間接強制を伴う調査

3.任意調査

7.1.2.行政調査に関する判例

1.警察官による所持品検査

  • 職務質問に付随して行う所持品検査は、「捜査に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り、たとえ所持人の承諾がなくても、所持品検査の必要性、緊急性、これによって侵害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮し、具体的状況のもとで相当と認められる限度において許容される場合があると解すべきである。」としている。

権衡・・・つりあい

2.自動車の一斉検問

3.目的外利用の禁止

食品衛生法に基づく保健所職員による立入検査は、調査拒否に対して罰則を設けて罰則の威嚇により間接的に調査受託を強制するにとどまる

  • 行政手続法13条1項

法令上の義務に違反した者の氏名や違反事実を公表することは、聴聞の対象となる「不利益処分」には当たらない

8.行政契約

8.1.行政契約

8.1.1.行政契約とは

行政契約とは、行政主体が行政目的を達成するために締結する契約のことです。

行政行為のように行政が一方的に行うものではなく、民法の契約のように、申込みと承諾の意思表示によって成立します。

  • 行政契約とは、・・・、当事者の合意によって成立するものである。法律の留保の原則に関する侵害留保理論に立った場合であっても、行政契約を締結するのに、法律の根拠は不要である

8.1.2.行政契約の種類

8.1.3.行政契約と契約自由の原則

8.1.4.行政契約に関する判例

  • 随意契約の制限に関する法令に違反して締結された契約の私法上の効力については別途考慮する必要があり、かかる違法な契約であつても私法上当然に無効になるものではな(い)。」としている。

市町村が産業廃棄物処理業者と締結した公害防止協定において、施設の使用期限を定めた場合、業者が県から受けた許可が効力を有する期間内に事業または施設が廃止されるとしても違法ではない。(公害防止協定)

  • 「近い将来において需要量が給水量を上回り水不足が生じることが確実に予見される地域にあたっては、需要の抑制策の1つとして、新たな給水申込みのうち、需要量が特に大きく、現に居住している住民の生活用水を得るためではなく住宅を供給する事業を営む者が住宅分譲目的でしたものについて、給水契約を拒むことは許される。」としている。

9.行政指導

9.1.行政指導

9.1.1.行政指導とは

  • 行政指導は、・・・、強制力を伴わない → 行政処分ではない。(強制的な内容であることは許されない。

  • 公益を守るために規則的な行政指導をすることも認められる

9.1.2.行政指導に関する判例

  • 「行政指導として教育施設の充実に充てるために事業主に対して寄付金の納付を求めること自体は、強制にわたるなど事業主の任意性を損なうことがない限り、違法ということはできない。」としている。

✗ 任意のものであっても違法であり、

10.行政計画

10.1.行政計画

10.1.1.行政計画とは

法律の留保に関する「侵害留保説」は、国民の権利自由を権力的に制限ないし侵害するような行政行為は、その法律の根拠が必要であるとする。

10.1.2.行政計画の判例

行政調査とは

行政機関によって行われる行政目的達成のための情報収集活動のこと

強制力があるかどうかによって、種類が分かれる

強制調査

→法律の根拠が必要

間接強制を伴う調査

→ 法律の根拠が必要

任意調査

→ 法律の根拠が不要

行政調査に関する判例

警察官による所持品検査

自動車の一斉検問

目的外利用の禁止

行政指導とは

行政機関がその任務または所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為または不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないもの

✗ 不特定の者

✗ 特定か不特定かは問われない

✗ 所掌事務の範囲に属さない事項について

行政指導の基本ルール

行政指導の一般原則
  • 所掌事務の範囲を逸脱してはならない

  • 相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取り扱いをしてはならない

申請に関連する行政指導
  • 申請者が行政指導に従う意思がない

→ 当該行政指導をすることにより当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない

= 申請者の権利の行使を妨げるものでない限り、直ちに違法とされるものではない

行政指導の方式

相手方に対して

  • 行政指導の趣旨および内容

  • 責任者

を明確に示さなければならない

✗ 努力義務にとどまり

※書面の交付を求められた場合

→ 行政上支障がない限り書面を交付しなければならない

  • 相手方以外の利害関係人

→ 請求があっても書面で行政指導する必要はない

  • 書面で相手方に通知 → 同一の内容の行政指導をする場合

→ 書面を求められても、交付する必要はない

複数の者に対する行政指導

行政機関は、あらかじめ、事案に応じ、これらの行政指導に共通してその内容となるべき事項を定め、かつ行政上特別の支障がない限り、これを公表しなければならない

✗ 公聴会を開催しなければならない

行政指導の中止の求め

いくら行政指導に強制力がないといっても、不適切な行政指導を受け続けるのは避けたい

そこで、違法だと思われる行政指導については、中止の申出をすることができる

  • 行政指導の相手方のみ、中止の申出ができる

✗ 何人も中止の申出ができる

  • 行政指導に従わない場合に行われる当該事実の公表 → 「不利益処分」に該当しない

処分等の求め

本来、処分や行政指導は、行政側の判断で行うべきものですが、法令違反の是正のための処分や行政指導が行われていないと考える場合、その処分や行政指導を行うよう求めることができる

第36条の3

何人も、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分又は行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)がされていないと思料するときは、当該処分をする権限を有する行政庁又は当該行政指導をする権限を有する行政機関に対し、その旨を申し出て、当該処分又は行政指導をすることを求めることができる。

→ 申出に対して諾否の応答をすべきものとされているわけではない